看護師のお仕事に就く人は、学校を卒業して就職する時点での平均年齢が低いこともあり、若いうちに転職するケースが多いといわれています。現役の看護師を対象にしたアンケートでも、20代の時点で転職を経験した人の割合が半数を超えているというデータがあるほど。でも、一般的な社会人と同様に「転職を繰り返すと、再就職時に不利になるのでは?」と、不安を感じるナースも多いでしょう。
そこで今回は、看護師の転職事情についてくわしく取りあげました。ナースさんたちのおもな転職動機から、転職経験をネガティブ要素にしないための秘訣までご紹介します。
看護師が転職を考える理由とは?
看護師の生涯における転職回数の平均値は「2回」といわれています。しかし周囲を見てみると、「30歳になるまでに3回転職してしまった」「転職は初めてだが、辞める理由が人間関係なので理解が得られるか不安」など、さまざまな事情を抱えたナースも多いはず。ここでは、看護師が転職するときのおもな理由・動機についてみていきましょう。
体力的な問題
若いうちならバリバリこなせていた交替勤務や長時間勤務も、年齢とともに身体に無理が利かなくなり続けることがむずかしくなってきます。そのため30~35歳を超える年代ぐらいから、夜勤や超勤の少ない健診系や学校・企業関連の看護業務への転職を検討するナースが増える傾向にあります。
職場の人間関係
看護師の仕事に限りませんが、多くの人がともに働く職場での人間関係は切っても切り離せない要素です。どうしてもなじめない職場で末永く働き続けることの想像がつかず、思い切って転職し環境を変えたいと考えるナースは少なくありません。
キャリアアップや他業務への興味
「こんなナースさんになりたい」という将来のビジョンが明確にあるなら、現在の職場でそれが実現できるかどうかについても考えているはずです。その結果、今の職場では実現がむずかしいとなれば、より近道となる別の職場への転職を選択する人も。
ご家庭やご家族の事情
育児やご家族の転勤、身内の方の介護などで事情が急遽発生し、転職を余儀なくされるケースもあります。転居をともなう場合も、ナースの場合は引越し先での求人がたいてい豊富にあるため、躊躇なく転職を決める人が多いです。ちなみにこの場合は、履歴書に記載されていても応募先では不可抗力とみなされ、転職の事実そのものはそれほどネガティブに受け取られないと考えてよいでしょう。
転職回数が多いと応募先での印象に影響する?
転職回数がネガティブイメージとならないのは何回まで?
あくまで一般論ですが、看護師の場合20代で2回まで、30代で3回まで、40代で4~5回ぐらいまでが「セーフ」といわれています。それ以上転職回数が増えると「ウチの職場でも長続きするかどうか…」と、将来について若干懐疑的な印象を持たれてしまう可能性もあると考えてよいでしょう。
過去の転職について尋ねられるのは「転職3回以上」から
過去の転職について、面接などでくわしく聞かれるのはたいてい「転職経験3回以上から」といわれています。ただし、「3回以上転職していれば確実に不利」というわけでは勿論ありません。「転職には何らかの理由や事情があるはず」とみなされ、それを知った上で採用について考えたいと判断される基準が「転職3回~」であると考えると、わかりやすいはずです。
「転職経験は回数より理由を重視」という職場も多い
既存の社会構造が大きく変化しつつある現在では、看護業界でも「転職=良くない要素」とは安易に考えない職場が増えています。そのため、転職回数が多いからと簡単に応募者の評価を下げず、理由しだいでは転職を「勇気」や「賢明な判断」と、好意的に考慮してくれる場合も。そこで次の項目では、転職経験をチャンス要素に変えるためのポイントをご紹介します。
転職回数が多いナースの面接対策
職場の人間関係による転職の場合
履歴書に「一身上の都合で退職」と記載した場合は、その具体的な理由を聞かれる可能性が高くなります。その回答が「人間関係に疲れた」では、明らかにネガティブな要素のみで先方にもあまり好印象を与えられないでしょう。人間関係が理由の転職なら「職場になじめないと感じた経験から、転職計画の中でコミュニケーションを学び、もう大丈夫と確信できたので転職を決めました」など、前向きな要素を必ず伝えるようにしましょう。
待遇の不満による転職の場合
賃金や勤務体系などの待遇に不満があって転職する場合も、「お給料が安かった」「仕事がきつかった」など、ご自身の主観しか反映されていない回答はネガティブな印象を招きます。「前職で苦労を経て頑張った結果、多くの業務を身につけられたので、期待値の高いこちらの現場でもお役に立てる自信がつきました」など、前職でスキルや知識を磨いた上で一歩上のステージをめざしていることを強調しましょう。
家庭の事情などで転職する場合
育児やご家族の都合による転職は基本的に不利な要素とはなりませんが、同様の理由で転職する人はつねに数多くいるでしょう。面接で、その中から選ばれる回答ができることが採用への近道になるはずです。
転居する場合は「この地域の医療に関する情報や特徴を事前にくわしくチェックしました。その上で、○○が充実しているこちらでぜひ働きたいと考えるに至りました」など、応募先の志望動機が漠然としたものでないことを強調しましょう。
育児や介護が理由なら「家事の手を抜くことなく、看護師としてもさらなる成長がかなえられる職場としてこちらを志望しました」など、引き続き業務にポジティブに取り組む意欲を含めた回答が望ましいでしょう。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。