ご結婚やご出産などを機に、看護師のお仕事から離れてしまっている人も多いのではないでしょうか。
このように、看護師の資格は持っているけれど、実際には看護師として働いていない人のことを「潜在看護師」と呼びます。
潜在看護師と呼ばれる看護師さんのなかには、そろそろ復職して看護師としてまた活躍したいと考えている方も少なくないでしょう。
この記事では、ブランクのある看護師さんが現場への復帰を考える際の注意点や、ブランクがあっても復帰して働きやすい職場はどんなところなのかについて、ご紹介します。
ブランクがある看護師さんの復職での注意点とは?!
1.まずはご家族にしっかり相談を!
職場復帰すれば、これまでとはライフスタイルが一変します。
家事や育児に関することや、お子さんが小さければ保育園や託児所などの利用などについて、ご家族としっかり話し合っておきましょう。
家事や育児とお仕事を完璧に両立することは、そもそもむずかしいものです。
どうしても大変なときにはフォローしてもらえるかどうか、また職場での子育て支援体制との兼ね合いなどについてもあらかじめ協議しておく必要があります。
2.育児や家事を並行するなら、理解のある職場選びを
お子さんが独立して一段落ついた状況なら問題ありませんが、まだ育児真っ最中のお母さんが看護師に復帰する場合は職場選定にも慎重になりましょう。
子育て中のナースさんが多く勤めている職場は、院内に託児施設があったり、近くに保育施設があったりするなど育児向けの環境が整っている場合も。
また、子どもが急病になったときに職場を急遽離れることを理解してもらえることも大切です。
もし子育て中のナースさん仲間が身近にいるなら、復職の相談を兼ねて職場の状況などを教えてもらうのも良いでしょう。
3.勘を取り戻すには少し時間がかかることを意識して
復職を検討中であっても、「以前はできたことが、ブランクがあるためにできなくなっていたら……」という不安がまったくないという方は数少ないでしょう。
特に医療のお仕事は患者さんの生命を預かるものですから、大きなミスがあってはいけません。
でも、そんな復職希望のナースさんのために支援制度を設けている職場も増えています。
復職者向けの研修制度を整えている病院も多いですし、なかには復職後しばらくは教育係の先輩を付けてくれるところもあるのだそう。
そのような職場を選び、復職後も以前の勘を取り戻すのに時間がかかることを意識しながら、あせらず慎重にお仕事にあたることが大切ですね。
職歴の空白期間の伝え方はどうする?
看護師が転職活動にかかる期間は平均で約2か月といわれています。
ブランクがあるナースさんが就職活動をする際、悩むことといえば「職歴に空白期間について質問されたらどう答えるか」でしょう。
実際に、面接などでは履歴書に空白期間があればその間何をしていたか必ず面接担当者から質問があるはずです。
「特に何もしていなかった」と答えるよりは、その間前向きに何かに取り組んだことが伝わる理由をご自身の中で持っておき、素直にはっきりと答えられるようにしておくと良いでしょう。
例えば、育児や介護に専念していた場合はその通りハキハキと説明すれば問題ありません。
また、看護師を離れていた間に楽しい経験を数多くしたのであれば「趣味や見分に励む時間をいただいた」でも良いでしょう。
嘘にならず、活動的かつポジティブに暮らしていた様子を話せれば、好感を持ってもらえるかもしれません。
また、空白期間はなくても看護師を辞めて他職種に就いていた方の場合、その理由を尋ねられるかもしれません。
その場合は「医療の世界以外を知り、その経験を看護に活かしたいというモチベーションが湧いた」という内容で説明すると良いのではないでしょうか。
ブランクがある方の履歴書の書き方のポイント
さて、ブランクがある看護師さんが復職に際してもう1つ悩む点があります。
それは「履歴書をどう書いたら良いか」ということ。
ここでは、ブランクがあるナースさんが就職活動をする際の履歴書の書き方について、ご紹介します。
1.職歴には入職と退職を正確に書くこと
職歴では入職と退職を正しくきちんと書いておきましょう。
それで空白期間があることも分かるため、わざわざ空白期間の項目を設けて何かを書く必要はありません。
2.出産・育児・介護で離職していた場合の志望動機の書き方
ご家庭の事情でのブランクは、さほどネガティブに取られることはありません。
離職していたこと、その期間、内容を具体的に正しく書き、ようやく復帰がかなう状況になったことをうれしく思っていると書くようにすると良いでしょう。
育児中の方も、子育てをしながらでも現場復帰したいという熱意を込めると好意的に受け取ってもらえるはずです。
3.いったん離職や他職種に転職した上で、看護師として復帰したい場合の志望動機の書き方
この場合は、嘘やごまかしを書くのではなく、正直にその間の経験を踏まえた内容で書くと良いでしょう。
例えば、ブランク期間に接客業を経験したのであれば「患者さんとは違う『お客様』との接し方、もてなし方を学んだ」「それを看護に活かし、きめ細かな気遣いのできるナースになりたい」という内容も良いでしょう。
留学などをしていた方はその体験談の一部を取り上げ、「多様な文化を学び、患者さんとのコミュニケーションに活かしたいと思った」などとするのがおすすめです。
ブランクありの看護師さんが働きやすい職場4選
1.療養型の病棟や、慢性期病棟など
救急外来や急性期の病棟など、目まぐるしく動き回る必要がある職場は復職先には選びたくないという看護師さんも多いでしょう。
そういった方には、比較的じっくりと患者さんを看ることができる病棟での勤務を選択するという方法もあります。
しばらくはスピード感を要求されにくい現場で基本的な看護のお仕事に専念し、徐々に活動的な業務にも慣れていくのが良いかもしれません。
2.カムバックナースさん歓迎の職場
ブランクがある看護師に向けてカムバック制度を設けている病院も多くなっています。
そのような職場では過去に経験した看護内容や診療科目に限らず、研修などによって未経験の分野にチャレンジできる可能性もあります。
現場復帰に加えて、さらに看護師として成長することも視野に入れている方には最適の復帰先といえるでしょう。
3.アルバイトなどで時短勤務が可能な職場
ブランクからの復帰時に、いきなりフルタイムの正職員を希望できる人は限られています。
たいていの場合は、日勤で曜日や時間帯をある程度決めて働きたいという希望を持って復帰にあたるのではないでしょうか。
アルバイトの看護師さんが多数在籍し、時短・シフト勤務などの体勢が整っている職場なら、育児中に復職する看護師さんにも働きやすい環境が整っているケースが多いでしょう。
同じように育児をしながらアルバイトしている同僚ナースさんが多ければ、仲間が増えて精神的な励みにもなるでしょう。
4.デイサービスや健診での看護師業務
育児中などで働く時間が限られている看護師さんなら、あえて外来や病棟での勤務を選択しない方法も1つの手です。
たとえば、デイサービスセンターでのお仕事なら日勤のみで夜勤は一切ありませんし、医療行為の機会も最小限にとどまります。
また、健康診断の看護師業務も日勤のみで緊急対応が少なく、落ち着いて仕事にあたれる機会が多くなるでしょう。
変わり種としては、街の献血センターでの採血業務もおすすめ。
健康な人を相手に毎日お仕事できますから精神的な負担も軽いですし、採血が好きというナースさんにはかなり適職なのではないでしょうか。
まとめ
この記事では、ブランクがあるナースさんが復職する際に気を付ける点や、復職におすすめの職場をご紹介しました。
復職するナースさんの人気が高い職場は、求人が出てもすぐに埋まってしまう可能性もあります。
ブランク期間からの本格復帰を検討中のナースさんの職場探しには、看護師向け転職エージェントの利用がおすすめ。
ご自身の事情やご希望を把握したうえで、最適な職場を見つけて優先的に紹介してくれますから、働きたい職場を厳選したい方にぴったりの方法です。
「ブランクについて履歴書にどう書けば良いか分からない」という方も、転職エージェントを利用すれば担当者に書き方を相談することができます。
ご自身の状況に合った志望動機の書き方を、転職のプロである担当者が吟味してアドバイスしてもらえるでしょう。
せっかく再就職するのなら、納得して末永く働ける職場を見つけたいものです。
確実な復帰成功をめざして、最適な職場を見つけられるよう計画的に就職活動を行いましょう。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。