看護師は、生命を扱う特殊な職種であり、つねに緊張感と隣り合わせのお仕事です。ひとつのミスが重大な医療事故を引き起こすという事実は、ずっと看護師になることをめざしてきた人が、「自分は看護師に向いていないのではないか」と疑心暗鬼になってしまうほど、大きなプレッシャーとなります。ゆえに、自分自身の仕事に対する適性をしっかり把握し、得意分野や苦手分野、向き不向きを知っておくことは、離職率が高いといわれる看護職を長く続けるうえで、非常に大切なことです。
この記事を読んだ看護師さんが、あらためて仕事に対する適正について考え、自分自身と向き合うきっかけの一助となれば幸いです。
診療科目や業務によって求められる適性は異なる
突然舞い込む急患や救急外来に対応するため臨機応変さが求められる職場もあれば、検査などの決まった業務を時間厳守でミスなく繰り返し行うことが必要とされる職場もあります。つまり、同じ看護師業務の中でも、職場によって異なる適性が求められる場合があるのです。1つの職場で「看護師に向いていないのでは?」と疑問を持ったとしても、異なる職場では活躍の場を築けるという可能性も十分にあるでしょう。
看護師に向いているのはどんな人?
健康で体力に自信がある人
看護師は、座って休んでいられる時間がとても少なく、業務中はつねに身体を動かしている仕事です。そのため、健康状態が良好で体力に自信がある人はそれだけで看護師業務に相応しい要素を1つ備えているといえます。もし体力にあまり自信がないという方がいれば、看護師として働くためにウォーキングなどの体力づくりから始めてみるのもよいかもしれません。
人との協調性に長けている人
看護師は、患者さんや医師、他のナースさんたちなど多くの方とともに働くお仕事です。決して1人だけで完結できる業務ではないため、協調性は重要でしょう。「活躍して1人だけ抜きん出た存在になりたい」「自分でやると決めたことだけをマイペースでやり遂げたい」など特殊なビジョンをお持ちの方には向かないかもしれませんが、基本的なビジネス連絡をきちんと取れる方であれば業務上の協調性は十分あるといえます。周りに気を遣いすぎる必要はありませんが、仕事にかかわる連絡事項をしっかり伝えられることが何より大切になるでしょう。
聞き上手で機転の利く人
看護師には、医師などからの指示をしっかり聞き、すぐに対処できる能力が大切です。つねに多くのタスクを抱えていますから、それらに優先順位をつけながら患者さんの状況に合わせた柔軟な対応をしなければならないときもあります。「人の話を最後まで聞いてすぐに理解できる」「刻々と変わる状況に合わせ、迅速かつ正確な対応ができる」ことは看護師としてもっとも大切にしたいスキルです。
誰かの困りごとや悩みを感じ取れる人
看護師に限らず、医療の仕事は「病気や怪我で苦しい人や困っている人に適切な治療を行って、回復につとめる」という職務です。特に患者さんにもっとも近い立場である看護師には、「誰かの痛みや心配事を汲み取れる」ことがもっとも大切といえるかもしれません。
今回ご紹介した特徴以外にも「新しい仕事を覚えることに抵抗がない」「人とコミュニケーションすることが好き」「少しのことでくよくよせず、気持ちの切り替えができる」など、看護師に向いている要素は数多くあります。ほとんどの方には、看護師としての何らかの適性は必ず備わっているといってもよいほどでしょう。
適性に乏しいと感じていても看護師にはなれる?
向いていないと分かっていて続けるのは大変?
仕事をしていく中で「自分は看護師に向いていないかもしれない」と思うタイミングは、おそらく誰にでも必ずあります。決定的に向いていないと決めつける前に、なぜ看護師になろうと考えたかを振り返ってみましょう。
もしかすると「自立できる経済力を身につけたい」「寂しがり屋なのでたくさんの人の中で働きたい」など、動機そのものは職務にあまり関係がないかもしれません。それでも、身内の方が看護師であったり、幼い頃に看護師が活躍する物語に憧れたりしたなど、看護師と接する何らかの出来事が動機になっているはずです。単に「お金がたくさん稼げるから」などの生半可な動機しか持たないまま看護師としてお仕事を続けられる人は、まずいないといってよいかもしれません。
現場で実務にあたる人が言うには「看護師になりたいと強く思った人なら、誰でも看護師に向いている」という意見もあります。看護師は、行う業務の種類によっても求められる適性が変化するお仕事ですから、ご自分に合った看護師資格を生かせる職場をじっくり探してみましょう。
看護師業務の幅が広がり「適職」が見つけやすくなっている
看護師のお仕事は、外来や病棟で患者さんを看ることだけではありません。たとえば、病気や怪我で苦しい患者さんを看ることをつらく感じてしまう方なら、健康な人と日々笑顔でコミュニケーションできる「献血センター」などでの業務も選べます。また、病気や怪我の予防中心にかかわって行きたいと考えているなら、企業や学校にある医務室・保健室で働くという選択肢もあるでしょう。
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スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
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