忙しいお仕事の代名詞として挙げられる機会も多い看護師。看護師としてお勤めした経験があるなら、お友達などから「さぞかし有給が取りにくいのでは」と心配されたこともあるのでは?
日本医療労働組合連合会による『2017年看護職員の労働実態調査』によると、看護師(正職員およびパート・アルバイト)の年次有給取得日数の平均は「8.9日」となっています。10日以上の有給を取得できた人の割合は「41.4%」と半数以下。全日取得レベルの20日以上を消化した方の割合となると「5.5%」と低くなっています。このように有給取得率が低いといわれる看護師業務ですが、今回は看護師アルバイトの有給取得についてピックアップし、その実情を詳しくみていきましょう。
有給は取れても、実際は休めていないことも?
看護師のお仕事では、正職員・アルバイトのどちらにおいても「有給を一定日数消化できても、すべて休養に充てられているとは限らない」という指摘が多くあります。たとえば、本人が体調不良で休みを取った場合、本人の意思とは関係なく有給の残日分を消化させられてしまうケース。それに、子どもさんのけがや病気に付き添って取った休みが勝手に有給に充てられてしまうといったケースなどが挙げられます。なかなか、希望した通りの日に有給が取れていないという実情がうかがえますね。
看護師アルバイトは有給を取れるのか
正職員と有給取得に関する違いはあるのか
看護師アルバイトも、正職員と変わらない条件で有給休暇が支給されます。雇用形態を問わず働いている方ならどなたでも、6か月間継続して雇用されるとともに稼働日の80%を越えて勤務していれば、年間で決まった日数の有給休暇が支給されることになっています。もちろんこの権利は、正職員とパート・アルバイトの両方が同様に有するものです。
看護師アルバイトの有給は、どのくらい働けば何日支給される?
先に述べた通り、看護師アルバイトでは他の業種・職種と同じく、6か月継続して勤務すれば有給休暇が支給されます。支給された有給休暇の取得期限は、取得日から向こう1年間となります。正職員やフルタイムの非常勤看護師の場合、6か月の勤務後に年間10日の有給休暇が支給されます。曜日や時間を限定して働いている非常勤看護師(アルバイト)の方は、支給される有給の日数は勤務日数によって変わります。
たとえば、週4日だけ終日勤務する看護師アルバイトの方の場合は、6か月勤務後に支給される年間有給休暇は「7日」となります。それから1年経つと「8日」の有給休暇が支給され、2年後には「9日」支給されます。その後も1年継続勤務するごとに「10日」、「12日」、「13日」、「15日」と日数が増えていきます。週3日勤務する方の場合は6か月後に「5日」の有給が支給され、1年経過するごとに「6日」、「6日」、「8日」、「9日」、「10日」、「11日」と支給日数が増えていきます。「勤務形態がアルバイトだと、有給は発生しないのでは」と思い込む方も少なくありませんが、どんな形であれ働いている限りは、有給休暇を受ける権利がどなたにでもありますのでご心配なく。
せっかく支給された有給が使えないこともある?
「看護師は忙しい」と冒頭でも述べましたが、多忙であるために支給されている有給休暇を期限までに取得できなかったというケースも少なくないようです。残った有給について、翌年次まで日数の繰り越しを行ってくれる職場は多くあるのですが、繰り越されたところで多忙に変わりはないため結局取得に至らない……というケースも多いとのこと。この状況は、正職員・アルバイトの両者において同様に起こっています。
もちろん「働き方改革」の流れに則り、この状況を一刻も早く改善すべく取り組んでいる職場も数多くあります。アルバイトを探すときには、求人情報に実際の有給消化率を明記している職場を選ぶようにするなど、お仕事探しの段階から「有給休暇の状況」にも目を配る必要がありそうですね。
看護師アルバイトの有給取得に関する注意点
職場の雰囲気などを見極める必要がある
忙しい看護師のお仕事に就いていても、労働者が有する当然の権利である有給の取得をしっかり行えるよう、配慮する職場が増えたのはうれしいことですね。しかし、職場によってはまだまだ「休みたい日に有給を取りたいと簡単に言える雰囲気ではない」という現場も少なくありません。求人情報を参考にするとともに、職場の雰囲気を見極めることは大切になるでしょう。お知り合いのナースさんが情報を知っていればくわしく尋ねてみたり、応募する前にその職場に出向いてみたりするなど、積極的なリサーチを行ってみましょう。
有給取得率アップのために「看護師用求人サイト」の活用を!
看護師にワークライフバランスという言葉は通用しないと言われてきましたが、今はすべての職員が有給をなるべく取得できるよう環境改善に取り組む職場も多いもの。有給が取りにくい職場を選んでしまわないためには、良質な求人情報を得ることもポイントです。新聞や折込チラシで地元の求人を探すことと並行して「看護師専用求人サイト」も活用してみましょう。新聞やハローワークの求人には掲載されない、人気の職種・職場の求人も見つけやすくなります。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。