看護師は、他のお仕事と比べても平均給与が高い職種といえます。もちろん資格職であり、かつ命を預かる大変なお仕事であるため、当然と言えば当然なのですが、看護師が高給与である一番の理由は「夜勤」の勤務があることに起因します。このページでは、給与へのインパクトが大きい「夜勤手当」について詳しく見ていきます。
→ 看護師の夜勤バイトについて、詳しく知りたい方はこちら
→ 実際の夜勤専従の求人を確認したい方はこちら
看護師の夜勤手当の実態とは?
病院看護実態調査として日本看護協会が調査した結果の中に、看護師の夜勤手当についての報告もあるので、少しだけ見てみましょう。ここでは、日本看護協会が過去にまとめたデータも用いて夜勤1回あたりの夜勤手当の金額についてまとめています。
3交代制での準夜勤を行った場合
2011年には4,399円、2014年に4,190円、2015年は3,983円、そして2,016年の調査結果は4,076円となっています。2011年だけ少し高めの数字が出ていますが、これはそのときの調査対象や計算方法の違いによる誤差の範囲だと思われます。2015年と2016年を比べると少しだけ手当の金額が増えていますが、その差はプラス93円です。2011年や2014年の手当と比較すれば、2016年ではマイナスの結果となっています。
3交代制の深夜勤の場合
2011年は5,490円、2014年に5259円、2015年に4,953円、2016年に5,023円となり、こちらも2011年のみ少し高めの数字です。また、2015年から2016年の増減はプラス70円と控えめです。
2交代制の夜勤の場合
2011年は11,276円、2014年は10,859円、2015年は10,711円、そして2016年は10,772円です。こちらについても2015年と比較して2016年ではプラス61円と、あまり変わっていないようです。
これらの数字を見てみると、どうやら夜勤手当の増減状況はほぼ横ばい状態であまり変化していないようです。そして気になる1回あたりの夜勤手当ですが、準夜勤で4,000円前後、深夜勤で5,000円前後、2交替の場合の夜勤が11,000円前後と考えて良いでしょう。
上記の数字を高いと思うか低いと思うかは、個人によって感じ方が異なるでしょう。しかし、この金額が1か月あたりの夜勤の回数分だけ給料に加算されるわけですから、夜勤手当があるか否かで月ごとの支給額はかなり変わってくるのではないでしょうか。
しかし、これはあくまで全国平均の数字ですから、実際にはこれより高いところも低いところもあるでしょう。求人情報を確認する際には夜勤手当がどの程度になるかにも注目してみると、応募先の選択基準を考えやすくなるかもしれません。
労働基準法で決められた深夜手当は?
では、次に法で決められている夜勤手当の基準について見ていきましょう。労働基準法では、夜勤手当について次のように定められています。
「使用者が、午後10時から午前5時までの間において労働させた場合においては、通常の労働時間で計算した賃金の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」つまり、22時~5時の間には通常勤務の25%増しの賃金になるということですね。
たとえば、ある病院での夜勤は次のような時間配分で3交替での勤務となっています。
・日勤:08:00~16:45(休憩45分)
・準夜勤:16:00~24:45(休憩45分)
・深夜勤:24:00~08:45(休憩45分)
正看護師(経験3年)の給料モデルは月収30万円ですが、これには資格手当や住宅手当、そして夜勤手当も含まれた金額です。ここから諸手当を差し引いた金額が基本給となります。仮に基本給を24万円とし、月間の労働時間が160時間とすると、1時間あたりの基本賃金は次のように計算されます。
・240,000(円) ÷ 160(時間) = 1,500(円)
そして、上記の25%を計算すると1500(円) × 0.25 = 375(円)となります。これをもとに、先に例とした3交替の勤務時間に当てはめて深夜時間の割増賃金を計算してみると、次のようになります。
準夜勤
16:00~20:00 → 深夜割増なし(この時間から休憩時間45分を控除)
20:00~24:45 → 深夜割増分 = 375(円) × 4.75(時間) = 1781円
深夜勤
24:00~5:00 → 深夜割増分 = 375(円) × 5(時間) = 1,875円
5:00~8:45 → 深夜割増なし (この時間から休憩時間45分を控除)
上記の結果から、全国平均における準夜勤4,000円前後、深夜勤が5,000円前後という手当の金額は、法定の夜勤手当と比較してかなり高くなることがわかりますね。
求人情報の記載事項から夜勤手当を計算する方法
スーパーナースの求人情報では、夜勤手当の記載の仕方にいくつか種類があります。たとえば給与の欄に、「準夜勤手当がいくら、深夜勤手当がいくら」と明確に記載されている場合もあります。また、二交代勤務の場合は「夜勤手当:1万5000円/回」のように書かれているケースもあります。これなら夜勤手当について悩む必要はありません。
ところが、求人によっては夜勤手当がいくらか明記されていない場合もあります。たとえば「正看護師(30歳)・臨床経験3年の場合の月給:300,000円」のような記載方法の場合です。しかしこのような場合でも、おおまかな夜勤手当の金額を計算する方法はあります。まずは給与の記載欄に、他の手当や補助について記載がないか見てみましょう。また、3交替勤務なのか、2交替勤務なのかといった情報もチェックしておきましょう。
給与から夜勤手当を計算する
以下の求人情報を例に挙げて、算出方法を見ていきます。
夜勤の求人例 その1
上記では月給のほかに、各種手当についても記載はありますが、これらは基本給に含まれているようです。しかし、夜勤手当については金額が明記されていません。この求人を例に、【正看護師(26歳)・経験5年】モデルで計算してみます。
まずは月給から、記載のある手当などを合算した基本給を引いてみると残りの金額は120,000円となります。ここからさらに、基本給に含まれていない住宅手当30,000円を引くと、残りは90,000円です。この金額が夜勤手当となります。
夜勤は「月6回」のケースと書かれていて、またこちらの求人は2交替での勤務であることがわかっていますから、先ほど算出された90,000円をそのまま6で割ります。これで夜勤手当が「1回につき15,000円」であることがわかりますね。
夜勤手当の総計から1回あたりの夜勤手当を計算する
次に以下の求人情報の例で計算してみます。
夜勤の求人例 その2
上記の場合は夜勤手当について金額の記載がありますが、「夜勤手当49,000円(準夜勤4回+深夜勤4回)」と、準夜勤・深夜勤それぞれ具体的に夜勤手当の金額は書かれていません。しかしここでも、全国平均から準夜勤が4,000円前後、深夜勤が5,000円前後というヒントをもとに、おおまかな金額を予想することができます。準夜勤が4回、深夜勤が4回、そして一般的に深夜勤手当は準夜勤手当の1.25倍ということから計算すると、準夜勤手当が約5,450円、深夜勤手当が6,800円ほどだということがわかります。
どうしても夜勤手当がわからない場合は、求人サイトに記載されている問い合わせ先にメールで問い合わせてみる方法も一案です。このように、求人情報から夜勤手当をおおまかに算出しておけば、応募する求人を選択する上での判断基準とすることができるでしょう。
→ 看護師の夜勤バイトについて、詳しく知りたい方はこちら
→ 実際の夜勤専従の求人を確認したい方はこちら
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。