スタッフとのコミュニケーション、ポイントや求められるスキルを解説!
つねに人と接する看護師は、高いコミュニケーション能力が求められる職業です。
院内での良好なコミュニケーションは、「医療ミスを防ぐ」「患者さんに適切なケアを提供する」「確実な業務を実行する」ことに直結します。逆にいえば、コミュニケーションスキルがないと業務がスムーズに行なえなくなってしまいます。看護師として働くならコミュニケーションスキルは必要不可欠なのです。
看護師には、
- 「看護師やスタッフとの連絡や報告、相談などの意思疎通がしっかりできる」
- 「患者さんの話をしっかり聞ける」
という、看護師同士やスタッフ、患者さん双方のコミュニケーションが求められていて、それぞれポイントが異なります。
そこで、看護師に求められるコミュニケーションスキルについて「看護師同士・スタッフ」「患者さん」の2つに分けて、詳しく解説していきます。
この記事では「看護師同士・スタッフ」とのコミュニケーションについて解説します。実務レベルで心がけたい内容を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
→続く後編では、看護師同士をはじめ、スタッフ間のコミュニケーションを円滑に行なうためのポイント③~⑤を紹介します。
看護師同士などスタッフとのコミュニケーション
看護師の業務の性質上、看護師同士や医療従事者をはじめとするスタッフとの連携は必須。
コミュニケーション不備があれば、そのことが原因となり、医療ミスや事故につながってしまいます。そのため、看護師は常に円滑なコミュニケーションをとるよう努めなくてはいけません。
コミュニケーションをしっかりとれるようになれば、業務をきちんと行なえるだけではなく、良好な人間関係や働きやすさにもつながります。
働く看護師自身のストレス度合いに大きな影響を与えるので、コミュニケーションスキルを上げておくことは、自分自身のためにも必須といえるでしょう。
スタッフとのコミュニケーションの悩み
院内コミュニケーションは奥が深く、ゴールがない世界です。正直、コミュニケーションをとることはあまり得意ではないという看護師も少なくないのでは。
スタッフ間のコミュニケーションが苦手で悩んでいる人は、こんなことが理由なのではないでしょうか。
- 忙しくて、連絡・報告するタイミングが難しい。
- 怒られそうで、言うべきこと・聞くべきことも躊躇してしまう。
- 緊張してしまう(先輩、気難しい医師など)。
- 人見知りだし、うまく話せない。
- 気が弱いので、キツイ人とのコミュニケーションが怖い。
職場環境にもよりますが、特に、看護師の経験がまだ浅い人ほど、スタッフ間のコミュニケーションに悩む人が多いようです。
スタッフとのコミュニケーションで求められること
看護師がスタッフ間でのコミュニケーションで求められることは、大きくはこの2つといって良いでしょう。
-
・迅速に報告、連絡、相談をする。
・明確・冷静に意思疎通ができる。
続いてここからは、看護師同士をはじめ、スタッフ間のコミュニケーションを円滑に行なうためのポイントを5つ、体験談とともに具体的に解説していきます。
ポイント①わからないことはすぐ確認
看護師同士をはじめ、スタッフ間のコミュニケーションを円滑に行なうためのポイント1つ目は、「わからないことはすぐに確認」すること。
スタッフ間のコミュニケーションでは、迅速で正確な情報の伝達・共有が不可欠。
わからないことをそのままにしておくと、のちのちトラブルやインシデントに発展する可能性が高いです。
そのため、少しでもわからないことや不安に思うことがあれば、すぐに確認するようにしましょう。
- 理解できない内容
- 疑問に思ったこと
- 情報が足りない部分
- はっきりと聞き取れなかったこと
- どちらの意味にもとれて、具体的にわからないこと
このような、よくわからないことは憶測で進めるとミスにつながります。また、聞くタイミングを見計らっていたら状況が悪化するということは新人看護師あるある。迅速に聞くことを心がけましょう。
体験談「手術室搬入?いや、みんなと同じで休憩だよね~⇒問題発生」
- Tさん 20代後半 総合病院 整形外科病棟勤務
- 新人の頃、手術が数件重なっている日で、私も手術搬入前の患者さんを受け持っていました。
そろそろかなと思っていたタイミングで、手術室から患者さんの搬入時間を伝える電話があったので、リーダーに報告すると「じゃ行ってきて」と。
ちょうど後半のスタッフが休憩に行く時間で、まだ休憩に行っていなかった私は一瞬、休憩?手術室搬入?と迷ったのですが、なぜか私は「休憩だろう」と思い、休憩に行ってしまいました。
その後に手術室から「連絡したのに患者さんが来ない」と催促の電話があったそうで、リーダーである先輩に呼び出されました!
リーダーだった先輩も「ちゃんと伝えてなかった」と謝ってくれたのですが、疑問に思ったにもかかわらず、確認しなかった私のミスでした。この一件からは、少しでも疑問に思うことが忙しくても必ず確認するようにしています。
ミスをする時やトラブルを起こす時は、不思議なことに「なぜか、その時はそう思って、そうやってしまった」ということが本当に多いです。
Tさんの場合、リーダーも謝ってくれたということでしたが、場合によってはちょっとした確認不足が大事になりかねません。
「今確認したら邪魔かな」など遠慮せず、すぐに確認するようにしましょう。
ポイント②迅速に報告・情報共有する
看護師同士をはじめ、スタッフ間のコミュニケーションを円滑に行なうためのポイント2つ目は、情報共有は迅速に行なうこと。
多くのスタッフがチームで働く医療現場では、情報が共有されていないことでミスや混乱が生じます。複数の患者さんがいて状況も刻々と変化しているなか、共有されていない情報があることは致命的です。たった一人の看護師が迅速な情報共有を怠っただけで、チームの連携が乱れるでしょう。
スタッフ全員が迅速な情報共有をすることで、ミスは最小限に減り、患者さんの急変時にも迅速かつ適切な対応がとれるようになります。
また、スタッフ間で細かな情報共有や報告をし合うことは、信頼関係にもつながります。円滑に情報共有されているチームでは、業務もスムーズに行なえるようになるでしょう。
体験談「そういえば、あの患者さんずっといない!」
- Mさん 30代後半 精神科病院勤務
- 朝からある受け持ち患者さんが見当たりませんでしたが、お昼になったら戻ってくるだろうと思っていました。他の受け持ちの患者さんのケアでバタバタしていて、昼食の時間も終わり検温のタイミングで部屋に行ったら、患者さんはまだいません。しかも、食事も手をつけられていません。慌ててリーダーに報告に行きました。
そしたら「いつからいなかったの?」と聞かれ、「実は、今日は一度も会えてなくて……」と伝えると、「どうして、午前中の時点で報告をいれないの!」とお叱りを受けてしまいました。
当直の先生などみんなで捜索したところ、近くのファミレスでお昼を食べていたことが発覚。本人は悪びれる様子もなく「病院の近くだし、ちょっと行ってすぐ帰ってくるつもりだったんだよ」と。患者さんに何かあったらどうしようと冷や汗をかいていましたが、見つかって良かったです。
この一件以来、小さなことでも「おかしいな」と思うことがあれば、タイムリーにリーダーや師長に報告するようにしています。
看護業務は日々慌ただしいので、疑問に思ったことを少し放置しておけば、あっという間に時間がたってしまいます。
自分一人で抱えず、即座に報告・情報共有することが大切です。
よくある悩み≫ 報告・情報共有が苦手
報告や情報共有については、過去に相手がイライラしたり、聞いていなかったり、怒られたりした経験から苦手意識を持っている看護師も少なくないのでは。
忙しい現場で長々と話す時間がないこともあるでしょう。しかし、こちらの言ったことが正確に迅速に伝わらなければインシデントやトラブルの原因になりかねません。
伝える際には、このようなポイントを押さえましょう。
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報告・情報共有する際のポイント
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- 目的・結論を最初にはっきり言う。
- 5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ)を意識して簡潔に伝える。
- 聞き取りやすい音量・発音で伝える。
よくある悩み≫ 連絡・伝言のミスを防ぐには?
連絡や伝言をする際には、齟齬、伝達漏れ、伝達ミス、話の食い違いも発生します。
ミスコミュニケーションを防ぐために、このような点を徹底するようにしましょう
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連絡・伝言時のルール
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- 明瞭な返事をする。
- 必ず聞いた側が復唱して確認する。
- こちらの都合で相手の話を終わらせず、最後まで聞いてから対応する。
正確で漏れがない意思疎通を心がけましょう。
→続いて、《後編》は「コチラの記事」へ。ポイント③~⑤を解説します。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。