看護師の退職理由、円満退職するためにどう伝えると良いか、例文をまじえて解説
職場を辞めるときの退職理由について、円満退職するための内容、伝え方を事例とともに解説します。
前編の記事「円満退職できる退職理由【例文解説4つ】《前編》」では、退職理由として多いけれどもそのまま伝えては円満退職しにくくなる人間関係の不満、多忙や残業などの労働環境について解説。
後編の記事でも、退職理由として多く、またどう伝えたらいいのか悩ましい2つの事例について紹介します。
Case3≫昇給・昇格…待遇の不満があり辞めたい
昇給・昇格などの待遇に対する不満を退職理由にするのは、あまりオススメできません。
待遇については入職前にある程度分かることもあるため、「納得して入ったのでは?」と思われかねないからです。
また、その職場では妥当な待遇であった場合は、「あなたよりも貢献してくれている看護師と給与はほぼ変わらないのに、まさかのあなたが不満を言うのね……」と思われるなど、不必要に印象が悪くなっては残念です。
しかも、人手不足で辞めてもらっては困る職場では、改善案を提示されることがほとんど。改善案を提示されると退職しづらくなってしまいます。
退職理由の最大の原因が待遇であったとしても、そのほかにもいくつか退職したいと思える要因があるはず。
やりたい仕事は何か、どういう働き方がしたいのかなど掘り下げて考えてみましょう。
給料、昇格などの不満は胸の内にしまっておき、今後やりたいこと、目指す看護師像など、前向きな理由にフォーカスするのが得策です。
退職理由・例文③
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看護師〇年目となり、今後の展望を考えることが増えました。以前より○○に興味があり、キャリアアップしたいと考えており、○○に挑戦したいと思い、この度退職を決意しました。
GOODポイント
- 昇給、昇格についてはいっさい触れず、前向きなキャリアプランについて話しています。
退職したいと決意した本当の理由が昇給や昇格であったとしても、実際に退職を決意したなら、今さら昇給・昇格について不満をいっても仕方ないこと。
不満より、今後挑戦したいことというポジティブな理由を話すことで、円満退職につながります。 - 「以前から興味があった」「務めて〇年になるため、次に向かいたい」といった内容は、伝えられた側にとって違和感がなく、納得のいく説明です。
興味のある分野があったが、この職場で数年踏ん張り頑張った、という真面目な姿勢も見えて好印象です。
改善ポイント
- 前向きに転職したいことは分かったけれど、「なぜ、今?」「今は人手不足で困っているところだから、ちょっと待って」となりかねません。
「以前から漠然と考えていたけれど、ちょうど理想通りの病院が求人を出していて、受かったので辞める時期を相談したい」など、今このタイミングで退職を伝えた事由があると、さらに良いでしょう。
キャリアアップに関する退職理由は引き止めにあいにくいです。自身の未来に向けた前向きな気持ちを伝えましょう。
Case4≫新卒or転職したばかりだけど辞めたい
入職後すぐに退職を希望する場合、部署異動を提案されたり、もう少し勤務すれば変わるのではと引き止めにあう可能性が非常に高いです。
特に、入職してまだ年数が経っていない場合は、「看護師としての能力が足りていない。自信がなくなった」「向いていないと思った」という理由から退職しようと考えることもあるでしょう。
けれども、引き止めに合う可能性が高い退職理由なので、そのまま伝えるのは得策ではありません。
退職の意思が固いのであれば、相手に納得できる退職理由を伝えなくてはいけません。
退職理由・例文④
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今後の私の展望を考えたときに、○○を強く学びたい気持ちが芽生えました。早期での退職になりますが、退職することを決意しました。
GOODポイント
- 辞めようと考えるに至った理由として、ネガティブな事には触れず、前向きな今後やりたいことにフォーカスしているのが良い点です。
入社して間もないのであれば、まだ期待するパフォーマンスが出せていない半人前に見られているのではないでしょうか。
そんな半人前の新人に、「自信がない」「人間関係がうまくいっていない」といったネガティブな理由で辞めたいと言われても、了承しがたいでしょう。
「あなたはまだ入って浅い」「周りはあなたに教えているところ。まだ早い」と諭されたり、配置替えを提案されることになりかねません。
ネガティブな理由はただでさえ円満退職しづらいものですが、新人や入社間もない看護師の場合は、なおさら避けたほうがいいでしょう。
改善ポイント
- 「○○を強く学びたい気持ちが芽生えました」という点について、もう少し納得できる理由があると説得力が増します。
その学びたい気持ちが、入職前には分からなかったのはなぜか。なぜ働きはじめて日が浅い今、それを学びたいと思ったのか。こういった要素を盛り込むといいでしょう。
- 「家族の転勤」「介護のため」などの具体的で重要度が高い理由でない場合は、退職時期については職場の希望を飲む形になる可能性が高いでしょう。
そうしたくないのであれば、留学、次の職場など、今後についての希望を退職理由に盛り込み、あわせて伝えることができればベターです。
新卒や転職したてで、まだ日が浅いのに辞めたくなったときは、本当に辞めるべきか考えなおすのも必要です。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
退職の決意がしっかり固まっているのであれば、スムーズに円満退職できるのが理想です。
できれば、温かく周りに応援されながら退職できて、立つ鳥跡を濁さずに次の環境に向かいたいですよね。
不和が生じたり、人間性が疑われてしまうような退職の仕方は避けなくてはいけません。また、退職理由を上司に伝えてからも何度も話し合いを重ねて、改善されるか時間をおいて、また話し合い……というように、ずるずる勤務を続けることも避けたいことです。
そのためにも、「退職理由」はきちんと内容について考え、整えてから伝えるようにしましょう。
ぜひ、例文やポイントを参考に円満退職できる退職理由を準備してみてください。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。