看護師が病院で体験した怖い話
暑い日が続きますが、看護師が体験した怖い話でヒヤリと涼みませんか。
日々、生と死を身近で感じることが多い看護師は、不思議な心霊体験に出会うことが多々あります……。
【看護師・怖い話】シリーズでは、現役の看護師が実際に体験したヒヤリとする話、背筋が凍る怖~い出来事、身の毛がよだつゾッとする経験を紹介します。
今回は、大学病院頭頸部センター勤務のOさん(20代後半)のお話です。
不安な夜勤
私がまだ新人だった頃の話です。
まだ体力も余り余っていた頃で、夜勤明けはそのまま友達と旅行や買い物に出掛けていたほどで、いつもは夜勤の日は元気いっぱいに出勤していました。
それなのに、その日の夜勤シフトはなぜか、どうしても仕事に行きたくありませんでした。
けれど、理由がないのに休むわけにはいきません。無理に体を動かすようにして出勤していました。
深夜になり、ラウンドをする時間が来ました。
妙に心細く、「一人でまわるのは嫌だな」と、不安な気持ちになっていたことを覚えています。
深夜2:00頃。
80代前半の女性患者Yさんの個室を見回るために、ドアをそっと開けようとしました。
その時のことです。
一瞬、扉が開いたと思ったら、なんと血だらけの頭が、隙間からチラリと見えたのです。
ヒヤッと寒気がして全身があわだつのを感じました。
開かない扉
慌てて開けようとしましたが、ものすごい力で扉がバタン!
と閉まり、「ガチャッ」と鍵が閉まる音がしました。
咄嗟に、「開けてください!」と扉を叩いても、反応はありません。
事態が飲み込めず、自分の心臓の音だけが大きく聞こえています。
ハッと我に返った私は急いでナースステーションに行き、先輩に報告。
先輩とともに、個室の鍵を持って再びYさんの部屋へ戻りました。
赤いシャワー
鍵で個室を開けて部屋に入ると、個室の床が真っ赤に見えました。
ベッドは空。
ふと、シャワールームから音がしました。
先輩とそっとシャワー室を開けると、そこにYさんがいました。
Yさんはシャワーで頭を洗っていて、そのシャワーの水の色が赤く、異常な光景が広がっていました。
私と先輩は動揺しながらも「大丈夫ですか?」と声を掛けると、Yさんは青白い無表情の顔でこちらを見て、言ったのです。
「見つかっちゃった」
Yさんは、続けてこう言いました。
「実はトイレに1人で行こうと思ったら転んでしまって頭を打ったみたいで」
「看護師さんに見つかったら怒られるかもしれないと思って、見つからないように洗って(血を)流していたの」
私と先輩は、思いもかけなかった出来事に呆然としてしまいました。
インシデント!反省
即座に我に返った先輩と私は、急いで、頭部の傷を確認して圧迫止血。
すぐさま当直医に連絡して頭部のCTを撮ってもらい、頭部の傷口を縫合してもらいました。
日中は日常生活動作(ADL)自立しているYさん。
けれど、夜は睡眠薬も服用していて、足元がおぼつかないため、トイレに行く時はナースコールしてもらう約束でした。
一瞬「幽霊!?」なんて震えてしまいましたが、とんでもない。血まみれの頭は、現実の患者さんでした。
結局、私は幽霊よりお化けより人(患者さん)がある意味、一番怖いと、改めて思った出来事でした。
とはいえ、以前から看護師に気を遣って、こっそり1人でトイレに行っていることがあったようです。定期的に声を掛けて、トイレ誘導すればよかったという教訓になりました。
特に、気を遣う・遠慮がちなタイプの患者さんには、看護師側からの声掛けや誘導が大切。
患者さんは頭部にも異常なく、ホッと一安心。ですが、私たちはインシデント処理のため夜勤後は残業でした。トホホ……。
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スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。