転職したい!退職したい!となったら…「円満退職」するためにはスケジュール計画が必要
看護師が今の職場を辞めたいとき、円満退職するのが理想的ですよね。
思い立ってすぐに辞めると職場に迷惑がかかり、無責任というイメージまでつき、今後の転職先にも悪影響を及ぼしかねません。
この記事では、転職が初めての人や回数が少ない人にも分かりやすいように、転職する際の大まかなスケジュールの組み方についてご紹介。
退職の意思表示はどのぐらいの時期に誰にやるべきか、退職日はどのように決めたらいいのか、具体的に解説します。
退職するまでのスケジュール
まず、今の職場を実際に退職するとなったときの流れについて解説します。
この①から⑥までの退職までのステップを、順番に踏んでいくことが大切です。
順番が前後したり、余裕のなくてどこかのステップを省略してしまったりすると、結果的に上司の心証が悪くなったり、職場の同僚に多大な迷惑をかけてしまったり……「円満退職」とはいかなくなっていまいます。
では退職までの流れに沿って、注意すべき点をチェックしていきましょう。
STEP① いつ辞めたいのか?「希望退職日」を決める
職場を辞めたい!と思っても、今すぐ明日にでも辞められるわけではありません。
まずは、自分の中で「辞めたい日」=「希望退職日」を決めましょう。
「辞めたい」と思う理由は人それぞれ。
もし、家庭の事情や健康の事情などで、いつまでに辞めないといけないことが決まっているのなら、その日が「希望退職日」。
転職が理由であれば、転職時期を「希望退職日」とします。
転職先の入社時期がすでに決まっているのであれば、その日までには退職できるように調整しましょう。
また、ボーナスを当てにして働いていたので、ボーナスはもらいたいなど退職のタイミングが気になる方は、あらかじめいつまで在籍していたらボーナスがもらえるのか等チェックしておきましょう。
退職を伝えてから、この「退職希望日」がコロコロ変わらないように、自分の中でしっかりと退職する日付を決めておくことが大切です。
STEP② 辞めたい日の3ヵ月前に、直属の上司に退職の意志表示をする
希望退職日が決まったら、その日から一定の期間を逆算した日に退職の意思表示をします。
どのぐらい前に退職を伝えるべき?
辞めたい日を伝える時期については、法的には、退職日の14日前に伝えれば問題がない(就業規則より法律優先)とされています。
14日前となると、有給消化があればあっという間に退職日になるので、一般的には退職日の1ヵ月前までには提出すると退職がスムーズだとされています。
しかし、看護師の場合はさらに前もって伝えるのが理想的。
退職に伴ってシフト調整が発生したり、業務引継にも時間がかかることを踏まえ、できれば3ヵ月程度前に余裕をもって退職の意志を伝えると考えておきましょう。
この、どのぐらい前もって伝える必要があるかは職場によって違います。独自のルールや慣習が存在することもあり、場合によっては1年前に伝えておかないと配属などで困るという職場もあるので、退職に関わる就業規則は必ず確認しておきましょう。
また、実際に退職した看護師さんのケースを聞いても、退職日から2週間~1か月前に退職の意志を伝えるのではシフト調整が厳しく、結果として今働いている同僚に大きな負荷・迷惑をかけてしまうことに。不要な軋轢(あつれき)を生みかねません。
急を要するやむを得ない事情がなければ、できるだけ早めに職場に退職の意志を伝えるのが、スムーズに退職するためのコツです。
伝える相手は、直属の上司
退職希望日が固まったら、次には「退職の意志とその理由、退職希望日」を直属の上司に伝えます。
いきなり師長に伝えるのではなく、主任やリーダークラスに先に話しておくほうがスムーズな職場もあったりしますが、基本的には直属の上司です。
また、ドラマで見るような、「辞めます」と言いながら退職届とドン!と机におくという意思表示や、先に人事に退職届を出すという方法は角が立ってしまうので現実的ではありません。
手順としては、まず直属の上司に退職の意志を伝えましょう。
STEP③ 上司の了承を得る
退職についてスムーズに了承してもらえたらいいのですが、退職の意志や理由を伝えても、その場では引き止めに合うこともあります。
引き止めにあったらどうする?
退職するにあたっての一番のストレスはこのステップかもしれません。
引き止める職場の事情としては、せっかく育てたからという想いがあったり、欠員が出ることでその人の分の仕事を誰かが引き継いだり、シフト調整をする必要があったりするからなど様々です。
しかし、退職は労働者に認められた権利であり、就業先や上司が、退職を拒否することはできません。あらかじめ決めた「退職希望日」をしっかり持ち、意志を貫くようにしましょう。
ただし、権利を主張して強気に出たり、まったく聞く耳を持たない等、相手に悪い印象を与えてしまう行動は取らないように。あくまで丁寧な姿勢で臨み、最終的に円満退社を目指しましょう。
もし強い引き留めにあった場合は、「少し考える時間をください」と、いったんその場は持ち帰り、日を改めて「再度熟考したうえでの結論」として、改めて退職の意志を伝えるのもひとつの手です。
退職理由や事情を説明し、意志が固いことをそれとなく伝えるようにしましょう。
なかなか辞めさせてもらえない時のちょっとしたコツは、こちらの記事もご参考に。
STEP④ 有給休暇を消化
有給休暇が残っている場合は、その消化日数を確認し、直属の上司(看護部長や看護師長)とよく相談した上で、逆算して最終出社日と退職日を決めるようにするとスムーズです。
有給休暇は権利で、有給休暇の買い取りは原則は違法のため、きちんと取得しましょう。
もし、最終出社日までお仕事が休めなくて有給が使いきれず、退職日を後ろに伸ばして有給消化しようとした場合、次の転職先の入社日と重なってしまうようなら注意が必要です。
有給消化中に転職先で勤務をスタートする場合は、退職する会社、転職先の会社の両方の同意が要ります。各種保険の手続きで問題がおこらないように、「希望退職日」内で有給を消化するようにしましょう。
退職日、最終出社日は、口頭で了承をもらうだけではなく、後々のトラブルや認識違いを防ぐため、書面で残しておくようにしましょう。
STEP⑤ 退職届を提出
これまでのSTEP①~④までを踏まえて、あらためて退職届を出すのが一般的です。
退職届には、「退職日」を記載するためです。退職届に確定した日付を記載します。
手書きのものを用意し、直接手渡しで上司に提出しましょう。
メールで退職届を出すのはNGです。
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退職届と退職願の違い
- 「退職願」と「退職届」、一見すると違いがないように思えますが、同じものではありません。
退職願はあくまで、「退職したい」という希望であり、退職届は「退職します」という明確な意思表示です。
「退職願」は提出後に撤回することができますが、「退職届」は受理されてしまうとその後の変更や撤回が原則できません。文面も以下のように微妙に異なります。退職願:この度一身上の都合により、平成○月○日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。
退職届:この度一身上の都合により、平成○月○日をもって退職いたします。
STEP⑥ 退職日
退職日は、その会社に在籍する最後の日です。
最終出社日とはまた違い、有給消化を最後につけた場合、退職日より前に最終出社日があります。
辞めてから周囲が混乱したり、また自分も辞めてしまってから困ることがないよう、退職日までに万全の準備をしておきましょう。
①貸与品など返却すべきものを返却
病院から貸与されたもの、返却する必要があるものは退職日までに返却します。
②退職後に必要な書類などの申請や受け取り
- 雇用保険被保険者証
- 離職票
- 年金手帳(預けている場合)
- 源泉徴収票
- 退職証明書
まとめ
円満退職するための、退職までのスケジュールについて解説しました。
職場を辞める時はストレスが多く、人生について思い悩んだり、これからの仕事や環境についての準備が必要だったり、精神的にも肉体的にもやることが多いもの。
思わずやるべきことを飛ばしてしまって、せっかくこれまで積み上げてきた評価を下げてしまったら残念なこと。後味が悪い思いをしないよう、退職までのステップを丁寧に進めていき、円満退職できたら幸先が良いですよね。
転職の際に用意していたい退職理由や、志望動機の書き方、面接対策についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。