看護師として仕事をしながら、「病院の中ではない、別の業界で再チャレンジしてみたい」と考える機会がある方は多いと思います。
そんな時、ついつい悩んでしまうのが「せっかく学校で勉強して取った看護師資格がまったく役立たない業界へ転職するのは不安……」ということでしょう。
そこで今回は、看護師の資格を持っていることが活かせる病院以外の仕事の一つ「クリニカルスペシャリスト」についてご紹介します。
クリニカルスペシャリストとは?
「クリニカルスペシャリスト」というお仕事ですが、職種の呼び名としては統一されていません。
企業によっては同じ業務を「フィールドナース」としている場合もあります。
「フィールドナースなら聞いたことがある」という方も、いるのではないでしょうか。
クリニカルスペシャリスト(フィールドナース)のお仕事内容ですが、医療機器メーカーの社員として営業担当者と一緒に取引先の病院などを巡回します。
そこで医師などのスタッフさんに対し、自社製品の使い方や良さなどを専門的に説明したり、実際に取り扱うデモを実施したりするのがクリニカルスペシャリストの役割です。
このため、クリニカルスペシャリストは「営業職の一種」と、営業マンの人と一括りにされる機会もあります。
しかし製品を販売するのはあくまで営業マンであり、クリニカルスペシャリストはその補助役という位置づけで認識することのほうが適切でしょう。
クリニカルスペシャリストに求められること
クリニカルスペシャリストには、先に述べた通りフィールドナースという呼び名もあります。
「ナース」と付くということは、看護師が転職するには有利なのかな? と思えてきますが、実際にはどうなのでしょうか。
ここでは、クリニカルスペシャリストの業務に求められる要素についてご紹介します。
1.看護や医療に関する知識
クリニカルスペシャリストの求人では「未経験者歓迎」と記されているものも少なくありません。
しかしクリニカルスペシャリスト自体は未経験でも、看護師の資格があり実務経験もあれば基本的には歓迎・優遇されます。
医療や看護の知識は、医療機器を詳しく紹介・説明するためには必須になるためです。
ちなみに、看護師以外の資格・経験では理学療法士、作業療法士、臨床検査技師なども歓迎されるでしょう。
2.コミュニケーション能力や提案するマインド
営業マンに同行し、取引先にデモやプレゼンを行うことがクリニカルスペシャリストのおもな仕事です。
売り込み自体は営業が行うとはいえ、取引先とのコミュニケーションを販促活動につなげる機会は数多くあるでしょう。
このため、営業活動自体は得意でなくても「売り込むためのマインド」や「顧客と円滑に交流を図る能力」は重視されます。
ここでも、多くの患者さんと和やかにコミュニケーションを取ることを続けてきた看護師の経験は活かせるでしょう。
3.会社によっては語学力を求められることも
医療機器メーカーには外資系企業も多く、社内の意思疎通に外国語が必要となる場合もあります。
そのような企業に転職する場合は、英語などの語学力を要求されることもあるでしょう。
4.なんといっても自社製品に関して詳しくなること
提案力も大切ですが、そのベースとなる商品知識はそれ以上に大事な基本中の基本です。
わかりやすく製品の魅力を伝えるためには、正確な知識がなければなりません。
自社製品に誰よりも詳しくなり、どんな方に対しても理解していただける説明やデモをいつでもできるようになることが求められます。
クリニカルスペシャリストになるには
看護師がクリニカルスペシャリストに転身するには、どのように転職活動を行えばよいのでしょうか。
ここでは、看護師がクリニカルスペシャリストに転職するための方法についてご紹介します。
1.転職サイトや転職エージェントに登録し、希望職として伝える
看護師や医療分野専門の転職エージェントは、病院勤務の求人だけを取り扱うとは限りません。
クリニカルスペシャリストも看護師経験が活きる医療業界の仕事ですから、その求人を扱っているエージェントもあります。
もしクリニカルスペシャリストとして転職を確実に成功させたいなら、
転職エージェントに相談する際に「クリニカルスペシャリスト(フィールドナース)への転職を志望している」と伝えましょう。
2.ご自身で求人情報を見つける
クリニカルスペシャリストという職種自体はまだ新しく、人材は不足気味の状況です。
そのため、一般求人情報などを探しても求人自体は見つかることがあるでしょう。
自力で転職活動をしたい方の場合はそれらに頼ることとなりますが、応募先企業の社風や内部事情までを把握することは難しいかもしれません。
3.現職に在職中なら医療機器などの取り扱いを学んでおくとよい
現職の看護師として在職しながら転職活動をするなら、その仕事に就いているうちに病院内の医療機器について詳しく知っておくと良いでしょう。
クリニカルスペシャリストの業務では、医療機器についての知識や取り扱い方を正確に詳しく身につけなければなりません。
看護師経験はもちろんのこと、それに加え医療機器に少しでも詳しくなっておくと、転職後の実務に慣れるためにはより有利でしょう。
まとめ
この記事では、看護師資格が活きる病院以外の仕事の一つ「クリニカルスペシャリスト(フィールドナース)」の仕事内容や転職する方法をご紹介しました。
看護業界から離れビジネスパーソンとして仕事をしたいけれど、せっかくなら資格や経験を活かしたいという方なら、クリニカルスペシャリストはおすすめの職業です。
一般ビジネスにおけるマナーを身につけられ、業務の規模によっては国際的な活躍もできるかもしれません。
クリニカルスペシャリストは会社員のように土日休みで夜勤などのない仕事ですが、看護師同様に体力や精神力が要求されるものです。
「転職で楽になる」とは考えないほうが良いのですが、看護師として必死に頑張ってきた経験は確実に役立つでしょう。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。