「働き方改革」が国策として推進されるとともに、「ワークライフバランス」という言葉も頻繁に聞かれるようになりました。
みなさんも看護師として働きながら、ご自身のワークライフバランスについて考える機会が増えたのではないでしょうか。
この記事では、看護師のワークライフバランスのとり方や調整のポイントについて、ご紹介します。
「もしかして私って働きすぎ?」「そろそろ自分の働き方を見直してみたい」などとお悩みの看護師さんは、ぜひご参考にしてください。
忙しい看護師こそ、ワークライフバランスの安定が大切
一般の方に看護師の仕事のイメージを聞くと、決まって「忙しい仕事」という回答が返ってきます。
それだけ多忙なイメージが浸透している看護師ですが、「忙しくて当然」と考えてしまうことは少し危険かもしれません。
看護の業務は患者さんの命を預かるだけに、つねに医療ミスに対する心配が付き物です。
ちょっとした間違い一つでも、重大なインシデントにつながる可能性はゼロではありません。
そんな仕事に就いている看護師さんがいつも忙しく心身を消耗させているという状況は、あまり好ましくありませんよね。
また看護業界は女性の比率が高く、みなさんも家事や育児、プライベートとの両立を忙しい中でどうやり繰りするか考える機会が多いことでしょう。
いつも多忙な看護師の仕事こそ、ワークライフバランスの見直しが急務であるということが分かります。
看護師業務におけるワークライフバランスに対する取り組み
忙しい看護師の仕事ですが、近年ではワークライフバランスの整備に対して積極的な取り組みも実施されています。
ここでは、看護師の職場におけるワークライフバランスに関する取り組みについて、ご紹介します。
1.勤務時間の希望を汲み選択制としている職場
日勤・夜勤などの勤務時間を持ち回り制ではなく、選択制にすることで看護師の働き方を改善する取り組みです。
日本看護協会では、看護師の夜勤や交代勤務に対するガイドラインを策定しており、「勤務1回の拘束時間は13時間まで」「夜勤での連続勤務は5日まで」などの基準を示しています。
しかしそれに限らず、家事や育児との両立を図りたい看護師の意向を汲む傾向が近年顕著になっています。
例として夜勤回数を選択制としたり、日勤専従・夜勤専従・交代制から働き方を選択できたりする制度を取り入れる職場も現れています。
2.休暇制度の拡充
勤務時間だけではなく、休日の確保も看護師のワークライフバランス整備には重要です。
そこで、多彩な休暇制度を設ける職場も増えてきました。
たとえば、職員のボランティア活動をすすめる「ボランティア休暇」や、子どもの病気や怪我を看る必要が出たときのための「看護休暇」などが挙げられます。
また子どもの学校や地域での行事に参加するための「イベント休暇」や、看護師自身が留学する際の休暇などを設けるところもあります。
3.職員の家族の保育・介護支援
育児中・介護中の看護師の負担低減のために、子育て・介護支援を実施する職場も増えています。
育児や介護に携わる職員への保育料や介護サービスの料金補助をはじめ、育児・介護による休職に際しても給与の一部支給をするところもあります。
また、院内に保育所や託児所を設けて職場で子どもを預けられる職場も数多く見られるようになりました。
4.カムバック(復職)に対する支援
育児や介護などで看護業から一時離れていた看護師の復帰に際する支援も盛んになっています。
eラーニング(インターネットを活用した通信講習)による個別復職支援や、復帰直後は時短勤務から始め、再教育を受けられるプログラムの導入などが挙げられます。
看護師のワークライフバランス支援はまだ発展途上
看護師のワークライフバランス改善に向け、さまざまな取り組みが行われていることが分かりました。
しかし実際のところ、それらの取り組みも近年になってようやく始まっており、まだ発展途上という状況であると考えられます。
ワークライフバランスの充実を考えて転職を検討する看護師さんは、それらの支援制度などにも着目しながら転職先を探すと良いでしょう。
ただし、ワークライフバランス改善に取り組んでいる職場はまだ大多数とはいえません。
確実に転職を成功させるには、ご自身の希望に合った求人を吟味の上、紹介してもらえる転職エージェントなどを活用しながら、手堅く職場探しをすることもおすすめです。
まとめ
この記事では、看護師のワークライフバランス改善への取り組みについてご紹介しました。
多忙な職業の代表格のように語られてきた看護師にも、働き方改革の波は確実に好影響を及ぼしつつあります。
しかし、実情を鑑みると常に人手不足な業界だけに、まだまだ激務を強いられてしまう職場も多数あると考えられるでしょう。
もし現職での働き方改革実現が当面難しいなら、ご自身のワークライフバランス改善を考えて、適した職場を探しながら前向きに転職活動を始めることも一つの手でしょう。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。