看護師として働くには「看護師資格」が必要ですが、その上で就職時に試験や面接を通過する必要があります。
現在看護師さんとして働いている方は、全員なんらかの試験を通って就職・転職を成功させていることになります。
就職・転職活動のポイントとしては「面接」がよく挙げられますが、それ以外に筆記試験や適性検査を設けている職場がほとんどです。
そこでこの記事では、看護師が転職を試みる際には受けることが必須ともいえる「適性検査」についてご紹介します。
看護師の転職で受ける「適性検査」とはどんなもの?
看護師は人とかかわる能力が求められるため、就職・転職の際には面接や筆記試験のほかに「適性検査」の受験が課される場合があります。
ここでは、看護師が転職時に受ける適性検査の概要をご説明します。
【看護師の適性検査ではどんなことをする?】
看護師の仕事をすることに、応募者が人格的にふさわしいかどうかを確認するために、さまざまな企業の採用選考でも用いられている性格検査のような「適性検査」を導入している職場が数多くあります。
書類選考を通過し、2次試験の一環として実施されるケースが主流です。
看護師の転職で多く用いられる適性検査の種類ですが、「クレペリン検査」もしくは「Y-G性格検査」、「SPI3」の3種類のいずれかを採用している職場が多いとされています。
クレペリン検査は、15分の試験を前半・後半に分けて2回実施するもので、Y-G性格検査は約30分間で120の質問に回答するものです。
「SPI3」は、「能力検査(言語・非言語)」と「性格検査」の2部に分かれており、仕事を実行する能力と性格的な傾向を2つのテストで測るようになっています。
適性検査ではどのような問題が出題されるのか
ここでは、看護師の転職で用いられることの多い適性検査「SPI3」を例に挙げ、出題される問題の特徴や傾向などについてご紹介します。
【SPI3で出題される問題内容/言語分野】
言語問題は、学科で言うと「国語」に該当する問題で、「二語関係」「熟語」「語句の用法」「文の並べ替え」「空欄補充」「長文読解」の6科目で出題されます。
たとえば「二語関係」では、2つの単語を並べてその2つの意味の関係性を理解し、3者択一の選択肢からそれと同じ関係性を持つ二語の組み合わせを選びます。
「熟語」は、2字・4字熟語が提示され、その正しい意味を選択肢のなかから選定する問題が出題されます。
上記のうち、「二語関係」に関するモデル問題を以下にご紹介します。
・最初に提示された二語の関係と同じにあたるものを、A~Eからすべて選んでください。
「口紅と化粧品」
A 水と油
B 紙と鉛筆
C スカートと洋服
D 政治と経済
E 犬と動物
正解は「CとE」になります。
「口紅」は「化粧品」の一種にあたるため、「先の単語が後の単語のなかの1種類である」という考え方で選択します。
【SPI3で出題される問題内容/非言語分野】
非言語問題は、学科では「数学」に該当する問題で、「推論」「順列、組み合わせ、確率」「割合と比」「損益算」「料金割引」「仕事算」「代金清算」「速度算」「集合」の9科目で出題されます。
上記のうち、「料金割引」に関するモデル問題を以下にご紹介します。
・ある美術館の入館料は1人1,000円ですが、団体割引で11人目からは2割引になります。
また、31人目からは 3割引きになります。
もし50人の団体が入場する場合、1人あたりの平均入館料はいくらになりますか。
A~Dから選んでください。
A 750円
B 800円
C 700円
D 725円
上記の問題の正解は「B」で800円です。
解き方は、
「10人目まで:1,000円×10人=10,000円」
「11~30人目まで:800円×20人=16,000円」
「31~50人目まで:700円×20人=14,000円」
と入場料別に分けて総額を計算し、
「10,000円+16,000円+14,000円=40,000円」とその合計を算出します。
それを「40,000円÷50人」で割ると、1人あたりの平均入場料が「800円」であると分かります。
上記のように、各科目について過去の出題や例題が解答・解説付きで載っているSPI対策問題集もあります。
インターネット上で例題を公開しているサイトなども見つかるため、転職で適性検査を受ける予定の看護師さんはぜひ予習をしておくとよいでしょう。
転職で受けるテストは、適性検査だけじゃない
適性検査はどのような内容で実施されるのかについて、例を挙げてご紹介しましたが、もちろん転職時の試験は適性検査だけではありません。
看護師の転職で設けられることの多い、筆記試験を中心としたテストには適性検査のほかに以下のような試験もあります。
【一般常識】
社会的な常識や時事問題などが出題され、どのくらい日ごろから社会と接点を持っているかを測る問題です。
ニュースなどにしっかり目を通し、時事や文化・教養に関心を持っておくことが大切です。
【小論文問題】
テーマを課され、それに関して自身の考え方や意見を述べる論述問題です。
文字数の目安が設けられているため、それに沿った長さで時間内に文章を完成させましょう。
看護師の転職の場合に多いテーマには「私の看護観」などのほか、特定の診療科の病院の場合はその科に関する具体的な主題になることもあります。
まとめ
今回は、看護師が就職・転職の際に受けるテストの一種「適性検査」の概要についてご紹介しました。
適性検査のなかでも「性格検査」はあまり予習の手段がありませんが、「能力検査」は事前に例題などを解くことである程度対策ができます。
例題で見たことのある問題が出るだけでも、無用な緊張感に悩まされることは減るはずです。
事前に少しでも対策をしておけば、いざテストを出されて焦ることも防げるでしょう。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。