所属する看護師の人数が多い診療科といえば、「内科」か「外科」を挙げる人が多いでしょう。ひとくちに病院といってもさまざまな診療科がありますが、それらを代表する大規模な診療科が「内科」と「外科」といえるかもしれません。
この記事では、内科に勤める看護師の仕事内容についてくわしくご紹介します。知っているようで意外と知られていない内科看護師の業務について知り、どのような看護師さんが内科に向いているかについてもご説明しましょう。転職・就職を控えた看護師さんは、ぜひご参考にしてください。
内科の看護師の仕事内容と、外科との違い
内科は、「消化器内科」「循環器内科」など、治療する疾患や患部の種類によってさらに細分化されています。体調不良のなかでも怪我や皮膚疾患などではなく、「どこか身体の調子が良くない」と思って病院に出向く場合、まずは内科を訪ねるという患者さんも多いでしょう。
そのため内科は、「まず全身の状態をチェックし、内科での治療が適しているか判断する」ことから診察・診療を始めることが多い診療科です。そのまま内科で治療を行う場合は、内科のなかでも疾患や患部に応じ消化器内科・神経内科といった分科を決めて治療を続けます。もちろん、症状や疾患の種類によっては、整形外科や脳神経外科のような外科に移動して治療を続けることもあります。
内科の看護師さんの仕事は、外来時の検温や採血・検尿、検査結果に基づく投薬や注射・点滴などの処置がメインとなります。入院患者がいる病棟では、それらに加えて身体を動かすことが不自由な患者さんへの介助や、ソーシャルワーカーとの連携などが求められます。
また、慢性疾患を抱えた患者さんへの生活指導や食事などに関するアドバイスも、内科の看護師さんの重要な仕事です。さまざまな診療科のなかでも、患者さんとの意思疎通やコミュニケーションが特に大事になるのが内科です。
内科の大きな特徴は、「治療期間の長い患者さんが多い」という点です。慢性的な症状を治療するケースが多くなることが要因ですが、そのため1人の患者さんとじっくりコミュニケーションをとる機会が多い診療科といえるでしょう。ちなみに、外科は急性症状中心の診療科ですから患者さんの回復も早く、目に見えて治療の結果が分かりやすいという特徴があります。内科はその対極で、じっくりと腰を据えて治療を行い、その成果はじわじわ現れてくるという傾向が強いと考えられます。
看護師が内科で働くメリット・デメリット
ここでは、看護師さんが内科に勤めるメリットとデメリットをご紹介します。
メリット1:患者さんとのコミュニケーションが密になる
生活指導やお薬の説明などをする機会が多いため、患者さんと看護師さんが接する機会がとても多くなります。また、患者さんのご家族と接触する機会も増えるでしょう。患者さんと心を通わせながら働きたいと考える看護師さんなら、内科には大きなメリットを感じるでしょう。
メリット2:緊急対応が少なめ
突然患者さんが生死にかかわる事態に見舞われたりするような、緊急事態が内科では比較的少なめです。とっさの対応中心よりは、じっくり腰を据えて患者さんと向き合いたいと考える看護師さんなら、働きやすい診療科といえそうですね。
デメリット1:説明が多く、看護師も医療に関する高度な知識が求められる
お薬、診療・処置に関してや検査結果など、とにかく説明事項が多い点が内科の特徴。どんどんアップデートされていく医療の新たな知識を、つねに追って身につける必要があります。学生や新人のころに身につけた知識や技能だけで乗り切ることは難しく、勉強熱心さが必要でしょう。
デメリット2:治療の成果が目に見えて分かりにくい
内科の疾患は外科とちがって、治療の成果が日に日に分かるとは限りません。明確に結果が出ることに喜びを感じるという看護師さんにとっては、一進一退のケースもありがちな内科での治療にストレスを感じることもあるかもしれません。
内科に向いている看護師さんの特徴3点
ここでは、どのような看護師さんが内科に向いているかについて、ご紹介します。
1.患者さんの症状や状況を長期的に看られるナースさん
内科は外科などと異なり、治療が長期にわたるケースも多くなります。回復や治療の効果を実感できるまでには時間がかかる点が内科診療の特徴ですが、それらを根気よくサポートできるナースさんなら内科の戦力として活躍できます。
2.患者さんの様子を推し量れる「観察力」を持ったナースさん
内科で苦労しがちな要素といえば、目に見えて患者さんの様子が分かりにくい点。しかし、ちょっとした患者さんの変化を汲み取って治療に活かせる観察眼を磨きたいという向上心を持っているなら、内科で働くことに適しています。
3.コミュニケーションスキルを持ったナースさん
内科の看護師さんが身につけたいスキルといえば、やはりコミュニケーションスキルです。それと並び、「人が好き」「人に興味がある」などの性格的特徴も大切。内科は殊更に「患者さんと話す機会」や「患者さんの相談を受ける機会」が多い診療科です。患者さんと治療についてよく話し合い、回復に向けともに頑張りたいと思えるナースさんこそ、内科で求められる看護師像といえるでしょう。
まとめ
今回は、内科の看護師さんのおもな仕事内容や、内科に向いている看護師さんの特徴などについてご紹介しました。内科の看護師さんは、コミュニケーションの機会がとても多いもの。内科でスキルを磨けば、一般の人に対して健康相談などを行う保健師や、看護師さんたちのリーダーとなる管理職に就くことにも向いているでしょう。
内科の看護師さん特有のお悩みとして、「ルーティンワーク中心の業務で、将来キャリアアップできるのだろうか?」という点があります。しかし、内科で培えるコミュニケーション力は保健師などの専門職や管理職で十二分に生かせる実力の1つ。自信を持って、この先の資格取得や昇進などを視野に入れながらキャリアプランを考えてみてください。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。