看護師の資格を活かして働くなら、病院などの医療機関へ勤めるという選択肢しかないと思っているナースさんは少なくないでしょう。しかし、働き方の多様化が著しい現代では、看護師の資格を活かしてフリーランスとして活躍する方も多くなっています。
今回は、これからどんどん活躍する場が増えると目される「フリーランス看護師」という働き方について、くわしくご紹介します。ご自身のスキルに自信を持っている看護師さんなら、組織に属さず特化された分野での付加価値を提供するフリーランス看護師という働き方を検討する余地もありそうですね。
フリーランス看護師は、どんな仕事をするの?
絶対数はまだまだ少数のフリーランス看護師ですが、その働き方はかなり特徴的です。ここでは、フリーランス看護師の具体的な仕事内容について、ご紹介します。
1.常勤看護師の休日などにヘルプとして働く
看護業界はつねに人手不足の状況ですから、病院の常勤職員が休みを取って人員が足りなくなるときにヘルプとして出勤するという働き方があります。これまで病院勤務を長く行ってきた看護師さんなら、働き方もさほど変わらないためフリーランスとしても比較的やりやすいでしょう。
2.訪問看護の看護師として患者さんを訪ねる
在宅医療を推進する流れから、訪問看護の看護師さんの存在が注目されています。訪問看護の看護師として働くには、訪問看護ステーションに就職する方法もありますが、一部の訪問看護ステーションではフリーランス看護師の登録制をとっている所もあります。また、常勤職員がいる訪問看護ステーションでも、職員の休日などにヘルプとして入れる場合があります。
3.健診スタッフやイベントナース・ツアーナースなど、単発の仕事
学校や職場で実施される定期検診や、イベント会場・ツアーの旅行先などにも看護師の需要があります。これらの仕事の場合、単発のアルバイトで人員を募ることも多いため、フリーランス看護師の活躍の場としても有用です。
4.研修・学会などの講師・スタッフ
フリーランス看護師には、看護関係の研修や学会で講師やスタッフを務めるという働き方もあります。特定の診療科で専門的なスキルを身につけた看護師さんや、専門資格を取得している看護師さんならこのような付加価値性の高い仕事にチャレンジしてみるのもよいでしょう。
従来かなり珍しいパターンだった「看護師がフリーランスで働く」という形も、徐々に一般化しつつあります。看護師資格を持つ方がフリーランスで働くことを可能としたのは、なんといっても働き方の多様化でしょう。また、組織に属してルーティーン的な働き方に終始するより、本人の強みを活かしさまざまな状況で柔軟に対応できる人材が求められ始めたことも、大きな要因と考えられます。
フリーランス看護師のメリットと注意点
ここでは、看護師がフリーランスとして活躍するメリットや注意点についてご紹介します。
■メリット
1.職場の都合に縛られずに働ける
常勤で仕事をしていると、周りの都合に合わせて動くことが優先されがちです。また、同じメンバーで長く顔を合わせて働くと、人間関係の軋轢に悩む機会も増えるでしょう。それらの大人の事情に縛られず、自身のスキルだけを武器に仕事をしたいと考える方には柔軟に働けるフリーランスはおすすめです。
2.働く時間と休む時間を自由に調整できる
フリーランスには決まった勤務時間や休日はありません。自身の都合に合わせて、働く時間や休む日を決められます。少し忙しく働きすぎたと思ったら、まとまった休みをとって旅行に行くなどの融通も利かせやすいでしょう。
■注意点
1.収入が安定しないので計画的な業務管理が必要
看護師に限らず、フリーランスは定期収入がない仕事です。とても仕事量が多く収入の多い時期もあれば、仕事が減ってガタッと収入が少なくなる時期もあるでしょう。そのような状況の浮き沈みも踏まえて、貯蓄や働き方を考慮することが大切です。
2.逆に頑張りすぎて自由度がなくなる可能性も
「フリーランスは収入が安定しない」ということに固執しすぎると、自由に働くどころかつねに仕事を入れすぎてまったく休む暇がないということになりかねません。フリーランスになってしばらくの間は自身を売り込むことも考えて、頑張って多めに仕事を入れるのもよいでしょう。しかし、それで信頼を得てコンスタントに仕事が入るようになれば、ある程度ご自身の裁量で仕事量を決められるようになることも大切です。
フリーランス看護師の年収と、求められる資質
ここでは、皆さんが気になるはずのフリーランス看護師の年収や、フリーランス看護師に求められる資質についてご紹介します。
1.フリーランス看護師の年収は?
フリーランス看護師の年収ですが、各看護師さんの働き方も多様なため平均値などを出すことは困難です。一例で、看護師の仕事にこだわらず看護研修の講師や介護などのさまざまな仕事をこなした看護師さんで「年収500万円弱」というケースがあります。ボーナスや一時手当金がない状況ながら、常勤の看護師さんと変わらない年収をめざすことも可能なのですね。
2.フリーランス看護師に求められる資質
常勤の看護師さんと同じスタンスで働き続けることは難しい、フリーランス看護師の仕事。フリーランス看護師に求められるのは、以下のような特性や考え方でしょう。
・たいていのことは1人でできる
・自己管理をしっかりできる
・教えてくれる人がいないので、自主的に新しいことを学べる
・状況や環境の変化に強い
フリーランスで働く方は、確定申告などの会計処理も自分で行う必要があります。また、ご自身の仕事の愚痴や相談ができる仲間がいつもいるとは限りません。また、黙っていれば勉強も教えてもらえないので、自主的に学ぶ機会を作ることも大切でしょう。
3.フリーランス看護師の仕事探しについて
フリーランス看護師は、つねに仕事を探す必要があります。常勤看護師時代の人脈に頼って紹介を受ける方法や、新規でご自身から営業に出向くケースなどがおもな仕事の探し方でしょう。しかし、それでは思うように仕事を入れられない場合もあります。
上記のような仕事探しに加え、看護師専門求人サイトに登録して希望に合った仕事を紹介してもらう方法を取り入れるとよいでしょう。希望の時期・勤務時間・勤務地に合う仕事の紹介を受けられますし、単発のレア求人(条件が良く珍しい求人情報)なども見つけやすいはずです。
まとめ
今回は、近年注目されている「フリーランス看護師」という働き方についてご紹介しました。働き方改革が叫ばれて久しいなか、自由度の高いフリーランスを選択する方も増えています。一見メリットばかりが多いように見えがちなフリーランスですが、人によって向き不向きがあるほか意外にもコミュニケーション力や計画性が何より重要なもの。ご自身の将来やキャリアプランと照らし合わせて、慎重に今後の働き方を考えていきましょう。
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スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。