看護師が転職する理由のなかで、大きな割合を占めているものが「人間関係」です。
病棟などに勤めている看護師さんなら、いつもたくさんの先輩・同僚たちのなかで仕事をしているはず。
人数が多くなれば、その分人間関係がギクシャクしてくる可能性も上がってしまいますね。
ピリピリした雰囲気の中でいつも仕事をすることに、かなりのストレスを感じたという経験がある方も多いことでしょう。
今回は、看護師の人間関係に関する悩みを克服するポイントについてご紹介します。
考え方1つで気持ちの切り替えができることもよくありますから、現在まさにお悩み中という方もぜひご参考にしてください。
看護師として働くうえで人間関係が大切な理由
看護師が退職してしまう理由の第1位は、「職場の人間関係」です。
これを見ただけでは「看護師の職場は人間関係が良くないのだろうか?」と思われそうですが、そうではありません。
人間関係でお悩みを抱える看護師がそれだけ多いということは、看護師にとって人間関係は、働くうえでも非常に重要であるということでしょう。
看護師のお仕事で人間関係が大切になる理由には、以下のようなことが挙げられます。
・業務全般において、報告・連絡・相談などのチームワークが大切
・人命を預かる仕事なので、協力し合ってミスを防ぐ必要がある
看護師のお仕事で最も避けたいことが「医療ミス」であることは、働く皆さんが最も良くご存じかと思います。
人命に関わるミスを防ぐには、ちょっとした連絡の行き違いまでも未然に抑える必要があるでしょう。
確認や相談を徹底して実行し、スムーズに介助や処置を進めるためにも、人間関係が円滑であることは何より重要。
そのため人間関係で何か気になることがあれば、「仕事に影響があるのでは? 」と考え、他のどんなお仕事よりも神経を配る機会が多くなるはずです。
看護師の人間関係に関するよくある悩み
看護師の仕事は女性中心の職場も多く、さらに一部署の人数がかなり多くなることもあるため、特有の人間関係に関するトラブルも付き物と言われています。
ここでは、看護師さんたちが日ごろ悩みがちな人間関係の困りごとについて、ご紹介します。
1.先輩や上司の意見に賛成できないが、ひと言言えるはずもなくストレスに
看護師として働く限り、先輩や上司と一緒に仕事をすることになります。
毎日顔を合わせて長く一緒に働いていれば、いくら先輩や上司であっても意見や方向性がいつも同じというわけにはいきません。
しかし、自分が部下や後輩という立場である以上、「変だな」と思ったときにそれをすぐ指摘するというのも至難の業です。
結局、もやもやした気持ちをずっと引きずりながら何か月、何年と働き続けるうちに大きなストレスを抱えてしまうことになるのです。
2.とにかく職場に人手が足りず、激務ゆえに雰囲気がギスギスしがち
慢性的に人手が足りない職場は、ただでさえ忙しい看護師の仕事がさらに激務になってしまいます。
気づいたら、誰も引き受けたくない仕事の押し付け合いになったり、全員が過重労働でつねにピリピリした雰囲気になってしまったりするでしょう。
そうなれば、新しく入った看護師さんもすぐやめてしまうという悪循環が生まれてしまいます。
結局人手不足の状況は続き、雰囲気も一向に良くならない……ということになりかねません。
人間関係良好な職場と、そうでない職場の見分け方
ここでは、看護師の人間関係が良い職場と、逆に良くない職場を見分けるポイントについて、ご紹介します。
人間関係良好な職場の特徴
1.職場が明るく、きれいに整理整頓されている
ナースステーションや備品の置き場などが、きちんと整理されてきれいになっているなら、そこで働く看護師さんたちみんなに心の余裕があると判断してよいでしょう。
雰囲気が明るく、和やかな印象であればなおさらです。
2.主任など現場クラスの上長に指導力がある
現場を取り仕切っている上長(看護主任など)に指導力があり、明るく部下を引っ張っていける状況が出来上がっていれば、現場の人間関係にも好影響を及ぼすでしょう。
また、単に優秀なだけでなく、親しみやすく話しかけやすいタイプの上長であれば、より人間関係が円滑に保たれる好循環を築くことができます。
3.新人や後輩の教育が手厚く、しっかりできている
新人教育などの体制が整い、充実している職場はたいてい人間関係も和やかです。
即戦力となることを期待しすぎず、じっくり指導できる余裕があるということですから、新人も安心して職場に馴染むことができることでしょう。
4.スタッフ同士、お互いを思いやる気持ちがある
看護師は、同じ看護師同士だけでなく院内にいる他の立場の人との連携も大切な仕事です。
「看護師なので、看護の相手である患者さんとだけコミュニケーションがうまく取れていれば良い」ということはありません。
患者さんはもちろん、医師やリハビリ担当者などと関わる機会も多いでしょう。
そんな現場ですから、相手の立場を尊重して思いやる気持ちで動くことはとても重要です。
他の院内スタッフさんに対しても、それぞれの状況や意思を重んじて行動できることで、職場の雰囲気はがらりと良くなるでしょう。
5.変だと感じた所は適宜マージするなど、細かな気配りにもチームワークを活かす
他の看護師さんの行動や言動を「変だな」と感じたとき、どのようにフォローしていますか?
「あの人はちょっと苦手だから避けよう」と思うことは、雰囲気を損ねる元かもしれません。
「変だな」と思うことを放置し当事者を避ければ、本人ばかり糾弾されて立場が揺らぐことも考えられます。
チームワークや人間関係の面でも、それは良くないことでしょう。
周囲が「あの発言は少し変だけれど悪意はなくて、実はこうなのだよ」と、フォローし合える現場が理想です。
また本人に対するフォローも、「良い所を褒めてから改善点を提示してお願いする」という形ができている職場は、無用にギスギスせず良い関係が保てるでしょう。
人間関係に難がある職場の特徴
1.管理職が看護の部署を大切にしていない
トップの心構えは、各職場にもあらわれるものです。
管理サイドが現場をまったく気にかけなかったり、看護師たち以前に管理職同士の人間関係がギスギスしていたりすれば、その雰囲気はすべての職場に伝わってしまいます。
2.特定の看護師が、理不尽に権力を振りかざしている
いわゆる「お局」と呼ばれる存在です。
長期間勤めていたり、現場のベテランであったりするだけで、なぜか上長クラスの看護師もその人に従ってしまう……という図式ができていると危険。
その人の顔色ひとつで上司や先輩も動いてしまうような状況なら、後輩や新人など大切にしてもらえる余裕すらないという可能性も大きいです。
人間関係に悩んだら、これを試してみよう
「そうは言っても、自分の取り組みひとつで人間関係を良くできるのだろうか?」と疑問を感じてしまう方も多いでしょう。
少し頭を切り替えて、「自分ひとりでまず何か試せること」を考えてみると良いかもしれません。
ここでは、看護師さんが職場の人間関係で悩んだら、まず試してみたいことについてご紹介します。
1.価値観の違いを受け入れる
看護師さんに限らず、人はそれぞれ異なる価値観を持っています。
「看護師は誰しもこうでなければならない」という考え方に縛られると、そのことを見逃してしまいがちです。
看護の現場には、さまざまな世代の看護師が大勢いますから、個々の価値観が違うのは当たり前のこと。
それぞれが暮らしてきた環境や考え方が違えば、いろいろな意見が出ます。
それを許容する余裕を持ち、違和感に惑わされず業務を正確にやり遂げることに集中しましょう。
2.中立の立場を採る
協力し合って正確で公正に業務をこなすことに「偏った考え方」は禁物です。
「特定の人の意見に共感できるから」と、偏った立場での発言や行動に終始すると、大事なことを見逃してしまうかもしれません。
偏った考え方をやめたいと思ったら、まずは「人の話をじっくり聞く」ことから始めるのがおすすめです。
中立の立場でさまざまな意見を聞き入れ、業務とコミュニケーションの双方に活かしましょう。
また「聞き上手な人」は基本的に人から好かれますから、それだけでご自身の居心地が良くなるかもしれません。
3.周囲との信頼関係を築いておく
ご自身が看護師として周りの信頼を得ることも、人間関係の良好な職場を作るためには大切です。
信頼を得るには、必要以上に模範的な品行を心掛けることは特にありません。
時間や約束事は守る、必要な連絡や確認はしっかり行うなど、社会人として基本的なことができていれば一定の信頼を得るに十分な要素が身についていると言えます。
まとめ
この記事では、人間関係の良い職場と良くない職場の違いをご紹介しながら、看護師が職場の人間関係を良好に保つポイントをご紹介しました。
もし人間関係でお悩みを抱えて転職を検討中なら、求人応募に際して「生の現場の雰囲気」を実際に体験しておくことがおすすめです。
転職エージェントなどに登録して仕事探しをすると、事前に職場見学ができる場合もあります。
雰囲気の良い職場と出会いたいなら可能な限り職場を訪問するなどして、転職先の人間関係を見極めることも大切です。
良い雰囲気の職場を見つけ、ぜひ今回ご紹介したポイントを思い出しながら新たなスタートを切ってみてください。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。