交代勤務でお仕事をしている看護師には欠かせない、交代時の申し送り。次に職場に入る看護師に、患者さんの状態などを正確に伝える重要な業務です。申し送りは基本的に「伝言」ですから、上手に伝えられるかどうかという点で、苦手意識を持っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、看護師が正確でスムーズに申し送りを行うためのコツをご紹介します。
申し送りって何のためにするの?
申し送りの目的は、「患者さんのために、継続的により良い看護を提供すること」です。次の時間帯に出勤してくる看護師へ患者さんの状況や容態をくわしく伝えることが主な内容となりますが、他の病棟や検査・手術の現場に状況を伝える必要があれば、その際にも申し送りを行います。
申し送りが正確でスムーズにできることで、職場には以下のようなメリットがもたらされます。
1.看護する人が交代したあとも、患者さんの要望・希望に則った看護を引き続き行える
2.看護師が交代しても、次の看護師が患者さんの状態を正しく把握したうえで看護に反映できる
3.患者さんが必要とする診療行為や処置などを予定通り行える
4.医師から指示があっても正確に伝わる
申し送りで大切なことは、なんといっても「正確に情報の共有ができること」です。そのためには、話し伝える内容が聞く人に理解しやすくなるよう配慮することや、説明を順序だてて行い、聞き手の混乱を防ぐことが大切になります。
申し送りをスムーズに分かりやすく行うコツ
ここでは、申し送りを明快でスムーズに、正しく行うためのポイントをご紹介します。
1.伝える内容の順序を工夫する
申し送りの内容の理解度を上げるには、話し伝える順序が大切です。分かりやすく順序だてて説明をするには、まず結論やもっとも伝えたい事項を最初に話しておくとよいでしょう。その後に、それに関するいきさつなどの説明を加えるようにすると、聞く人の頭に入りやすい伝達が可能です。
2.一言ひと言をはっきり歯切れよく話し、早口にならないよう気を付ける
申し送りで内容を正しく理解してもらうには、話の聞きやすさも重要です。口の中で籠もったような話し方だと聞こえにくいものですが、逆に早口でまくしたてるように話してしまっても聞き手の頭に入りにくくなります。はっきりと明るいトーンで歯切れよく話すことが大切ですが、早口にならず一言ひと言を気持ちゆっくり目に話すようにしましょう。
3.メモを取っておき、要点を押さえて話せるようにする
「伝言ゲーム」という遊びは、耳で伝え聞いた特定の言葉を複数の人が順に暗唱し、最後の人が読み上げるときにどれくらい元の言葉と違っているかを楽しむものです。この遊びは書いたものを読み上げずに記憶に頼ることで、多くの場合に聞いた情報の歪みが発生することを利用しています。
4.あった出来事の順序ではなく、項目に分けて伝える
「何時に○○さんを診た結果△△で……」と、時間ごとに区切って伝えようとすると、聞く側も情報を頭の中で整理しにくくなります。時間ごとに伝えるよりも、「体温」「血圧」「排泄」などのように、状態を各項目(カテゴリ)に分けて説明すると要点が明確になり、優先度も伝えやすくなるでしょう。
5.先輩ナースの申し送りを真似してみる
「真似は学びの基本」といわれますが、申し送りのコツに関してもこれが当てはまります。先輩の看護師で「上手に申し送りできているな」と感じる方がいたら、その中でためになると感じた部分をご自身の申し送りに取り入れてみましょう。「何を優先して伝えているか」「なぜわかりやすく伝えられるのか」「どこが自分の申し送りのやり方と違っていて、どこが良いのか」など、取り入れたいと感じたところは積極的に真似して自分のスタイルに加えてみてください。
まとめ
今回は、看護師が苦手意識を持ってしまいやすい「申し送り」の概要をご説明しながら、緊張しがちな申し送りを正確でスムーズに行うポイントについて、ご紹介しました。
申し送りはたいていの場合、看護師がステーションに全員集まったタイミングで行われます。そのためつい緊張してしまい、上手に話せないこともあるでしょう。しかし、申し送りの目的は流暢にカッコよく話すことではなく、あくまで「要点を正しく伝えること」です。多少たどたどしくなるのもはじめのうちは仕方ありませんが、一言ひと言をはっきり、要点を押さえながら話すことで確実に聞く人の理解度は上がります。
最初は話す内容をすべてメモに起こし、それを読み上げるという形でもよいので、「正しく伝える」ことを最優先に意識しながら申し送りに臨んでみてください。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。