看護師といえば、医療機関に雇用される働き方が中心と考えられていました。
しかし近年では、派遣会社に登録し派遣スタッフとして医療機関で働く「派遣看護師」という働き方も一般的になりつつあります。「看護師は派遣で働いても手取り額が多く低賃金での悩みが少ない」とは言われますが、実際に派遣で看護師さんとして働く人たちは手取りの月収をどのくらいもらえているのでしょうか。この記事では、派遣看護師の手取り給与について正職員との比較を交えながらご紹介します。
派遣看護師の手取り月収は20~28万円ほど!
派遣で働く看護師さんのお給料は、基本的に「1時間当たりいくら」で計算される「時給制」になっています。一般的な派遣社員の給与は低いとされ社会問題にもなっていますが、派遣看護師の場合は比較的時給が高く収入が少ないことで悩む働き手は少ないようです。
1.派遣看護師の時給
派遣看護師の時給は一般的に都市部で「1,500円~2,000円」、地方で「1,200円~1,600円」ほどが目安とされています。大都市圏では高めになり、地方部では低めになる傾向です。
これは地域ごとの生活コストや物価などが反映されているためと考えられます。また、都市部の大手医療機関や介護施設などでは、時給が2,500円を超える場合もあるそうです。
2.派遣看護師の月収
仮に派遣看護師が時給「2,000円」で働いた場合を想定の上試算すると、1日当たり8時間・月あたり20日働いた場合で「額面で320,000円、社会保険料・税金を差し引いた手取り月収で280,000円ほど」となり、正職員の看護師と遜色のない月収が期待できると考えてよいでしょう。
時給「1,500円」で同様に働いた場合は、「額面240,000円、手取りで210,000円弱」となり、家賃や物価の低い地方部なら独立して生活ができる程度のお給料はもらえると考えられます。また、派遣で働く場合サービス残業はなく、時間外で働けば法定の割増時給で時間外手当(残業・夜勤手当)がしっかり付きます。
3.派遣看護師の年収
「看護師なら派遣で働いても十分に生活できる」と考えることは月収を鑑みればできますが、年収で考えるとやはり正職員の看護師さんとの差が出てきます。この差が生まれるのは「賞与の有無」のためです。
派遣労働者は基本的に賞与が支給されないため、月収では正職員との差がなくても賞与の分だけ差がついてしまうことになるのです。
派遣の看護師さんが残業や夜勤を頑張って月平均で額面350,000円くらい働いたとしても、年収は420万円ほど。正職員の看護師さんだと、月収はこれより少なくても賞与が年2回支給されるため、年収は平均で450~470万円ほどになります。
派遣看護師の求人にはどんなものがある?
派遣の看護師を求めている職場には、一定の特徴があります。一般の病院などでは正職員が中心となり、産休などの欠員を派遣看護師がカバーする形が中心です。しかし、職場によっては派遣のスタッフを中心として構成される現場もあります。
ここでは派遣看護師の求人の種類とそれによる給与などの違いについてご紹介します。
1.訪問看護・訪問介護ステーション
訪問看護・訪問介護の仕事は、在宅医療の推進にともなって医療の業界のなかでも注目されています。柔軟に働ける仕事の特性上、訪問看護や訪問介護の仕事をする看護師さんはパートや派遣で働く人が中心。
時給も一般的な病院の派遣看護師より高めで、3,000円を超える求人も。週に5日フルで働かなくても、かなりの月収になることが期待できます。
残業も少なく済み、自分のペースで仕事を入れることができるため副業にも向いているでしょう。
2.介護施設
介護施設の看護師さんも、派遣の求人が多い仕事の1つ。
求人の数自体は決して多くありませんが、時給は高めで3,000円程度になる求人もあります。
残業や夜勤も少なく高時給なので、看護師転職サイトでも一般には公開されない「非公開求人」となっているケースが多いですね。
3.一般病院
一般的な病院の病棟や外来などで、正職員の看護師さんに混じって働くケースです。
時給は大規模病院や総合病院で2,500円ほどで、個人経営のクリニックでは2,000円ほどが目安。
大人数の職場で働くことに慣れている方や、病院で正職員勤務をした経験がある方なら環境を変えずに働けるので、仕事しやすいかもしれません。
まとめ
今回は、派遣看護師の手取り給与や職場別の時給の目安についてご紹介しました。
派遣で働く看護師さんの手取り月収は、正職員の看護師さんとほぼ同水準かそれより少し高いくらいです。しかし正職員なら年2回もらえる賞与が支給されないという特徴上、年収で考えると正職員よりも少なくなってしまう傾向があります。
また年収以外の面でも、派遣だと長く働きたいという職場に出会ったときにも契約が満了すれば離れる必要があります。また、時給は多少上がっても長年働き続けたことによる定期昇給などはないため、長く続けていけば正職員で仕事を続けた場合と比較して収入に差が出る可能性もあるでしょう。
派遣看護師として働くなら、腰を据えて働きたい職場に出会うまでの間、短期間でしっかりお給料をもらうつもりで集中的に働くことがおすすめかもしれません。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。