看護師の転職活動において、特に志望先の人事が重視する点は「人柄」といわれています。そのため、面接時に必ず尋ねられることの1つとして「あなたの長所と短所を教えてください」という内容が含まれる場合が一般的です。
そこでこの記事では、看護師の転職時にご自身の長所・短所を効果的に伝えるポイントについてご説明します。伝えやすい例文や、逆にこんな回答は要注意! というNG例などもご紹介しますので、面接対策を万全にしておきたい方はぜひご参考にしてください。
なぜ面接官は応募者に長所と短所を聞くの?
まず、看護師の採用活動を行っている面接官が必ず応募者に長所と短所を尋ねる理由をご紹介します。先にも「看護師の採用活動では応募者の人柄を重視する」と述べましたが、この点が大きく影響しているようです。
1.誠実さを判断するため
長所と短所を忌憚なく相手に伝えられることは、人柄の誠実さに直結します。特に短所を述べる際に自身の至らない点などをごまかそうとしていることがわかってしまえば、評価の面でマイナスとなるでしょう。
アピールすべき部分だけでなく、自己の欠けている部分も冷静に伝えられる人間性を重要視していることがわかりますね。
2.自己を客観視できるかどうか
自身のよい点とそうでない点をきちんと把握できていることは、客観的な見方ができることにつながります。
長所だけでなく短所についてもまっすぐ見られているかどうかは、本人の客観的に判断する能力の指標となると考えてよいでしょう。
3.課題に取り組む姿勢
面接官は応募者の至らない点を知りたくて、短所を尋ねるのではありません。
応募者が短所をしっかり把握してそれをカバーしたり、解決したりするための努力や試みが為せているかどうかを知りたいのです。それができていれば、問題にぶつかっても解決しようと試みられる人物であるとよい印象を持ってもらえるでしょう。
面接で、自身の長所や強みを効果的に伝えるポイント
ここでは、面接でご自身の長所を効果的に伝えるポイントを2つご紹介します。
ポイント1.順序立てて話をする
単に「自分の長所は○○です」と言うだけでは、面接官に印象的な回答を伝えることができません。
必ず「自分の長所は○○」と説明した後に「その理由・根拠」を話し、最後に「長所を生かして日ごろ何をしているか」を具体的に伝えるようにしましょう。
この後の項目で、順序立ててご自身の長所を説明するための例文をご紹介していますので、そちらもご参照ください。
ポイント2.長所を業務でどう役立てられるかを伝える
たとえば、単に「穏やかな性格が長所です」と言うだけでは説得力に欠けます。
もし就業した場合、その長所をどうナースの仕事で役立てるかについても必ず話しましょう。
温厚さが長所であれば、「貴院へ就職したら、どんな患者さんでもじっくりお話を聞いて温かい言葉をかけてあげられるよう努めます」など、ご自身が働くことで病院側にメリットがある点を伝えてください。
面接時に長所・短所を伝える際の例文とNG例
ここでは、面接で長所や短所を尋ねられた場合の伝え方の例文とNG例についてご紹介します。
1.長所・短所の回答例
例文①
「自分の長所は、関心を持ったことはとことん突き詰めたいと考える探求心の強さです。
それが知識欲につながり、任意参加の研修も積極的に受けるなどして看護に関するさまざまな知識や技能を身につけました。いっぽう短所は、その探求心が災いして『しつこい人』と思われがちな部分です。
今では、自分の知識欲のために相手の都合を考えず根掘り葉掘り尋ねるのではなく、双方が笑顔になれるような接し方ができるよう努めています」
例文②
「私の長所は、真面目で規律や時間をしっかり守れる所です。時間のルールやお薬の用量などを正確に頭に入れられることで、周りの皆さんの協力もありますがこれまで大きなミスなくナースとして仕事をして来られました。しかし、『自分は真面目だけれど、それを笑う人もいるのでは?』と、真面目さを素直に長所と認められない側面があり、それが私の短所でもあると思います。しかし、そのような卑屈な考え方はデメリットしかもたらさないと考え、せっかくの真面目さを素直に生かして明るく業務にあたってまいります」
例文①と②に共通しているのは、長所と短所が表裏一体となっている点です。ご自身の長所と短所のどちらかが思い浮かばない場合は、思い浮かんだ側に照らし合わせて表裏一体な部分を探してみましょう。
「協調性があるけれど(長所)、1人で決断するのが難しい(短所)」「人と広く付き合うことが苦手だけれど(短所)、患者さん1人ひとりと綿密に意思疎通できる(長所)」などのような考え方で、ご自身の長所と短所を分析してみてください。
2.こんな回答は印象に残らない! NG集
NG例①
「長所は好き嫌いなくなんでも食べられる所、短所は日ごろから運動不足になりがちな所です」
これは、ナースとしての業務にまったく関わりのない回答をしてしまっている点に問題があります。回答の内容より、「相手の意図を理解できない、話の通じない人なのでは」と思われてしまうことにリスクがあるでしょう。
NG例②
「長所は1度決めたら人の意見に左右されず突っ走る所、短所は時間を守るのが苦手で遅刻しがちな所です」
この例は長所も短所も、ナースとして仕事をするにはリスクがあると感じられてしまう点がマイナスです。いくら嘘がないとはいえ、看護師として働くにあたりネガティブ要素となる部分をわざわざ伝えることはありません。
まとめ
今回は、看護師の転職で面接時によく尋ねられる長所と短所の答え方についてご説明しました。
さまざまな回答のポイントをご紹介しましたが、それらを簡潔にまとめてわかりやすく話すことも大切です。1つの回答にかける時間の目安は「2分ぐらい」といわれていますから、冗長に話しすぎないよう留意しましょう。
長所の回答では結論を述べ、その後にそれに基づくエピソードや裏付け、最後に今後の仕事でそれをどう生かすかを順に伝えましょう。短所の回答でも、まずは結論を述べてからいかにそれを克服すべく努めているかを話すとよいでしょう。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。