「看護師としての在り方とは」や「看護師とは何か」などと単刀直入にきかれても、すぐには答えられない人がほとんどでしょう。
あるいは逆に「看護とは何をすることか」と尋ねられれば、「毎日仕事でやっていることなので、回答するまでもない」と思うかもしれません。
今回は、「看護」という言葉の意味合いをあらためて考えつつ、看護師の仕事にはどのようなものがあるかを再確認し、医療において看護師が果たす多様な役割についてご紹介します。
今後は医療のスタイルも変化・多様化が予測される中、看護師という仕事の重要性を再考してみましょう。
「看護」という言葉の意味は?
看護とは「人を看る」ことであると、ナースさんとして仕事をしているすべての方なら日ごろから自然と意識しているはずです。
しかし「看護とはこのようなもの」と説明するのは難しいと感じるかも。
国際看護師協会(ICN)が定義し、日本看護協会が訳した「看護の定義」は、以下のようになっています。
「看護とは、あらゆる場であらゆる年代の個人および家族、集団、コミュニティを対象に、対象がどのような健康状態であっても、独自にまたは他と協働して行われるケアの総体である。看護には、健康増進および疾病予防、病気や障害を有する人々あるいは死に臨む人々のケアが含まれる。
また、アドボカシーや環境安全の促進、研究、教育、健康政策策定への参画、患者・保健医療システムのマネージメントへの参与も、看護が果たすべき重要な役割である。(2002年:日本看護協会による訳)」
上記をさらに分かりやすく説明すると、
人々の「健康で幸福に生活したい」という意思に応えるべく、誰もが健全に生活ができるよう力添えをしたり、心のケアをしたりすることが「看護」であるといえます。
看護師の仕事にはどのようなものがあるか
ここでは、看護師の具体的な仕事内容をいくつかに分けてくわしくご紹介します。
1.診察、診療の補助
医師が行う診療や診察にともなうさまざまな医療行為を、医師の指示に基づいて医師をサポートする形で行います。
2.病気・けがをした人や妊婦さんの介助・世話・観察
病気やけが、妊娠により日常生活に支障をきたしている人の苦痛を和らげながら、療養中のお世話を行います。
その中で、日々の患者さんの体調や状態を把握しながら、変化や異常の発生がないか観察をします。
3.患者さんやそのご家族の心理的なケア
病気やけがなどで不安になっている患者さんやそのご家族に対し、もっとも身近な立場からの心のケアを行います。
病気やけがによる苦痛を取り除くだけでなく、ご本人やご家族の心の不調を予防し「病気やけがから回復したい」という気持ちを後押しするのも、看護師の大切な仕事です。
看護師の仕事は、患者さんと医師の間に立つ「仲介人」や「中継者」の役目を果たしている存在であるともいえます。
いかなる場合でも、医療の現場において「患者さんにもっとも近い立場で接する存在」が、看護師なのです。
看護師の重要性や務める役割とは?
ここでは、看護師の仕事が医療においてどのような重要性を持ち、どのような役割を与えられているのかについてご紹介します。
1.看護師の4つの役割
ICN(国際看護師協会)が定義する「看護師の倫理綱領」を、「日本看護協会」によって日本語訳した2012年の資料によると、看護師の役割は以下の4つとなります。
・健康を増進する
・疾病を予防する
・健康を回復する
・苦痛を緩和する
また上記の4つの役割は、どのような人に対しても平等且つ普遍的に果たされるものとされています。
2.看護師の重要性
看護師の医療における重要性は、「患者さんの様子や状態をいつも把握し、異変を察知できるようにしておく」ことにあります。
先にも述べていますが、看護師は療養中の患者さんにとってもっとも身近な距離にいる存在です。
医師の補助的な医療行為や患者さんの介助・お世話はもちろんですが、こと看護師に求められる重要な役目といえば「患者さんとの意思疎通」や「患者さんの状態の観察」です。
患者さんの常日頃の状態をつぶさに知っていなければ、異変が発生したことに気づくのも難しくなるでしょう。
患者さんと日々コミュニケーションを図り、把握できている「いつもの状態」から変化がないかを観察することは、つねに患者さんと接する看護師にしかできないことです。
患者さんの近くでその異変にいち早く気づき、都度適切な対処をすみやかに行える状況をつねに整えておくことが、看護師の仕事の中でも特に重要なポイントになるでしょう。
まとめ
今回は、看護という仕事の医療における重要性や、看護師が持つ役割についてご紹介しました。
「看護=患者さんを看ること」ではありますが、その本来の意味合いは「療養中の患者さんのいつもの状態を把握しつつ、変化や変調がないかいち早く気づくこと」だと分かりますね。
看護師として知識を身につけ、技術を磨くことに目下頑張っているというナースさんも多いでしょう。
しかし、それらも最終的には「患者さんのためにできることを増やす」ことにつながりますね。
今回ご紹介した看護師としての役割を全うし、責任を果たすことは大切です。
しかしそれに加えて、ご自身なりの「理想の看護師」像を思い描き、それに近づくべく日々の仕事にあたることができればより良いでしょう。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。