看護師として仕事を続ける方なら「患者さんによりよいケアをしたい」、「あこがれていた専門性の高い職場で働きたい」などの願望を持っている方も多いのではないでしょうか。
キャリアアップを考えている看護師なら、まず資格を取ることを考えてみましょう。
ご自身が望むキャリアアップの形に合った資格を持っていれば、より良い条件で転職をすることができます。
この記事では、看護師のキャリアアップ・スキルアップに役立つ10の資格を厳選して、詳しくご紹介します。
看護師のキャリアアップ・スキルアップに向いている資格
看護師のおもな転職動機の一つとして「キャリアアップ」があります。
それらの動機は、現在の職場がキャリアアップ向きではないという不満から来るものとも考えられます。
資格を取得することで、キャリアアップの道が開ける新たな職場への転職も考えやすくなるでしょう。
ここでは、看護師のキャリアアップにおすすめの資格についてご紹介します。
資格ごとに「どのような資格か」「受験するために資格は必要か」「資格取得までのプロセス」「取得すると何に役立つか」についても解説。
将来、特定の分野にかかわりたい方向けの資格も取り上げました。
1.認定看護師
日本看護協会が認定する資格制度で、キャリアアップをめざす看護師ならぜひ取得しておきたい資格といわれています。
看護分野で熟練した看護技術・知識があり、高度な看護ができることが証明できる資格です。
【受験資格】
試験を受けるには5年の実務研修が必要
そのうち認定看護分野の実務研修期間が3年以上あること
【取得プロセス】
615時間以上/6か月の認定看護師教育機関の修了後、マークシート式試験による認定審査を受けて合格すること
【資格を活かせる場】
病院をはじめ、福祉・介護施設や訪問看護などさまざまな分野
資格手当で給料アップの可能性もあり
看護実務だけでなく相談や指導の役割にも携わることができる
2.専門看護師
こちらも日本看護協会が認定する資格で、高水準の看護を実現するため、特定の看護分野についての知識と技術があることを証明できる資格です。
この資格制度で特定されている看護分野は全部で11あり、「がん看護」「精神看護」「地域看護」「老人看護」「小児看護」「母性看護」「慢性疾患看護」「急性・重症患者看護」「感染症看護」「家族支援」「在宅看護」となっています。
【受験資格】
5年以上の実務経験があり、特定の看護分野について看護系大学院の修士課程で2年以上学んだ看護師が試験を受けることができる
【取得プロセス】
書類審査と筆記試験(論述形式)に合格すること
【資格を活かせる場】
病院やクリニック、訪問看護などのほか看護系教育機関
実務のほか、相談や教育・研究、調整、倫理調整などの役割に携われる
看護学のスペシャリストを目指すこともできる
3.ケアマネジャー
ケアマネジャーは、医療にも深くかかわってくる「介護」の分野で活躍できる資格です。
要介護、要支援の高齢者や障がい者に向けたケアの最適なプランを作り、サービスを実施する施設などへの橋渡しを行います。
有資格者は医療と介護を結び付け、介護サービスを積極的にコーディネートする役割を持っていますので、今後介護サービスの需要が増えるにあたって重要度が増す資格といえます。
【受験資格】
看護師資格を持ち(医師や社会福祉士も)、5年以上・900日以上実務経験にあたっていること。
実務経験には、施設などにおける相談援助の業務も含まれます。
【取得プロセス】
マークシート式試験(介護支援専門員実務研修受講試験)に合格後、実務研修87時間以上を修了すること
【資格を活かせる場】
介護・福祉施設のほか、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所など
4.臨床心理士
臨床心理学の知識に基づき、患者さんの心のケアに直接的にかかわれる資格です。
取得のハードルは低くありませんが、患者さんのメンタル面に深くかかわりたい方や、実際に心の問題の治療に携わりたい看護師に人気です。
【受験資格】
指定の大学院を修了していること
【取得プロセス】
筆記試験と面接に合格すること
【資格を活かせる場】
病院などの医療機関のほか、学校などの教育機関、福祉施設、企業、警察署・刑務所など
メンタルヘルスに関する相談・援助業務のほか、指導やアドバイスも行う
5.保健師
学校や保健所・保健センター、訪問看護ステーションなどに勤め、健康的な生活のためのサポートやアドバイスをする役割を持つ国家資格です。
企業に所属する保健師もいます。
病気の早期発見や予防を目的とした健康相談・健康教室をおもに行います。
【受験資格】
看護師資格を持ち、文部科学大臣または都道府県知事指定の保健師養成学校で1年以上学ぶ
【取得プロセス】
保健師国家試験を受験し、合格すること。
保健師指定養成校の認可を受けた看護大学や専門学校で学び、学生のうちに看護師と保健師の国家試験を受験する方法もある
また、看護師として実務にあたってから保健師養成学校で学び、国家試験を受験することもできる
【資格を活かせる場】
病院などの医療機関や訪問看護のほか、企業に勤めて企業保健師となることもできる
地域の保健所や保健センター、地域包括支援センターなども代表的な職場
福祉施設や教育機関などで活躍する保健師も数多くいる
6.助産師
出産時の介助や新生児のケアをする助産師として活躍できる国家資格です。
また出産時に限らず、妊娠から出産後まで、母親の体調管理やさまざまな指導に携わることもできます。
【受験資格】
女性で看護師免許を取得しており、助産師の専門教育機関で1~2年学んでいること。
助産師専門教育機関は、助産専門学校、助産課程のある大学、助産課程の大学別科、短期大学の助産学専攻科、助産課程のある大学院、助産専門職大学院、大学の助産学専攻科と数多くある。
【取得プロセス】
助産師国家試験を受験し、合格すること
【資格を活かせる場】
病院の産科、助産院など
出産にとどまらず、助産師外来などで妊婦さんの指導や健康管理にあたることもできる
妊娠から出産後の育児まで、母子の健康のための管理・指導に携われる
7.福祉住環境コーディネーター
高齢者や障がい者の方が、なるべく自立して快適に暮らせる住環境づくりのための提案を行うことができる民間資格です。
病院から在宅へシフトする医療の状況のなかで、各家庭での住環境が重要視されており、看護師が取得するケースも増えています。
【受験資格】
特になし
【取得プロセス】
筆記試験を受験し合格すること
【資格を活かせる場】
病院や介護・福祉施設
介護に伴う建築やリフォームに力を入れている建築業者や設備業者など
8.栄養サポートチーム専門療法士
健康の維持や回復のために、適した栄養管理を行う医療と栄養のスペシャリストです。
【受験資格】
管理栄養士、看護師、薬剤師、臨床検査技師、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、診療放射線技師のいずれかの有資格者で、5年以上の実務経験があり業務上栄養サポートにかかわっている
認定施設での実地修練を40時間受けている
学会・セミナーへ参加し30単位を取得している
【取得プロセス】
認定試験を受験し合格すること
【資格を活かせる場】
病院などの医療機関が中心
大学病院や総合病院など、入院施設のある大規模病院でおもに活躍できる
9.医療環境管理士
日本医療環境福祉検定協会の管轄する資格制度です。
医療の現場における感染症予防に関して、専門的な知識・スキルを持っていることを証明でき、感染予防に関する指導ができます。医師や看護師など医療従事者が取得するケースの多い資格です。
【受験資格】
特になし
【取得プロセス】
選択式100問、記述式3問の試験に合格すること
【資格を活かせる場】
病院などの医療機関
感染予防・対策に関する教育・指導に携わることもできる
10.手話通訳士
聴覚障がいを持つ方が健聴者と円滑にコミュニケーションを図れるよう、手話と言語を通訳する役割を務められる資格です。
【受験資格】
特になし
【取得プロセス】
学科および実技試験に合格すること
【資格を活かせる場】
医療機関、役所などの公的機関、聴覚障害者福祉関連施設、社会福祉協議会など
手話通訳者派遣センターに登録し、依頼を受けて通訳業務を行うこともできる
まとめ
今回は、看護師がキャリアアップ・スキルアップを目指す際におすすめの10の資格制度について、ご紹介しました。
資格の取得は、ご自身のキャリアアップにつながる可能性が高いだけでなく、どんな資格も取得のために学んだことは決して無駄にはなりません。
ご自身が望むキャリアプランの実現にとどまらず、知識や技能を身につけて看護師の仕事の幅を広げるためにも、ぜひ資格取得にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。