看護師として転職する際に、課題として「小論文・作文」の筆記試験が実施される場合があります。
履歴書と面接だけで筆記試験のない職場も多くありますが、ある程度専門性が求められるようなレベルの高い職場を目指す人なら、小論文・作文対策は行っておいたほうが良いかもしれません。
そこで今回は、看護師の転職における小論文・作文対策について分かりやすくご紹介します。
小論文・作文の試験にはどのようなテーマが多く設けられるのかなど、詳しくご説明しています。
小論文・作文の試験がある職場への転職を考えている方は、ぜひご参考にしてください。
1.小論文の基本をおさらい
小論文・作文とは何か
小論文・作文の試験では、試験問題の中で問われるテーマに対して「自分はこう考える」と、意見や見解を述べることが求められます。
その上で、「なぜそう考えるか」という理由について根拠立てた説明をするという文章構成が必要です。
意見や見解とともに文章内容の論理性や客観性が問われ、文面には説得力を持たせることが重要視されます。
面白い文章を書ければ良いというのではなく、しっかりご自身の考えを伝えることができて、且つ読む人に対して説得力を持った内容の文章が求められる傾向にあります。
小論文・作文に必要な4要素
・「発想力」疑問を持ったり、アイデアを提示したりする力
・「読解力」資料やテーマの内容を客観的に読み、論じることができる力。
・「論理的思考力」疑問や課題に対して意見とその根拠を、筋の通った考えで文面として構成できる力
・「表現力」考えや意見を、読み手に分かりやすく伝える力
2.小論文・作文の課題で多いものとは? 評価につながるポイントは?
ここでは、看護師が転職する際に課される小論文・作文のテーマ(課題)で、よく設けられるものについてご紹介します。
また、高評価を得られるポイントについても説明します。
看護師転職時の小論文・作文の課題で多いもの
・あなたが目指す看護師像とは
・看護師を目指すことになったきっかけ
・チーム医療について
・再生医療に関すること
・看護学校時代の実習で印象に残っていること
・看護業務をする上で最も大切にしていることは何か
上記のようなテーマが、過去の試験においては多く設けられる傾向にあります。
また「臓器移植について」「医療ミスをなくすには」など、若干深掘りが必要なテーマが課される場合もあります。
小論文・作文で高評価を得られるポイント
・テーマが理解できている
良い文章を書こうと思うあまり、テーマから逸脱した内容になってしまうと、どんなに面白くて読ませる文章であっても高評価・高得点にはなりにくいでしょう。
試験における小論文・作文には、テーマをしっかり理解し、それを外れない論じ方が求められます。
・自身の意見や考え方がはっきり述べられている
小論文・作文では「私はこう考えている」「私はこのようにしたほうが良いと思う」など、ご自身の意見や考え方をしっかり述べる必要があります。
もしテーマの内容にご自身として疑問点があるなら、それも余さず書き記すようにしましょう。
・誤字脱字、認識の齟齬(そご)がないこと
誤字や脱字があると、マイナス評価となる可能性が高くなります。
また、事実の誤認や文章作法の誤りなども評価を下げてしまうことにつながります。
3.小論文・作文を書く際のポイント
「だろうか」で問題を提示し、「た」「し」「な」「よ」で文章を構成
小論文の構成は、「~だろうか」という問題提起から始まります。
問題提起をした後には、自身の意見と反する意見をいったん提示し、それに対する理解を示す内容を記述します「『た』しかに」。
次に、「『し』かし~」で、先に提示した意見に反する形で自身の意見を述べます。
ここで自身の考え方をしっかり主張しておきましょう。
その次には「『な』ぜなら~」の形で、自身の意見・主張の根拠を説明します。
ここが小論文の主旨にあたる内容になり、ボリュームも大きめになるため、理論的な展開ができるようにしましょう。
最後に「『よ』って~」で結論を出し、論文を締めてまとめます。
原稿用紙に書く際の注意点
・文字数に上限があれば、その8割以上は満たして記述する
・句読点や「」、()も原稿用紙中の「1マス」を使用する
・段落の最初や、改行後の書き始めは1マス下げること(字下げ)
・書式が縦書きであれば、数字は漢数字とすること
・文の末尾は「です・ます」か「だ・である」のいずれかに統一すること
・一人称は「私」にすること
4.小論文・作文を書く際の時間配分は?
小論文・作文の試験で特に気を付ける必要があるのは「制限時間内に書ききる」ことでしょう。
時間配分を誤ると最後まで書ききれず、せっかく良い内容を書こうとしていたのに未完成のまま提出してしまうことにもなりかねません。
ここでは、看護師が転職の際に小論文・作文に取り組む際の時間配分をシミュレーションしてみましょう。
小論文・作文の試験で多い制限時間60分の場合
1.文章のテーマやレギュレーション(表記ルール)などの確認
→試験開始から3分以内を目安として行いましょう。
2.先に結論を決定し、そこに至るまでの問題提起・問題への理解・それに対する自分の意見とその根拠を考え、そこまでの構成をまとめる
→開始3分後から15分後ぐらいまでを目安としましょう。
3.文章を書き始め、まずは書きたい語句(キーワード)を優先的に書きだしていく
→開始15分後くらいから20分後くらいまでを目安としましょう。
4.構成をもとに、キーワードを入れながら本文を書き進め、最後のまとめ文までを書ききる
→開始20分後くらいから45分後くらいまで
5.文面を見直し、誤字・脱字のチェックや文面に違和感がある場合は手直しなどをする
→開始45分後くらいから終わりまで
まとめ
今回は、看護師が転職する際に課題として出される可能性がある小論文について、書く際のポイントやよく出るテーマについてご紹介しました。
特に看護業界では、転職活動の一環で小論文の提出を求められるケースは珍しくありません。
採用試験でも小論文を重視する傾向がありますし、基本的に小論文課題は加点方式ではなく減点方式である場合が主体といわれています。
そのため、減点対象を減らすことに重点をおくことがポイントです。
小論文の書き方をマスターすれば、ご自身をしっかりアピールできることにもつながるでしょう。
また、小論文の文面や内容で一般常識の有無を判断するケースも多いため、公正性や理性的な対処法が身についているかを見られることもあります。
構成の一定のルールを確かめながら事前に書いてみるなど、何度か訓練をして本番に臨むと良いでしょう。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。