求人数がつねに多く、転職そのものはそれほど大変ではないといわれる看護師のお仕事。
しかし、就職先が見つかりやすいからと転職を安易に考えてしまうと、危険です。さまざまな働き口が選べる分だけ失敗しやすいとも言い換えられます。
そこで今回は、看護師が転職を成功させるために押さえたい4つのポイントについて、ご紹介します。せっかく転職を考えているなら、失敗しない転職の仕方を知っておきましょう。
ポイント1:求人情報を正しく見極める
現在、医療の仕事は軒並み人手不足。看護業界においても、つねに人が足りていないという状況です。常時多くの求人があるといわれる看護の仕事ですが、そのなかでも今はまさに転職どきといえそうです。
しかし、焦って転職を決めたり、職場の見極め方を誤ったりすると転職が失敗に終わることも。
1度の転職で理想に近い職場を見つけるためには、求人情報をきちんと正しく見ることも大切です。
正しい求人情報の見方とは?
求人情報は、職場を魅力的に感じさせるためさまざまな謳い文句を盛り込んでいます。それらに書かれた内容をきちんと読み取り、あまり言葉はよくありませんが「調子のよい宣伝文句に引っ掛けられない」ようにすることが大切です。
1.給与は内訳まで明記されているか
求人情報に書かれた給与は、手当まで含んだ合計をモデルケースとしてざっくり書いてあるだけというケースが多いです。
たとえば「月収32万~」と書いてある場合、これが最低ラインで働き方次第ではもっと稼げるのでは? と思いがちですが、実際には手当などを込みにしても上記の金額に満たない場合も。基本給○○円、△△手当××円…… などのように、内訳まで記載されているかどうか確かめましょう。
2.休日は「週休2日」の記載に注意。「年間休日数」も見ること
「週休2日」と書かれていても、毎週きっちり2日の休みがあるとは限りません。
求人票には、1か月のうち1週間に2日休んでいる週が1週でもあれば「週休2日」と書いてよいことになっているからです。「完全週休2日」と書かれていなければ、毎週2日休める保証はないため注意しましょう。
また、年間休日数がきちんと明記されていることも確認するとよいでしょう。
3.賞与がある場合は「賞与実績」に注目
賞与が求人情報に記載されていても、必ずでるものではありません。
賞与とは、業績次第ででたりでなかったりするものであることが基本です。きちんと賞与が支給されているか確かめるには、求人情報内に記載されている賞与の「実績」を見るとよいでしょう。
「賞与:年2回」と書かれているだけでは、実際にどのくらい支給されているか、あるいは本当に支給があるのかを見極められません。「賞与:年2回(実績5.5か月)」と、実績を正しく記載してあれば参考にできる情報といえるでしょう。
4.勤務シフト・勤務時間が希望と合っているか
勤務時間やシフトが、ご自身で転職後に希望する働き方に合っているかどうかも必ずチェックしましょう。
特に、働き方を見直す目的で転職する方の場合、せっかく転職したのに働き方が改善されないのであれば転職に成功できたとはいえません。
また交代勤務の場合、申し送りにかかる時間を勤務時間内としてくれているかも重要です。特に24時間看護を行っている病棟では、申し送りで伝達ミスがあってはなりません。
そのため、しっかり時間をかけて申し送りを行う職場が一般的です。勤務時間前に早出して申し送りを受ける場合や、残業をして申し送りする場合などは、それにかかる時間が時間外勤務扱いになるかどうかを確認しましょう。
5.求人条件以外のアピールポイントは具体的かどうか
求人情報では条件のほかに、職場の特徴をアピールしている文言も数多くみられます。それらのアピールポイントが、できるだけ具体的に明示されている職場かも見ておきましょう。
たとえば「働きやすい職場です」とだけ書かれているよりは、「教育体制が充実していて、ブランクが長い看護師さんでも働きやすい職場です」と書いてあったほうが分かりやすいでしょう。しかも、「ブランクが長い看護師さんでも歓迎してもらえる職場」という読み方もできます。
単に「アットホームな雰囲気の職場です」「安定した働き方ができます」など、通りいっぺんな一言しか付け加えられていないようでは情報不足です。何か特記事項が設けられているなら、できるだけ具体的なアピールをしてくれている職場のほうが信頼度は高いといえるでしょう。
ポイント2:雇用条件の確認方法
求人情報に記載された給与などの見方については先にご説明しましたが、もし内定が出た場合もそれを承諾する前に、雇用契約の条件についてきちんと確認しましょう。
「採用通知書」「雇用契約書」などの書類を受け取ったら、それを承諾する前に書かれた雇用条件をしっかり読んで内容を確かめます。
そこで疑問があるなら、きちんと聞いてクリアにする必要があるでしょう。
特に、求人情報や求人票の記載と比較して不利な条件での齟齬があった場合は、黙って承諾せず再確認をとってから承諾か辞退かを決定しましょう。
ポイント3:病院の雰囲気を見極める
1度も現場に行かずに、転職を決めてしまうことはリスキーな賭けのようなもの。できれば院内を見学させてもらうなどして、病院の雰囲気を確かめておきましょう。
院内見学などが面接・試験の予定に入っていなければ、事前にその病院を患者としてこっそり訪ねてみる方法がおすすめ。
看護師さんをはじめとするスタッフさんの対応や患者さんとのコミュニケーション状況、よい雰囲気で仕事ができているかどうかなど、ご自身の目で確かめてみるとよいでしょう。また職場となる病院にもさまざまな形態があります。病院のタイプ別の特徴をご紹介していきますので、職場の雰囲気を見極める際の、ご参考にしてください。
1.大学病院の特徴
大学病院は先進医療を率先して実践しているところが多い点が特徴で、最先端かつ高度な医療にかかわってみたい看護師さんには向いています。
また、大学病院の看護師さんは受け持つ各診療科に専念して勤務することが多く、1つの分野に特化したスキルを伸ばしたい方に合った働き方ができます。ただし、ハイレベルな医療を提供している分だけ、病院にやってくる患者さんにも重症度の高い方が多くなる傾向にあります。現場ではつねに高い緊張感が求められるため、精神力の強さも要求される職場といえます。人命を預かる仕事をしているという実感を日々強く得られる職場ではありますが、それだけに看護師に対する待遇や福利厚生などは手厚いところがほとんどです。
また大学は教育機関ですから、つねにさまざまな研修や勉強会に接する機会が多い点も特徴。「専門分野を掘り下げてしっかり学びたい」、「特定分野でのスキルアップを考えている」という看護師さんにはうってつけの職場です。
2.民間総合病院の特徴
総合病院は診療科の数がとても多く、勤務する看護師さんの人数も多い点が大きな特徴。病棟だけでなく外来も大規模なケースがほとんどで、さまざまな働き方で看護師さんが活躍できる職場です。
また、総合病院にはさまざまな症状の患者さんがやってくるため、看護師さん個々のレベルに合った患者さんの担当につける可能性も高いでしょう。患者さんの症状によっては和やかにコミュニケーションをとれる機会も増えるため、患者さんとじっくり向き合いながら看護にあたりたい看護師さんには向いています。日常的な医療行為を看護師さんが率先して行う機会も多く、採血や検査など手技のレベルを上げたい看護師さんには学びの多い職場といえます。
また、フルタイムからパート・時短勤務までさまざまな働き方の看護師さんが数多く活躍しているため、希望休日などに柔軟に対応してもらえる職場も多いでしょう。待遇の面も、民間総合病院は国公立や大学病院と比較し月給では及ばなくても、業績次第で賞与が充実する傾向にあるといわれています。
3.個人開業医・クリニックの特徴
小規模な医院やクリニックは病棟を持たないことが多く、勤務形態が日勤のみとなるケースがほとんどです。
そのため、事情があって交代勤務に就くことのできない看護師さんや家事・育児などと両立を図りながら働きたい看護師さんに向いている職場です。土日祝日が休診となるケースも多いため、ご家族の予定に合わせて休日を確保したい方ならなお働きやすいでしょう。
また、職員の数も限られるため1人の看護師さんがマルチタスクで業務にあたる機会も多く、特化したスキルを磨くというよりは広い気配り・目配りが要求される職場といえるでしょう。つねに同じメンバーで業務にあたるため、家族的なコミュニケーションが得意な方に適した現場でもあります。地域のかかりつけ医院などでは患者さんも再来院の方が多く、じっくり患者さんのお話を聞きながら診療・診察できる看護師さんは特に重宝されるはずです。
ポイント4:目を引く履歴書の書き方
履歴書は、先方の採用担当者が1番初めに見る書類です。
ある意味、書類選考の段階で半分くらい第一印象が決まるともいえそうですね。それだけ重要なツールである履歴書の書き方を、おざなりにしてしまうのは禁物です。
好感度の高い履歴書の条件は、「履歴書の正しい書き方マナーに沿っていること」「誤字・脱字がないこと」「すべての項目にきちんと記入がされ、空白の箇所がないこと」「志望動機・自己PR欄で『ぜひ直接会って話したい』と思わせること」などです。
特に誤字・脱字はまだ会っていない応募者の印象を一気に悪化させますから、特に気をつけましょう。手書きの場合もパソコンで作成する場合も、誤字脱字をしてしまう可能性はあります。
書きあがった後に見直しをするなどして、チェックを万全に。
まとめ
今回は、転職を成功させるための転職活動時のポイントについて、4つご紹介しました。
求人情報を確認する段階から、内定が出て承諾する際のタイミングまで、気を抜くことなく転職活動を行わなければならないことが分かりますね。今回ご紹介した4つの要点をしっかりとチェックして、転職してよかったと思える職場選びをぜひ実現しましょう。
もし転職先が決まって現職をやめる場合も、正しい手順で退職できるよう転職活動の段階で事前準備が必要です。基本的には退職の意思を伝えるのは退職日の14日前までとされていますが、可能であれば1か月前ころには退職の申し出ができる状態にしておくことをおすすめします。
また、院内で退職について独自のルールが定められている場合もあるので、就業規定を先によく確認しそれに則って行動しましょう。
業務の引き継ぎも満足に行えない状態でやめてしまうよりは、きちんと円満退職してこそ転職成功といえます。
場当たり的に行動せず、転職に際しても入念にプランを立てて実行することが成功の秘訣でしょう。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。