看護師は体力面での負担が大きく、つらい局面に立ち会うことも多い仕事です。そのため、就職して1年目でも転職を考え始める人が少なくないといわれています。新卒の看護師さんでも、気づいたら転職サイトを頻繁に見てしまうという人はいるのではないでしょうか。そこで今回は、新卒1年目で転職したいと思っている看護師がどれくらいいるのか、またどのような理由で転職したいと考えているのかなど、気になる情報をまとめました。
看護師が1年目で転職することのメリット・デメリット
新卒1年目で転職したいと思う看護師の数はかなり多いもの。看護師の体験談を調べてみても、「毎日『辞めてやる!』と思っている」「3日目くらいでもう辞めたくなったけれど、慣れるまで我慢してなんとか働けている」という声の多いこと……。
1年目での転職には、メリットもあればデメリットもあります。ここでは、新卒初年度で看護師が転職することのメリット・デメリットをご紹介します。
メリット1.当面のお悩みを解決できる可能性が高い
「就職した職場で特定の先輩に強くあたられ、毎日出勤するのがつらい」「数ある仕事の中でも不得意な業務の担当になってしまった」「体力に自信がないのに激務を強いられ、健康面に影響が出そう」……。このような、その職場特有のお悩みで困っているなら、転職することでその悩みから解放される可能性はある程度高いといえます。
メリット2.転職しても新人として前職と同等の指導を受けられる
1年目で転職する看護師は、いわゆる「第二新卒」という扱いになる場合が多いです。そのため、転職先でも新人看護師として、引き続き教育や指導を受けることができます。もちろんそのように扱われない可能性もあるので、転職時には志望先の教育体制などについてもよく確認しましょう。
デメリット1.就職直後の転職をマイナス面として解釈されやすい
やはり、就職してすぐに転職したという職歴がマイナス面になりやすいでしょう。「ここで採用してもすぐに辞められてしまうかもしれない」と面接官が考えてしまうのも、無理ないかもしれません。1年目の転職活動はそう簡単にはいかない可能性もあることは頭に入れておく必要があるでしょう。
デメリット2.即戦力として扱われてしまう可能性も
就職1年目の看護師はまだ新人ですから、1人立ちできるほどのスキルや知識に関してはまだ身についていないもの。しかし、転職先によっては中途採用の看護師は全員即戦力として活躍されることを期待している場合もあります。転職したけれどプレッシャーが大きすぎて仕事が大変……という事態を招かないよう、志望先の状況や意向はよく確認して転職活動をしましょう。
看護師が1年目で転職した場合に想定されること
1.教育体制の違いがあるかも
先の項目でもご説明しましたが、大きな病院で仕事が忙しいからとクリニックなどの小規模病院に転職すると、新人教育体制がしっかり整っていない場合があります。大規模病院の場合は新人看護師にはプリセプターが付き添い、さまざまな指導をしてもらえます。しかしクリニックなどではそうはいかず、先輩看護師さんの仕事を自主的に見て覚えることを強いられる場合もあります。スキルや知識に自信がなく、まだまだしっかり学びたいという場合は教育体制を確認して転職先を探すか、あるいは転職を一度考え直すことも必要かもしれません。
2.同じ悩みを抱えることになるかも
もし、転職したいと考える理由が人間関係や労働条件などであれば、必ずしも転職すれば状況が好転するとは限りません。せっかく転職しても、また同じ悩みを抱える可能性もあります。転職の理由と現状のそれぞれをよく考え、本当に今すぐ転職すべきかどうかをじっくり考えてから答えを出しましょう。
3.転職先の仕事内容が、1年目の看護師に合わない場合も
大規模病院の場合は新人看護師の教育もしっかり実施され、新人に見合った仕事を用意してもらえることが多いでしょう。しかし転職した場合「中途採用」と同列に括られる場合もあり、1年目にはハードルの高すぎる業務を任される可能性も。たとえば、「1名で夜勤や当直を任される職場」や、「重症患者さんメインの病棟」などは1年目の看護師にはかなりハードルが高いです。
やはり、新卒の看護師がすぐに転職すると困りごとも多くなる可能性はあります。もし転職したいと思っても「今抱えている悩みは乗り切れる範囲内か」「転職先と現職の規模や教育体制などを再確認し、転職が決定的なメリットになり得るか」などをまず考えてみましょう。もしかすると、転職しなくても乗り切れる場合もあるかもしれません。早急に結論を出すことは避け、「まずは3年勤めてみる」という定説を信じてみる、という選択肢もあります。
まとめ
今回は、看護師が1年目で転職することのメリット・デメリットや、初年度に転職した場合に想定できるさまざまなことについてご紹介しました。看護師の世界では、新卒で就職してすぐに転職をする人も少なくありません。しかし、その転職がすべて成功につながっているとは限りません。もし転職することを決めたら、少し時間をかけても自分に合っていて長く勤められる職場をしっかり探しましょう。転職理由と現状を冷静に見つめ直せば、今の職場を辞めずに乗り切る方がいいと感じることもあるでしょう。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。