看護師は転職が多い職種といわれていますが、実際に転職を果たした人の談話を直接聞ける機会はあまりないかもしれません。そこで今回は、看護師として違う病院へ転職した人や、看護師から別の職種に転職した人の実体験についてご紹介します。
転職に成功した人もいれば、結局また転職してしまった人など、その顛末もさまざま。この機会に転職者のリアルな声を聞き、ご自身のキャリアプランのご参考にしてください。
看護師の転職体験談を、実際にチェック!
さて、ここでは転職したナースさんの実体験をいくつかご紹介します。何がきっかけで転職を決意し、転職後はどんな仕事に就き、現在はどのように暮らしているかなど、まったく異なるパターンの4例をまとめました。
1.【Aさんの例】看護師としての仕事を任されなくなり転職を決意
個人経営のクリニックに看護師として就職し、日常的な医療行為を中心にのんびりと仕事をしていこうと考えていたAさん。しかし、仕事をゆっくり覚えながら一人前になろうと頑張っていたさなかに、後輩の指導を担当していた先輩ナースが突然退職してしまいます。
技術や知識面でも未熟なまま、先輩の仕事をそのままこなそうとしてもうまくいくはずがなく、他の看護師さんたちにもどんどん後れを取ることに。気づいたときには同僚のナースだけでなく、事務員の先輩たちなどにも「使えない人」という烙印を押され、ナースとしての業務をほとんど任せてもらえなくなりました。
その結果Aさんはストレスから体調を崩し、出勤すらままならなくなって退職することに。しばらく療養して充電したあと、なんとか新しい職場を見つけました。前職とほぼ同じ規模のクリニックでしたが、前職と異なっていたのは、看護師資格以外に取得していた医療関連の専門資格を活かして、就職後すぐ実務にあたれたことです。
人間関係などで不満がまったくないわけではありませんが、何より毎日の仕事にやりがいを感じられる点が大きな満足感につながっています。周りのナースさんも困ったことがあると相談に乗ってくれ、問題解決に協力してくれるので、前の職場よりは格段に居心地よくなったと思っているそう。
2.【Bさんの例】転職歴数回のベテラン看護師は、失敗しない転職法を会得!
看護師としてもう30年は仕事を続けている、超ベテランナースのBさん。転職歴も右手と左手で数える必要があるほどですが、初めのうちは転職も失敗の連続だったそう。
なかでも心に残っている苦い経験は、「地域の人が誰でも知っている有名な病院」というだけで、よく確認もせず転職を決めてしまったこと。業務のレベルが高すぎてついていけず、ストレスと激務で健康を害してしまいました。
そんなBさんが何度も転職するうちに見つけた「失敗を防ぐコツ」とは、必ず実際に患者か一般人として病院を訪ね、職場の雰囲気や職員の働きぶりをチェックすること。ナースさんや職員さん同士の会話なども聴くようにし、「過重労働ではないか」「助手さんなど看護のサポート役がいるか」などを細かく確認します。そのうえで、転職サイトを活用して働きやすい優良求人を見つけるのだそう。
今ではご自身に合った職種を見つけ、転職を考える必要もなく安定して仕事を続けられているとのこと。転職では「自分の希望する待遇が望める職場か」だけでなく、「好きな職種に就けるか」を重視する点も大事だと、Bさんは話します。「結局、好きな仕事がいちばん長続きする」という結論に、今では落ち着いているそう。
3.【Cさんの例】50歳を目前にして決意の転職!その結果は?
40代後半まで、個人経営のクリニックで働き続けてきたCさん。「長く働けば昇給もするし、待遇も向上する」という病院側の言い分を信じて、長く仕事を続けてきました。しかし、50歳を目前に控えても一向に給料は上がらず、たとえ残業が必要でも手当が出せないからと帰らされる始末。
さすがに我慢がならなくなったCさんは、「40代であるうちに」と転職活動を開始しました。運よく給料も良く知名度の高い病院に採用されましたが、やはり仕事内容や体力面で厳しく、数年は頑張ったものの再度転職することに。人間関係などはとても良好な職場だったため、勿体ないやら申しわけないやらで相当悔しい思いをしたとか。
結局、少し小さな病院ですがお給料も悪くなく、ベテランとしての立場を尊重してくれる職場で今は生き生きと仕事をしているCさん。ただ単に「お金を稼ぎたい」「もっと大きな病院へ行きたい」という気持ちだけで転職をすると、やはりうまくいかないのだと痛感しているそうです。
4.【Dさんの例】看護師資格が不要の異業種に転職!でも、意外な結果に?
看護学校を卒業し、大学病院に看護師として就職したDさん。しかし、なかなか仕事を覚えられず先輩たちに冷たくされるように。そのうち職場のナースたちに無視され始め、職場にいるのもつらくなってきました。
しかも有名な大学病院の実態は、何十時間もサービス残業が課せられることも当たり前の「ブラック」な職場。ストレスや不眠に悩まされたDさんは、結局体調を崩して入院することに。実家の親族も心配し、「看護師は辞めた方がよい」と、転職をすすめられました。
看護師になるための勉強しかしてこなかったDさんでしたが、心機一転して看護とはまったく無縁の飲食店に転職。180度違う職種に不安もありましたが、看護師時代の職場とは打って変わって先輩たちは優しく接してくれるそう。「今度は頑張ってずっと続けるぞ」と気持ちを入れ替えることができ、今は仕事が楽しく毎日充実しているDさんです。
まとめ
今回は、看護師を辞めて別の病院へ転職した人や、まったく別の異業種に転職した人の体験談をご紹介しました。「転職してよかった」という人もいれば、「安易な動機で転職を決めて悔しい思いをした」という人も。転職で気をつけるポイントは、やはり「自分に合った職場であるかどうか、しっかり考えること」といえそうですね。
キャリアアップや給与アップに気を取られ、身の丈に合わない職場を選んで失敗してしまった例も少なくありません。看護師求人サイトや転職支援サイトなどを活用し、多くの求人を比較検討しながらご自身の希望に合う職場を慎重に探すことがおすすめです。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。