Vol.0099 名前に込めた想い[2017/03/08更新]
みなさん、こんにちは。
梅の花がちらほら綺麗に咲き始め、
着実な春の訪れを感じる今日この頃、
いかがお過ごしですか?
マツコは早くも、
花粉に悩まされております。
早めにアレルギーの薬を飲み始めたので
鼻づまりやくしゃみはないのですが、
咳!咳!咳!!
痰が絡み、
喉に違和感が常にある、
そんな状態が続いております。
(風邪と間違われやすいのですが、
花粉症の1つの症状ですよね)
さて、ちょうど2年前のこの時期、
(癌を患った)おかあさんの病状と反比例するように
マツコのお腹の中の赤ちゃんはスクスクと育ち、
ようやく性別が判明しました!
男子!
すぐに夫に連絡すると、すぐに
「賢太郎にしよう」
とメッセージが返ってきました。
「賢い」「太郎」!?
なぜ?
ってゆうか、
私の子供が、“賢い”太郎?
それはムリムリ!!
アホな子を育てる自信はあるけれど、
賢いのは無理!
絶対に「名前負け!」って笑われる。
トンビがタカを産むことは、
できませんぞ。
カエルの子は、
カエルでございます。
と、めっちゃ1人ツッコミを入れつつ、
「なんで?」
と聞きましたが、夫は理由も言わず
賢太郎の一点張り。
まあ、元々名前は夫に任せていたし、
私もそれ以上は、特に何も言いませんでした。
そこから数日が過ぎ、
仕事帰りに、おかあさんに会いに行きました。
病室で待ち合わせをしていた夫はまだ来ておらず、
おかあさんとふたりきり。
おかあさんの深刻な病状がわかって以来、
どんな言葉を選べばよいか、
何を話したらよいか、わからないマツコ。
どうしよう…
と、こっそり“冷や汗”をかいていたところ
「男の子だったんだって?」
と、おかあさんが切り出してくれました。
(そうだ!このネタ!使わせてもらう!)
「そうなんですよ。
しかも名前までもう決めてしまってて、賢太郎らしいです」
「漢字は、賢い太郎ですよ!
名前負けって言われそうですよね。」
と笑いながら答えると、
それまでにこやかだった顔が、
急に真面目な顔つきになり…
自分の掌に、
なんども、なんども指で書き
じっとその掌を見つめるおかあさん。
「どうかしましたか?」
と聞くと
「私の父の名前が、賢三なの」
おかあさんの父(夫からすると祖父)は、
夫が幼い頃に亡くなっているため、
私は面識がなく、名前すら知りませんでした。
実は、おかあさんの病気が判ってから、
お腹の中の子の名前は、
おかあさんにつけてもらうのはどうだろう?
おかあさんの名前から、
一文字もらうのはどうだろう?
と夫に相談したことがありました。
しかし、余命を知らされていないおかあさんに
「名前を考えてください」
なんて言うと変に勘ぐられてしまうのではないか
という懸念があり、一つ目は却下。
ちなみにもう1つの案は、
おかあさん名前の漢字は、マツコと同じ漢字を使っているため、
どちらから名前からとったのか、よくわからなくなるので却下。
という流れがありました。
ちなみにマツコ夫は、サプライズとか、
感動ストーリーとかそういうのを、鼻で笑うタイプ。
マツコがドラマで号泣してるのを見て
「なんで?」
と言ってくるようなひとです。
そんな人が、
まさかこんなサプライズを考えていたなんて!
私はもちろん、
おかあさんもかなり驚いた様子でした。
何度も名前を書いた掌を
じっと見つめたままのおかあさんを見ながら、
うっすら泣きそうになるマツコ。
と、そのとき。
ハッ…!
と、数分前の自分の発言を思い出しました!
そんな想いを込めた大切な
「賢」の字を“ネタ”にし、けなしたワタシ……!
バカものーーーーー!
次は本当に“冷や汗”です……。
それこそ、
なんて言っていいかわからず、
オロオロ。
そんなところに、
絶妙なタイミングで夫が登場。
「名前、おじいちゃんから取ったんだね。
そんな大事なこと、ちゃんと教えてよ!」
と、マツコが言うと
「えっ?そうなの?知らなかった」
と、夫は見事なすっとぼけ。
(え?そこで知らないフリするか??)
すると、おかあさんも
「そうね。小さい時に亡くなったし、覚えてないわよね。」
(いやいや、偶然なハズないでしょ…)
ツッコミどころ満載な、ふたりのやりとり。
だけど、結局この話はこれきりで終わりました。
でもこれも、
不器用なおかあさんと、
夫らしいやりとりでした。
ほんとはお互いわかってる(はず)。
だけど、そっとお互い胸の中にとどめたのだと思います。
目に見えるものや言葉ではない
深いおもいやりをみた気がしました。
後に、夫が友人に
「息子の名前は、祖父から一文字もらったんだ」
と言っているのを聞き
(やっぱり、そうやん!)
と、こっそり心の中でツッコミましたが
わたしもおかあさんを真似て、
あえてこの話は深入りせずにいます。
そして、細く小さい身体のおかあさんが
ベットの上でちょこんと正座し、
手のひらに書いた「賢太郎」を
じっと見つめていた、あの数分間。
1度も賢太郎を抱かせてあげることはできなかったけど
大事に大事に、抱っこしてもらった気がします。
このおかあさんとのやりとり。
夜勤の看護師さんがバタバタと夕食を下膳し、
お薬を配っている時間帯のできごと。
看護師にとっては、なんでもない日常の中で
患者さんや家族にとっては、
一生ものの出来事が起こっていることも、あるんですよね。
少しでもそんな出来事を穏やかに過ごせるように
忙しさに関わらず、
日々の自分達の立ち振る舞いも、気遣っていきたいですね。
マツコ