Vol.0034 愛すべき人~じいちゃんはじめての入院~ [2014/06/05更新]
「入院なんてはじめてだ。寝れっかなあ…」
入院が決まった、じいちゃんはしきりに
そう言っていました。
もともと、寝つきが悪くときどき睡眠薬を使っていたじいちゃん。
確かに…。
いつも、朝から晩まで働いてきたじいちゃんが
突然、何もせず病院のベッドに寝かされて
夜、眠れるのか?
危ない…。
寝られない→不眠→昼夜逆転→不穏
危ない!危ない!
しかも、
「これ(睡眠薬)は病気と関係ないし、持っていかない。」
だだだだダメよおおお~!!
「今、飲んでる薬は全部持って行って下さい!
そして、眠れなかったら0時前までに看護師さんに言って
お薬貰って、その後トイレ行くときは看護師さん呼んでいいですから」
そう、言ったけど、言ったけど…
めっちゃ心配。
そんな不安を抱えながら、
入院前に、家族みんなでごはんに行きました。
マツコという新参者がいて、さらに外食となると、
遠慮して自ら箸を出さないシャイなじいちゃん。
お義父さんやお義母さんが
じいちゃんのお皿におかずをよそわないと、食べようとしません。
またしても…
大丈夫かしら?
こんな恥ずかしがり屋の遠慮がちなじいちゃん。
ひとりぼっちで病院食をちゃんと食べてくれるの?
ごはん食べない→便秘→イレウス
ごはん食べない→便秘→何度もトイレ→寝られない→不眠
不眠→昼夜逆転→不穏
ほらほらほら…
リスクしか思い浮かばない~!!
食事をしたお店はお座敷だったのですが、
食べ終わって立ち上がる時、
少し心配だったので横にいて支えようとすると
ぎゅっと
ぎゅっとマツコの両手を握って畳の上を歩いて
靴を履き終えた後も
車まで一緒に手をつないで歩きました。
だから、もうっっ!
じいちゃん、大好きっっ!!
抱きしめたい衝動を抑えながら、
「絶対この人をこのままで退院させたい」
とまた、強く思いました。
そんなじいちゃん。
入院当日は、ほぼ一日中義父、義母が付き添い、
検査をしたりしたそうです。
なので、マツコもその日は顔を出さなかったのですが…
「それ、10万円かかるって聞いたよ。
そんなの必要ないから、遠慮しときます」
これ、何のお話だと思いますか?
正解は、リハビリの先生が術前訪問したときの
じいちゃんの返答です。
どんなに術後のリハビリの必要性を説明しても、
これの一点張り(笑)
一体どこの誰から、〝リハビリが10万円〝っていう、
デマを聞いたのか…。
恐るべし、老人ネットワーク。
この患者さんの「ヘンテコ医療知識ネットワーク」には
マツコもよく困っていました。
・この病気にはこの食材がいいから、こればっかり食べてる
→今はめっきりお姿を拝見しませんが、某有名司会者さんの
主婦のお昼情報番組で特集された知識を、
都合よく解釈した方が陥る現象でした。
これは、本当によく遭遇しました。
・あそこの病院に入院するには、かなりの金額(裏金)を渡さないといけない
→そんなことありません。ちなみにお菓子もいりません。
それで、対応を変えるような医療者、組織は存在してはいけません。
お金を渡そうと詰め寄る患者さんにナースステーションまで
追いかけられていたDr.を見たこともあります。
・山のように隠し持っていたサプリメント
→入院したら、病院で出された食事とお薬だけにして下さい。
隠し持つのだけは本当に…本当に勘弁してください…。
そんなこんなでうちのじいちゃんですが、
困り果てたリハビリの先生が、主治医に相談。
主治医が登場するも、意志を曲げず…。
結局は、主治医からお義父さんに電話がかかってきたそうです。
もう、予想通りというかなんというか…
「ですよね~」っていう(笑)
翌日、じいちゃんの元に行き10万円もかからないことを伝えたうえで…
「逆に10万円払ってでも、リハビリはしてください!」
そうリハビリの必要性をこんこんと説明しました。
一応、可愛い可愛い孫のオヨメということで
表面上は、
「そうらしいなあ…。そうだよなあ…」
と納得してくれましたが…
不安だよ、じいちゃん。
ますます、通いつめる意志を固めた術前のデキゴトでした。
次回は、いよいよ手術編!
直帰の部屋がまさかのナースステーションから一番遠い部屋!?
どうなる!?じいちゃん?
大丈夫?じいちゃんっっ!!
マツコ