Vol.0013 循環器病棟の“きよしこの夜“ [2013/12/24更新]
メリークリスマス☆
みなさま、クリスマスです!
冬のイベントのスタート・クリスマス。
世間一般はもとより、
クリスチャンでもなんでもないのに
何故かこのイベントだけは、
多くの病院が参戦しますよね。
ツリーはもちろん、大変なのが
クリスマスカード作り
基本、イラストも含めて全て手書きです。
得意な人は、それなりに楽しいでしょうが
絵心やセンスがなかったり
字がイマイチな人には
かなりの苦行です。
最終的に患者さんの元に渡るものなので
いい加減にはできません。
しかし、見ているとどうしても
残念なものがちらほらあります。
トナカイなんだか犬なんだかのような
絵心の問題のもの
水性ペンで書いたことによる
殺人事件のようなシミ
そんな残念なカードを配りながら
時々疑問に思うのが
“高齢者にとってのクリスマスって…?”
入院中に季節行事を演出することは確かに必要です。
しかし、THE日本行事のお正月や節分よりも
クリスマスははるかにスタッフの気合いの入れようが違います。
その証拠にクリスマスツリーやカードはもちろん
聖歌隊やクリスマスコンサートを開く病院も多いです。
病院にもよりますが
特に聖歌隊は、大変です。
聖歌隊がある場合は、歌う人だけでなく
それを聞くための患者さんを誘導する
ボランティアも駆り出されます。
聖歌隊を看護学生が担う病院もあります。
マツコは、看護学生時代に聖歌隊をしました。
もともと、実習中もたとえ最上階だろうとも
学生はエレベーターを使うべからず
という階段移動のお達しが出ていたので
もちろん聖歌隊も階段で移動
しかも歌いながら…
上の階に行くにつれ
息切れ続出
歌声も細々してしまいます。
辿り着く頃には、神聖なはずのきよしこの夜が
なんだか不気味なさみし~い
きよしこの夜に変貌してしまいます。
そして、疲労絶頂で歌わなければいけないのが
ジングルベル
元気に明るく!
…歌えるはずがありません。
どの階、どの病棟になるかは運です。
3階で済む人もいれば、最上階の人もいます。
しかし、先に高齢者とクリスマスについて疑問を持つと書きましたが、
この聖歌隊やクリスマスコンサートは
キャンドルを持ってムード満点に行ったりするので
患者さんには好評です。
みなさん自然に笑顔になります。
そしてその日の食事も患者さんの病状によりますが
お肉が出たり、ケーキが出たり…
カードやツリーで視覚で攻め
歌や音楽で聴覚で攻め
最後に食事で味覚で攻める
はじめはクリスマスに興味がなくても
気づけば、病院のクリスマスに乗せられてしまいます。
うーむ。
今まで病院で働いていた時は気づかなかったけど
改めてこうして文章に書くと
なんだか病院のクリスマスって面白いですね。
何度も言うけど、クリスチャンでもないのに…ね。
まあ、そんな感じでクリスマス一色の病院の中で働いていると
目を背けたくても背けられなくなってくるのが
自分とクリスマスの現状。
みなさま、恋はしていますか?
恋にも様々あると思いますが、
アラサ―以降の大人の恋は、本当に身体に悪いです。
もう、胸なんだか胃なんだかよくわからない所が
痛くて苦しくて
結局、胃薬のお世話になってしまったり、
恥ずかしくてうつむいていると
体調不良か不機嫌だと間違われるだけ。
年齢を考えると
可愛らしくもなれないし、
無駄に強気にも出れない。
引いたら引いた分だけ距離ができるし
押したら押した分だけ引かれてしまう。
そりゃ、胃も痛くなります。
でも結局、相手の言動に一喜一憂してしまう自分がいて
中学生の恋と大して変わらず
“いっそのこと第二ボタンでももらっちゃえばいいんじゃないか?”
なんていう、もうわけのわからない考えに突入してしまいます。
20代も前半であれば、失恋して泣きはらした目で仕事に行っても
みんなが声をかけてくれて優しくしてくれますが
大人女子はそうはいきません。
うっかり腫れた目で行ったとしても
“飲みすぎ”“むくみ”とまたしても勘違いされるか
例え事情がほんのりわかっても
地雷が大きすぎてだあれも声をかけてはくれません。
声をかけてくれるとすれば、師長さんか主任さんでしょう。
そういえば、友人の病棟でアラサーとアラフォーの狭間の先輩が
結婚間近で失恋をしてしまい
その落胆っぷりが激しすぎて
見かねた師長さんが
「失恋休暇」
を1週間もあげたそうです。
…いや、わかるんですけどね。
マツコはどちらかというと、仕事に逃げてしまう方なので
仕事をしてた方が心は紛れると思います。
患者さんの前に出れば、嘘でも笑顔になりますし
人と接することで自分の心も癒されます。
仕事に集中してしまえば余計なことを考えなくてもいいですし。
でも、その師長さんもその病棟も寛大ですよね。
優しい職場です。
優しいといえば、お話は戻って今宵はクリスマス。
優しい師長さんや太っ腹なドクターがいる病棟であれば、
ケーキやチキンの差し入れなんかがあります。
しかし、せっかく夜にこっそりプチパーティーを企んでいても、
マツコが働いていたのは循環器病棟…。
冬は大繁盛の病棟です。
狭心症に心筋梗塞、動脈解離…。
緊急入院に緊急手術。
自然に病棟全体の重症度も上がり
頻回な観察が必要だったり
ジングルベルの代わりにナースコールが各地で鳴り響く始末。
お正月まであと一歩のこの時期は、
駆け込みの心臓カテーテル検査や治療、
手術の患者さんもいらっしゃって、満床であることが多く
嵐の前の静けさの逆で
静けさの前の大嵐です。
結局パーティーどころか、ボロボロの姿で朝を迎えることもあります。
そんな中でマツコが選ぶ一番良い勤務は、
23日夜勤入りの24日夜勤明けがベスト勤務です。
マツコもノリに乗っていた3年目の時にその希望を出し、
見事勝ち取りました。
そう、いくら循環器が大盛況とはいえ、
23日は祝日なので幾分か夜勤入りの時点で、
病棟も穏やかでスタートが切れます。
例えどんなに忙しくても、24日のお昼には家に帰れて
夜はゆっくり楽しめます。
そして25日もお休みです☆
この希望、ぜひおススメですが注意点がひとつ。
“どれだけ自分がこのクリスマスを楽しみにしているかアピール”
は必須です。
あと、クリスマスを取る代わりに
お正月は馬車馬のように働くという意思を表明することも必要です。
まあ、お正月手当が良い病院であれば、
働いた方が得なんですけどね♪
マツコもクリスマスにこの希望を出した年は
年末年始がっつり働きました。
それでも、やはり人生に一度くらい
思い出に残る素敵なクリスマスを経験しておけば
後のクリスマスにどれだけ悲しいことが起こっても
どうにか乗り越えることができます。
そう、例えば
無駄にクリスマスが休みになってしまったり、
カップルがひしめくジュエリーショップで
うっかり独りで紛れ込むことになってしまったり、
心寂しいイブの深夜にさほど親交のない友人から
結婚お知らせメールが着て静かに怒りを覚えても…
ぜーんぜん余裕です。
あっ、最後のは怒っちゃってますね(笑)
きよしこの夜。
夜勤の人も
日勤だけどいつ帰れるかわからない人も
聖歌隊の人も
なーんの予定もない人も
ラブラブな人も
そうでない人も
どうか全てのみなさまに
心穏やかなクリスマスが訪れますように…。
マツコ