看護師として働きはじめてからいつごろまでが「新人看護師」と呼ばれると思いますか?
実務ではおそらく、新人研修が終わる頃には新人と呼ばれなくなるケースがほとんどでしょう。
でも「1人前の看護師になるまでは新人」と考えると、就職から2~3年は「まだ修行中」という意味合いで新人といえるかもしれません。
そこで今回は、就職から3年以内の時期に転職を考える場合の「注意事項」についてご紹介します。
どうしても転職せざるを得ない事情を抱えている方も少なくないでしょうから、転職を決めてから後悔することがないよう、ぜひご参考にしてください。
新人看護師が転職する理由って?
新人看護師のみなさんが「転職したい」と考えるおもな理由は、以下のようになっています。
・職場の人間関係に馴染めない
・残業が多く体力的に続かない
・時間外の研修が多くハード
上記の理由が、特に多くみられるとのこと。
なかでも多いのが、やはり人間関係が良くない職場を離れたいと思うケースのようです。
看護の現場は、たいてい人間関係が良くないものなのだろうか? と決めつけがちになりますが、もちろんそのようなことはありません。
上下関係などに縛られず、従業員同士がフラットな関係性を保っている働きやすい職場も数多くあるものです。
なんとなくその場の雰囲気が好きになれないという程度であれば、ある程度の期間働いていれば慣れたり考え方を切り替えたりできるかもしれません。
しかし、人間関係とはいってもいじめやパワハラと呼べるような状況まで悪化していることが、誰に見られても分かる状況の場合は問題です。
また、残業が多い職場についてですが、特に手当のない「サービス残業」が横行している場合は「ブラック企業」の看護師版「ブラック病院」である可能性も。
あきらかに個人の問題ではなく、労働環境がどう見ても劣悪である場合は問題も深刻です。
第二新卒(新人)の看護師を採用する理由
実際に、新人のうちに転職活動をする「第二新卒」の看護師さんが転職に成功するケースもあります。
ここでは、第二新卒(新人)の看護師が新しい職場に採用されるおもな理由についてご紹介します。
1.独特なやり方や癖が身についていないので、教育しやすい
同じ病院に長く勤めて転職する看護師さんの場合、その病院独自のやり方や自分の癖が抜けず、新しい職場に対応しにくくなることがあります。
しかし第二新卒の看護師さんはその心配が少なく、新人と同様に1から教育をしやすいという利点があります。
2.看護の基本は身についているので、完全にゼロからのスタートにはならない
前の項目で「1から教育できる」と紹介したためそれと矛盾するともいえますが、看護における医療行為の基本や職場のマナーは前職できちんと教わっていることも第二新卒の利点です。
教育はしやすいものの、何も身につけていない状態から手取り足取り教えるわけではなく教育担当の負担が少ないことで、歓迎される可能性があります。
3.若いので体力的な面で信頼性が高い
新人と同様に体力があり、採用すれば職場で長年活躍してくれる可能性があります。
「仕事が辛い」と感じたら、辛さがどこから来るかを考えよう
看護師として働き始めてから3年目ぐらいまでは、大抵の方が「自分はこの仕事に向いていないかも」「この職場でずっと働くのは難しいかも」と、悩みを抱えてしまうものです。
看護師の仕事はさまざまな経験を経て身につけていくものであり、それまでの過程で大変と感じる出来事にぶつかるのは当然ともいえますね。
もし「仕事が辛い」と感じても、仕事に慣れることで克服できる辛さなのか、実際に人間関係が劣悪だったりパワハラが疑われたりする状況なのかを、まずは冷静に判断しなければなりません。
前者のケースであれば真剣に仕事に取り組んでいくうちに辛さも忘れてしまうでしょうが、後者のケースならそのまま働き続けることは難しいかもしれませんね。
仕事が辛くて今すぐにでも辞めてしまいたくなっても、まずはその辛さの原因が何なのか落ち着いて振り返ってみてください。
その上で、次にとるべき行動を段階的に考えていく必要があるでしょう。
若手看護師における「第二新卒」のメリット・デメリット
第二新卒とは、基本的に新卒での就職から1年以内に転職活動をおこなっている求職者を指します。
業界によっては、学生が就職先を選べない中でやむなく入った企業などが将来のビジョンと合わず、優秀な新人が転職するケースも少なくありません。
そのため第二新卒の採用に力を入れる企業も多いのですが、看護業界となると第二新卒への見解は少し異なるようです。
看護師は人命を直接的に取り扱う仕事でもありますから、「初めてこの世界に飛び込んで辛いと感じないわけがない」と、考えている人もたくさんいます。
そのため「1年頑張れないなら、ここでも頑張ってもらえるかどうか……」と、ネガティブに受け取られることも少なくないので注意が必要です。
第二新卒として転職するメリット
とはいえ第二新卒の看護師を歓迎する職場も、実は決して少なくありません。
特に病棟や療養系の施設など、終日の交替勤務が求められる職場は若く体力のある人材をつねに求めています。
体力や元気さに自信があり、時間帯を問わず活発に動き回れる自信があるなら、その点をアピールしての転職活動がおすすめです。
また、前職での経験が長い看護師は一見有利に思えますが、逆に「ウチの職場へすぐに適応してもらえないかも」という心配をされるケースもあります。
その点、第二新卒の看護師は前職での経験が浅いため、新たな職場への適応の早さを期待されて優遇される可能性があるでしょう。
第二新卒として転職するデメリットとその克服法
先にもご説明しましたが、第二新卒の求職者は「1年我慢できないのならウチでも続かないかも」と思われてしまう可能性があります。
これを克服するには、今回転職を考えた理由の伝え方がポイントです。
正直に「前職で辛かったこと」を挙げるのではなく、「ここでどう働き、どう役に立ちたいと考えているか」など、あくまで前向きな転職活動である旨を伝えるとよいでしょう。
第二新卒(新人)看護師におすすめの職場
第二新卒(新人)の看護師さんが転職するなら、おすすめの職場とそうでない職場があります。
ここでは、第二新卒の看護師さんが転職する際におすすめできる職場について、ご紹介します。
1.慢性期の病棟など療養・リハビリ型の病院
体力的にきつい、激務に耐えられないなどで転職する新人看護師さんの場合、現場で目まぐるしく走り回る機会の少ない職場がおすすめです。
看護の基本からじっくりと学べるので、専門分野を勉強しながら看護に携わりたいなどスローな雰囲気の職場を希望する看護師さんには最適でしょう。
また、この種類の病院は新卒採用の看護師も少ない傾向があり、職場の若返りを図りたい場合もあります。
そのような理由で、第二新卒が歓迎されやすい現場といえるでしょう。
2.美容クリニック
若く見映えのする看護師さんを求めているので、美容クリニックも第二新卒看護師の転職先としておすすめです。
夜勤・残業がなくお給料が良いなどのメリットも豊富なので、若い看護師さんの転職先として人気の職場でもあります。
美容クリニックでは第二新卒の転職者が歓迎されますが、難点は求人数が非常に少ないところ。
一般求人においては超難関の転職先になるので、あらかじめ看護師専門の転職エージェントに登録して非公開求人の通知を受けられるようにしておくと有利です。
第二新卒(新人)看護師の面接のコツ
第二新卒が転職活動をする際、面接ではどんなことを聞かれるか不安になる方は多いでしょう。
特に「新卒と同じ扱いになるのか、一般的な転職の面接のようになるのか」は、推し量るのが難しいポイントです。
実際に第二新卒として転職した看護師さんの意見を総合すると「基本的には一般的な転職活動の面接と同じ」という声が多くみられました。
・転職の面接内容と変わらないが、前職での経験などを聞かれる分量は少なめ
・新卒の面接でよく聞かれた「どんな看護師になりたいか」などはあまり聞かれない
・今後どのようなことを学びたいか、新たに取りたい資格はあるかなどを聞かれることがある
・前職の退職理由は必ず聞かれる
上記のようなポイントを意識して、面接対策を行っておきましょう。
また「前職の退職理由」は採用側も重要視するポイントです。
1年目で前職を辞めて転職しようとしているのですから、理由は知りたいはずです。
できるだけ前向きな退職理由を述べ、転職したら長く働きたいという意思をアピールしましょう。
退職理由のモデルケースとしては、以下のようなものが無難でしょう。
・就職後にめざしたい分野が見つかったが、前職ではそのキャリアステップが用意されていない
・看護師としての目標のため重点的に勉強したいことがあり、激務を離れて学ぶ時間を取りたい
・あえて若いスタッフが珍しい現場に就き、年齢を活かして体力面・メンタル面で貢献したい
もし、超過勤務や薄給などネガティブな理由を主張したうえで転職活動をする意思のある場合は、勤務状況の記録や源泉徴収票など、前職の過酷さが数字で分かるものを用意するとよいかもしれません。
新人看護師の転職は「早め」に動くのが吉
自力で仕事の辛さを克服できない状況なら、早めに転職の検討を
医療機関付属の看護学校からそのまま就職したケースでは「就職から3~5年は辞めにくい」という、いわゆる「お礼奉公」の習慣が暗黙のうちに課せられていることもありますね。
そのような状況ではなく、新人看護師でもなんとか辞められる立場にあるなら、早めに転職を検討したほうがよい場合もあります。
具体的には、「明らかにいじめやパワハラが疑われる状況に巻き込まれている」「自分がめざす看護師像への道が確実に閉ざされている」などのケースです。
どう頑張っても「仕事が辛くなる要因」を自力で克服しようがないなら、あまり長く待たず転職活動に踏み切ったほうがよいかもしれません。
若いうちに転職したいなら、「第二新卒」として扱われるうちに
若手のうちに転職を考えているなら、「第二新卒」の扱いとなる期間中の転職活動がおすすめです。
看護師で「第二新卒歓迎」と明記している求人は多くないものの、「新卒可」「未経験可」とされている求人は数多くあるからです。これらの事項を記載している求人は「若い人材ほど有利」と判断できますね。
特に、採用したい人数が多い新規開院に際しての求人は狙い目です。
新しく開業する病院やクリニックなどでの募集がお近くであれば、積極的にチャレンジしてみては?
看護師専用の転職サイトなどの情報も活用し、つねに転職成功へ向けてアンテナを張っておきましょう。
まとめ
今回は、第二新卒(新人)の看護師が1年目で転職を考える際のポイントや注意点をご紹介しました。
まだまだ将来性があり、しかも看護師を辞めるのではなく看護師として転職したいと思っている看護師さんなら、十分に意欲を汲んでくれる職場が見つかるはずです。
しかし、転職先をよく選ばなければ失敗に終わる可能性もあり、その点では慎重になる必要があるでしょう。
まずは「転職したい理由はもっともかどうか」を見極め、転職を検討するか否かの段階でじっくり考えることが大切ですね。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。