Vol.019 目標に向かって
80代のご主人と70台後半の奥様は現役の頃は必死に働き、現在はお互い趣味を楽しむご夫婦です。
ただ、2人の共通の楽しみは船で海外旅行すること。年齢が高い方には飛行機の旅より、船旅の方が荷物を動かすことなく、食事も毎回バリエーションに富んだメニューが出されるので、年配の方から人気なんだそうです。
ただ、ご主人は心臓が悪く船医から診断書の提出を求められるほどでした。
「今回の旅がきっと最後になると思う」とお二人とも考えておられたようです。今回の日程は南米の旅。世界遺産のマチュピチュを見たいとご主人は言いますが、マチュピチュは標高2,280mの頂上にある“空中都市”とも呼ばれる遺跡です。高山病の恐れもあります。心疾患のご主人には到底無理だと周りは言いますが、頑として譲りません。
「死んでもいいから・・・。」
無理はしないという約束で、主治医はOKを出しました。
ご主人は”絶対、マチュピチュに登る”ことを目標に毎日散歩をされ、何ヶ月も前から体力づくりをしていました。そしてお二人は旅行にでかけられました。
3ヵ月後、無事旅が終わり、お帰りになりました。
問題だったマチュピチュも高山病にならず登れたと写真をたくさん見せていただきました。旅の途中も心臓が悪くなることも無く、楽しまれたそうです。船内では同じ年のころのご夫婦と知り合い、船内や観光地を一緒に楽しむことが出来たそうです。お帰りになったご主人は自信がついたのか、
「また、来年も行こうと思う」と眼をキラキラさせてとてもうれしそうに話されました。
このご主人も年齢的に足腰が弱くなりそれに加えて、右目が見えなくなったこともあって家にこもりがちの方でした。しかし、旅行が決まると自らリハビリを始めました。何かを目標にがんばることに年齢は関係ないんですね。このご主人を見習ってもう少しがんばってみようと思います。