◆派遣看護師の求人に最も多い就業先は?
意外と知らない方も多いのですが、じつは労働者派遣法では、看護師の派遣は原則許可されていません。業務の責任が重く、人の生命を預かる業務ということで、派遣が禁止されているのです。
ただし例外として看護師派遣が認められるケースがあります。
そのひとつが「福祉施設内にある診療所」への派遣です。具体的には、特別養護老人ホーム、身体障害者療護施設、有料老人ホーム、デイサービスなどがそれに該当します。派遣のお仕事を探すと、必然的にこれらの求人の数が多くなっているのはそのためです。お仕事内容としては、おもに施設を利用する患者さんの健康管理業務となります。
◆例外的に派遣が認められているケースも
先ほど、病院やクリニック等への看護師派遣はできないと申し上げましたが、これが例外的に認められているケースが2つあります。
そのひとつが「産育休代替派遣」です。これは、産休や育休による一時的な欠員をカバーするために、看護師を派遣するもので、前述した福祉施設に限らず、病院やクリニックに対しても看護師を派遣することが法律で認められています。
そしてもう一つが「紹介予定派遣」です。これは、最初の数か月を「派遣」として勤務したのち、その後双方合意のもとで、正社員として雇用されることを前提とした派遣です。人間関係や職場環境などは、実際に働いてみないと見えてこない部分もあるため、「一定期間働いてみてから、正社員になるかどうか判断したい」という看護師さんにとっては、おすすめの働き方です。また就業先にとっても、実際の勤務を通じ、その看護師さんの仕事ぶりや手技を見たうえで、正社員として採用できるので、非常に安心感があります。
◆正社員と派遣で仕事内容は違う?
これまで正社員で勤務していた人が、はじめて「派遣」で働く場合、少なからずカルチャーショックを受けるかもしれません。というのも、派遣では、ある程度即戦力が求められるので、丁寧に教育してもらえることは正直期待できませんし、派遣はあくまでも外部スタッフなので、ボーナスはありません。正社員のように現場の上司から仕事に対する細かいフィードバックもないことが多いため、自分の評価がわかりにくい部分があります。
また派遣看護師は、正社員のサポートとして採用されることも多く、自分よりも経験の浅い、年下の上司のもとで働くこともあるかもしれません。派遣が初めての場合、慣れるまでは多少大変かもしれませんが、お金をもらって働く以上は、プロ意識を忘れずに、割り切って働くことが大切です。
ただし、これらは派遣という働き方で得られるメリットの裏返しでもあります。やはり正社員看護師に比べれば、気楽に働けるのは事実ですし、わずらわしい人間関係に悩むことなく、のびのび仕事ができるのは、派遣ならではです。たしかに正社員と違ってボーナスはありませんが、契約更新時にこれまでの仕事ぶりが評価されて時給が上がる可能性だってあります。
もし仕事に対する評価について、職場で直接聞きにくい場合は、契約更新時に派遣会社の担当にざっくばらんに確認するとよいでしょう。
どちらかというと派遣の場合はどんな仕事内容であっても即戦力を求められるので、自分のスキルを活かしていろいろなな職場を通じて経験を積みたいという看護師さんにはぴったりといえるでしょう。正社員のように長期的な安定がない分、派遣にはひとつの職場に縛られずに働けるというメリットがあると思います。技術職である看護師だからこそ、主体的に働き方を選べる強みを活用していきたいですね。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。