看護師同士やスタッフ間のコミュニケーションで必要なスキルとは?コツや体験談を紹介!
看護師として働くなら、コミュニケーション能力は必要不可欠。しかし、「看護師として求められているコミュニケーションスキルがない」と感じている人のほうが多いのではないでしょうか。
特に、先輩看護師や後輩看護師といったスタッフ間のコミュにケーションに悩む看護師は少なくありません。
この記事は、前編に続いて、看護師がスタッフ間のコミュニケーションを円滑に行なうためのポイントを解説します。
実務レベルで役立つ内容なので、ぜひ参考にしてください。
ポイント③仕事を頼まれた時は「できる範囲」を明示
看護師同士で頼まれ事をしたり、仕事をかわってもらう機会は多くあります。
看護師同士をはじめ、スタッフ間のコミュニケーションを円滑に行なうためのポイント3つ目は、頼まれ事には「できること」「できる範囲」をはっきり示したうえで、引き受けるかどうかを伝えること。
意欲的に取り組むのはいいことですが、自分のレベル以上、許容量以上のことを安請け合いしてしまうと結果的にミスやトラブルにつながる可能性が高いです。
もし同僚や先輩看護師から仕事を頼まれた時には、
- 自身の習熟度や技能レベルに合った「できること」
- 体力や時間に応じた「できる範囲」
これらをふまえて「ここまでなら引き受けられます」と伝えましょう。
体験談「看護師5年目なのに知らないのが恥で、聞けない……」
- Sさん 30代前半 総合病院 消化器・腎臓内科病棟勤務
- 新卒で就職した大学病院では、精神科で経験を積みました。けれど、一般病棟のように処置や点滴なども多くなかったので、今の病院に勤めだしてからも技術的な不安を抱えていました。
今の病院に勤めだしてすぐの頃の夜勤帯で、受け持ちの患者さんが急変し、輸血をすることになりました。リーダーに「輸血用のポンプを取り寄せてほしい」と言われたのですが、輸血でも使える輸液ポンプがあることを知らず、しばらくオロオロ……。
リーダーも他の夜勤者も忙しそうだからなかなか声をかけられず、たまたま日勤で残っていた指導係の先輩に聞いて理解できました。
「看護師5年目なのに、わからないことがあるのが恥ずかしい」と思って、普段から不安な気持ちやできない技術について、指導係の先輩以外にはあまり共有できていませんでした。
普段のコミュニケーションから「何ができて、何ができない」「何が得意で、何が不得意か」を共有しておけば、周りもカバーしやすかったし私も気持ちが楽だったなと思います。
配属の科によって、経験できること・できないことが異なってきます。このSさんのように、「看護師〇年なのに、できないことがあって恥ずかしい」と感じたことがある看護師は少なくないのでは。
恥ずかしくて言えなかった結果、現場で困るのは自分自身。周りにも迷惑をかけてしまいます。
誰もが苦手な部分やできないことはあるはず。これから学び、経験を積めばいいのです。自分ができる範囲やスキル、できないことは隠さず、明示するようにしましょう。
ポイント④意見や助言をする時は、相手の意見も聞く
看護師同士をはじめ、スタッフ間のコミュニケーションを円滑に行なうためのポイント4つ目は、意見や助言をする時は「一方的にしない」ことです。
他の看護師や後輩を見ていて、一言、助言や意見を述べたい時もあるでしょう。
しかし、自分の考え方ややり方がすべての看護師に当てはまるとは限りません。また、自分が習った時と今では違っていることもあるかもしれません。
「こうしたほうがいい」と思っても、あくまでそれは自分自身の考え・やり方であり「相手には相手の事情があるのでは」と考えたほうがいいでしょう。
押し付ける言い方はせず、相手の意見も求める形で伝えるほうが円滑なコミュニケーションにつながります。
体験談「ミスをして泣く私を一方的に責めなかった先輩」
- Kさん 20代後半 大学病院 頭頸部センター病棟勤務
- 私が新人の頃、患者さんの点滴を誤って違う方に接続したことがありました。内容は同じ物だったので、特に影響はなく患者さんに謝罪するだけですみました。
けれど、その時の師長さんに「どうして、そんなミスをしたの?名前はいつも確認してないの?」とかなり責められてしまい、こらえきれずみんなの前で泣いてしまいました。
その時に私のプリセプターをしていた先輩が「師長さん、まずはどうしてこんなミスが起こってしまったのか冷静にみんなで考えましょう。今回ミスしたのはKさんだったけど、誰もがミスをしやすい状況があるのかもしれない」と、ミスが起きた背景について聞いてくれました。
私も今はリーダーもして中堅と呼ばれる立場になりましたが、この時の経験が忘れられず、後輩が何かインシデントを起こした時は責めずに「どうしてこういうインシデントが起きたと思う?」と当事者の話をよく聞くようにしています。
ミスやインシデントは誰だってしたくないけど、起きてしまうものだからこそ再発を防止するためにも一方的に相手を責めるのではなく、よく話を聞くことが大事だと思っています。
このKさんの話のように、ミスやインシデントが発生した時は当事者を責めるような物の言い方になりがちです。
けれど、なぜそうなったかという状況を聞けば、当事者の責というよりフローや状況に問題があり、誰もがやってしまう可能性が大きかったというケースもあるでしょう。
今後、職場で看護師みんながきちんと業務を行なえるようにするためには、発展的で健全なコミュニケーションが大切。意見や助言は一方的にせず、相手の意見も聞くようにしましょう。
ポイント⑤先輩や上司からの厳しい一言に、感情で反応しない
看護師同士をはじめ、スタッフ間のコミュニケーションを円滑に行なうためのポイント5つ目は、厳しい言葉に対して感情的に受け止めないこと。
時には、先輩・上司から厳しい指導を受ける機会もあるのが看護師の仕事。
キツイ言い方で指導されたり怒られた時は、いつまでも引きずってしまうという看護師も少なくないのでは。
しかし、感情面で受け止めると「ショック」「自尊心を守りたい」「怒り」「不満」といったネガティブな思いが強くなり、言われたことを素直に受け入れられなくなってしまいます。
自分自身がストレスを感じるのはもちろんのこと、周囲も感情的に受け取る人はコミュニケーションが難しいと感じるでしょう。
厳しい指導や注意に対しては、感情的にならず言ってくれた内容にフォーカスして、素直に聞き入れるよう努めましょう。
体験談「冷静に受け止めて、感謝も伝えるように」
- Tさん 20代後半 総合病院 整形外科病棟勤務
- 私はもともとムッとするなどの感情が顔に出やすく、感情のコントロールが下手なので、指導を受けていると泣いてしまうことも。
新人の頃は、納得いっていない表情などが顔に出てしまうせいで「反省していない」と思われ、余計に先輩から怒られることもありました。先輩のなかにはやっぱり指導の言い方がキツイ人もいるので、つい感情的に受け止めてしまっていました。
でも、ある日、こんなふうに職場で感情的に反応するのって子供っぽいと反省しました。そこで、指導してくれた内容を冷静に聞くことに。そして、何を言われても最後に必ず「ありがとうございました」と言おうと思いつきました。
「ありがとう」って魔法の言葉で、「こんなに熱心に指導してもらってありがたいなぁ」と指導内容を素直に受け入れやすくなりました。
最後に「ありがとうございました」と伝えるだけで、先輩も伝わったと安心するようで「ちょっとキツくなってごめんね」と言ってくれたりするようになりました。
あくまでも職場では冷静で、言われたことを素直に聞くようにしましょう。そうすれば、言うべきことを人は伝えてくれて、コミュニケーションも円滑になるでしょう。
厳しい注意を受けた時は、反省と学び・成長までがセット!
そう考えて、指導内容は冷静に受け取り、前向きに看護業務に励むようにするといいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
この記事は、看護師同士をはじめ、スタッフ間のコミュニケーションについて、悩みや求められることについて解説しました。
また、スタッフと円滑にコミュニケーションをとるためのポイントを5つ紹介しました。
Point1 わからないことはすぐ確認。
Point2 迅速に報告・情報共有する。
Point3 仕事を頼まれた時は「できる範囲」を明示する。
Point4 意見や助言をする時は、相手の意見も聞く。
Point5 先輩や上司からの厳しい一言に、感情で反応しない。
スタッフ間のコミュニケーションは、仕事を円滑に行なうための「スピード感」や、「事実を正確に伝えること」「冷静さ」がとても大切です。
「看護師に求められるコミュニケーション【患者さん】」で解説した患者さんとのコミュニケーションでは、「言葉遣い」「人の話をちゃんと聞く」「態度」という人として基本的なことをきちんと行なうことが大切だったこととは、また違いますよね。
スタッフ間のコミュニケーションは、看護師として日々頑張るなかで磨き上げていくことができるスキルです。
紹介したスタッフとのコミュニケーションが上手にとれるようになるポイント5つを参考に、「今、自分はこの部分が足りていない」「この部分を強めたい」と感じたところから意識をしていくといいでしょう。
この記事が、看護師としての成長に役立つヒントとなれば幸いです。
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スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
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