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看護師に求められるコミュニケーション【患者さん】《後編》

患者さんとのコミュニケーションに必要なスキルとは?コツや体験談を紹介!

看護師は、患者さんとしっかりコミュニケーションをとって情報収集・アセスメントしなくてはいけません。しかし、コミュニケーションをとることに苦手意識を持っている看護師も少なくないのでは。

この記事は、前編に続いて、看護師が患者さんと上手にコミュニケーションをとるためのポイントを解説します。

実務レベルでどうすればいいのか3つのポイントで具体的に解説するとともに、看護師さんたちの体験談もあわせて紹介します。

身につければ、人として魅力的になれるのは間違いなし。自分自身に足りていないものはないか、ぜひチェックしてみましょう。

目次

ポイント②敬語など、基本のマナーは欠かさない

患者さんとのコミュニケーションを円滑に行なうためのポイント2つ目は、看護師がマナーをきちんと守ること。

マナーとは、相手を思いやり、不快感を与えないための言動や服装、態度、礼儀作法などのこと。

患者さんに対しての言葉遣い身だしなみ足音・物音をやたらと立てないといった動作に現れる周囲への思いやりは、コミュニケーションを円滑に行なうためにも重要な要素です。

言葉遣い

言葉遣いについては、患者さんとの信頼関係を作るために親しく話しかける看護師もいるでしょう。

しかし、失礼に当たらないよう、基本的には敬語で話すようにしましょう。

また、言葉の内容にも注意が必要。親しくなったと感じても、軽口や冗談はくれぐれも慎重に。一度口に出した言葉は取り返しがつきませんよ。

身だしなみ

身だしなみについては、意外にも盲点になりやすいところ。髪や爪、衣類の状態がだらしないと感じると不快感を持つ患者さんもいます。

清潔感があり、看護師としてふさわしい身だしなみを心がけることが、円滑なコミュニケーションにもつながります。

動作(足音・物音)

足音や物を置く音などは、自分では意外と気づきにくいので注意が必要。静かな病棟内では思いのほか音が響きます。

特に足音は、「遠くからでも、歩き方で誰が来たかわかる」などとよく言いますよね。みんな足音をよく聞いています。病院内を走ってはいけないことはもちろんですが、ドタドタと足音を立てないよう、歩き方に気を配りましょう。

また、機器や道具を扱う際、ガシャン!ドン!と必要以上に音を立てないないように。

治療や病気で、さまざまなことに敏感になっている患者さんもいるので、配慮する気持ちが求められます。

患者さんは年齢もバックグラウンドも、価値観もさまざまです。

「この年代でこういった患者さんにはこうでいい」という思い込みや先入観をなくし、先に紹介した一定の身だしなみや言葉遣い、動作といったマナーを守るようにしましょう。

ちなみに、患者さんとのコミュニケーションを円滑に行なうためだけではなく、マナーを守ることはトラブルを避けることにもつながります。

自分自身も働きやすくなるので、看護師として働く瞬間、きちんとした言葉遣い・身だしなみ・動作で「私は、看護師の◎◎!」と切り替えるといいでしょう。

体験談「厳しい患者さんから立ち居振る舞いの指導」

Kさん 20代後半 大学病院 頭頸部センター病棟勤務
まだ私が新人看護師だった頃、日本舞踊の師範をしていた厳しい雰囲気の患者さん、Iさんがいました。Iさんは人一倍立ち居振る舞いや身だしなみに気を遣っていて、入院中でも自前の浴衣を着こなし、品がある女性でした。

一方の私はズボラなタイプ。忙しいと言い訳しながらドタドタ大きな足音を立てたり、白衣の襟が曲がっていたりなんていうことが頻繁にあり、Iさんにいつも注意されていました。

当時は、厳しすぎる……と感じていたのですが、注意されるたびに「患者さんから見た看護師の私」に気づくことができました。Iさんのおかげで看護師としての身だしなみや立ち居振る舞いを身につけることができたと思っています。

厳しいと感じていたけれど、もしかして母のように私のことを気にかけてくれていたのかなと思い、今は感謝しています。

患者さんが、看護師に対して「不快」と感じたことや、「看護師としてどうなの?」と思ったとしても、全員がそのことを伝えてくれるわけではありません。ほとんどの患者さんは、ぐっと飲み込んでやり過ごしているでしょう。

Iさんのように注意してくれる患者さんは、看護師からすると怖い印象があったり、ストレスに感じてしまうかもしれません。しかし、言わないだけでほかの患者さんも同じことを思っているのかも

言葉遣いや動作など、基本的なマナーは人から指摘される前に正したいものですが、もし注意してくれる人がいたら、一度自分自身を省みるきっかけにしましょう。

ポイント③表情や態度

コミュニケーション=会話です。

しかし、実は、身振りや行動などの「非言語的コミュニケーション」が及ぼす影響はとても大きくなります。

患者さんとのコミュニケーションを円滑に行なうためのポイント3つ目は、表情や態度です。

看護師の表情・態度

まずは看護師の表情や態度について。

看護師は、基本的には患者さんが話かけやすい表情や態度を心がけましょう。

自分の表情や態度は、自分自身ではなかなか気がつきにくいものです。忙しすぎると、つい、怖い顔をして患者さんに背中を向けて慌ただしくしてしまっていませんか?なるべく穏やかな表情・落ち着いた態度を心がけましょう。

重症の患者さんで話ができない場合、話しかける余地がなくコミュニケーションをとるのが難しいと考える看護師も多いでしょう。しかし、言葉がなくても、ただ近くで寄り添うといった態度だけで十分こちらの意思は伝わることがあります。

また、笑顔が持つパワーはとても大きいです。会話がなかなかできないような時も、患者さんと顔を合わせるたびに笑顔で接していれば、患者さんが親しみを持ちやすくなるでしょう。

患者さんの表情・態度

続いては、患者さんの表情や態度について。

患者さんとコミュニケーションをとる時は、患者さんが発する言葉を聞くだけではなく表情や態度にも注意を払いましょう。

本当は痛いのに我慢していないかなど、表情や態度に注目することで患者さんの問題点をアセスメントできます。

体験談「笑顔で働く私の存在が、患者さんの励みに」

Tさん 20代前半 総合病院 整形外科病棟勤務
1年目の頃、毎日の勤務が緊張の連続でした。覚えることはたくさんだし、先輩への申し送りでは「何か先輩にツッコまれたらどうしよう」と不安になり、患者さんに対しても「わからないこと聞かれたらどうしよう」と、とにかく常に不安でした。

それでも私ができることといえば「笑顔で元気に出勤して患者さんと接すること」。

先輩方も「1年目は笑顔で病棟に来てくれるだけで100点だよ」と温かく育ててくれたので、「まだまだ知識も経験も少なくて役に立てる看護師ではないけど、今私にできることを一所懸命にやろう!」と思っていました。

そんな私に、患者さんが退院時「Tさんが新人さんなりに笑顔で頑張っているところを見て、元気をもらい励まされていた。Tさんのおかげでリハビリも手術も頑張れた」と言ってくださいました。

そんなふうに見てくれている人がいるということが、すごく私にとっても救いになりました。やっぱり笑顔ってコミュニケーションの基本で、すごく大事だと実感した出来事でした。

会話がなくても、看護師自身の表情や態度によって、それを見る患者さんには伝わるものがあります。患者さんは看護師のことをけっこう見ているのです。

逆にいえば、会話の時だけ笑顔で感じが良くても、誰とも話していない時はだらしない態度、めんどくさそうな表情をしていたとしたら……。「この看護師の本性は、そっちなの?」なんて思われて、敬遠されてしまうかもしれませんね。

患者さんとのコミュニケーションが苦手な看護師は、まずは

  • 感じがいい表情でいる(シチュエーションによって笑顔も◎)
  • 頑張る態度を見せる

よう心がけましょう。

見ている患者さんから「この看護師さんは頑張っているな」「話しかけやすそうだな」「応援したいな」と感じてもらっていれば、話をする機会があった時などに円滑なコミュニケーションをとることに役立つはずです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。看護師として働くなかで、「コミュニケーションが苦手」と考えている人は少なくないのでは。

この記事では、患者さんとのコミュニケーションについて、多くの人が抱えている悩みや求められることについて解説しました。

また、患者さんとのコミュニケーションを円滑に行なうためのポイントも紹介しました。ポイントはこの3つ。

Point1 会話は、傾聴すること。
Point2 敬語など、基本のマナーは欠かさないこと。
Point3 表情や態度に気をつけること。

患者さんとのコミュニケーションでは、難しいテクニックというよりは「言葉遣い」「人の話をちゃんと聞く」「態度」といった、人として基本的なことをきちんと行なうことが大切です。

まだ新人であったとしても、今はコミュニケーションをとることが下手であっても、気をつけるようにすれば身につけられることばかりです。体験談もヒントにしながら、ぜひ自分のものにしていきましょう。

患者さんとのコミュニケーションに続いて、看護師同士、医師などスタッフ間のコミュニケーションについても記事「看護師に求められるコミュニケーション【看護師同士・スタッフ】」で解説しています。あわせて参考にしてください。

コチラの記事も参考に!

看護実習でやってはいけない!NG8選【患者さん】

 

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