Vol.0006 プリセプター ~母になる~ [2013/11/05更新]
マツコは、常々新人さんに3年は一つの現場にいて
プリセプターをした方がいい
と言ってきました。
「人を教育する」ことは、
「自分の成長」にもなります。
特に育ちざかりの看護師にとっては、
自分の看護師としての知識や経験の振り返りにもなり
自分にとって足りないもの、努力が必要なものの
整理もできます。
マツコは、転職をしたこともあり、5回プリセプターをしました。
Preceptorとは、英語で教訓者、教師という意味で、
看護師業界では、新人看護師に、教育・指導を行う看護師のことを
プリセプターと呼びます。
だいたい、新人の気持ちを忘れてない2~3年の看護師が
担うことが多く、知識、技術だけでなく精神的な支えにもなる
「お姉さん」とも呼ばれることがありますが、
リアルな母になったことないので、違うかもしれないけれど、
マツコは、「子育て」に似ているような気がします。
マツコの場合、
長女は、とにかく
“溺愛”
そして、何をするにも共に悩んで迷う
自分のできなさに落ち込む
何か達成できると、我が事のように嬉しい
たまに本気で怒る
でも、人に注意されていると全力でかばう
自分の指導不足だとまた落ち込む
でもやっぱり可愛い
後で振り返っても、本当に恥ずかしい限りです。
彼女には、本当に申し訳ないことをしたと思います。
もっと良い指導、フォローができたと思います。
そんな私なのに今でも慕ってくれる
愛娘です。
次女は、長女の時の反省も踏まえ
“若干放置”
でも、強い
要領が良い
次に来るつまずきポイントがわかるので
自分も要領を得て余裕を持って関われる
長女の時に山ほど育児書(参考書)を買ったのに
次女では買わない
他の人にも預けられる
他人に怒られていても割り込まず、経過をみれるようになる
長女が次女に焼きもちを焼く
ひょうひょうとしているけど本当は弱い
ほっとけない可愛さがある
やっぱり可愛い愛娘
次女の時には、「引いてみる」という技を習得し
それと同時に病棟全体も見渡せるようになったと思います。
自分自身も看護師として、メンバーからリーダーへと
レベルアップする時期でした。
長女のような愛情丸ぶつけはしなかったのに
やはり彼女も今でも慕ってくれる
可愛らしい愛娘です。
三女は、転職先の子で良くも悪くも
“個性的”
あの手この手で攻めてみるも
惨敗
とにかく強い
今まで、出会った人の中でもダントツトップ
優しくしたり、厳しくしたり
上の二人にもしましたが、家に呼んで一緒に勉強したり
メモが取れないから、説明しながら私もメモをしてみたり
その個性にプリを終えたあともずっと悩まされました。
2年目、3年目になってもできないことやミスが多く、
その度に、1年目の頃指導した自分に
落ち度があったのではないかと思いました。
誰よりもずっと彼女を見ていました。
当時の師長に、
「結局、あなたが一番彼女のことを想っているのよ。」
と言われたのが印象的です。
そうかもしれません。
私にとっては、つらい経験でしたが、でもこの子育てによって
“どれだけ自分が想ってもどうしようもないこともある”
“自分が努力をしても結果がついてこないこともある”
“世の中には、色んな人がいて理解し合えない人も中にはいる”
ということを悟りました。
すこし恋愛に似ていますね。
ある意味、究極の片思いでした。
なんだかんだ言って頑張れば、ある程度の結果がついてくるという
楽観的な甘い考えだった私には、かなりのスパイスでした。
しかし、愛というものを深く考えた場合、彼女もやっぱり
愛娘です。
四女は、病欠でプリができなくなった先輩のピンチヒッターで
途中からの関わりでした。
一番つらい彼女の山場は、先輩が関わってくれていたので
私は、山場を乗り越えて頑張る彼女を応援する
というバックアップ的な役割だったと思います。
歳も私より上で、社会人経験を経ての看護師でしたので
“とっても勉強熱心”
真面目
気配り上手
でも、弱い部分もある
小さくて頑張り屋で
強気にみえるけどとっても小心者で
年上だけど、とっても愛くるしい愛娘です。
彼女は今、初めてのプリセプターをしています。
戸惑うことも、思い悩むこともあると思います。
自分を責めすぎて逃げ出したくなることもあると思います。
母としては、初めてのプリと良い関係を結んで
良い経験にしてほしいと願いますが、
三女のようなケースもあります。
でもどんなケースであっても周りに流されず、
自分の意志を持って向き合えば、
少なからず、自分の中で得るものはあります。
彼女の初めてのプリ経験が彼女にとってプラスに働きますように。
五女は、他の病院で経験がある転職組で、
“何もいうことなし(笑)”
前の病院でプリセプターも経験済です。
あえていうなら、初めての転職だったので、
転職の先輩としての支えになったくらいです。
しかし、彼女の立ち振る舞いを見て逆に自分が反省することが多く
学ぶことも多かったです。
そんな私なのに、今でも時々連絡をくれる
やっぱり可愛い愛娘です。
私の看護師としての10年のうち半分は
プリセプター人生でした。
正直、結構大変です。
毎月毎月、目標と反省、他者からの評価。
三女のところで書きましたが、どれだけ自分が努力をしても
報われないことも多々あります。
しかし、五人のプリセプターを経験して
疑似母体験をして
看護師としても人間としてもたくさんの経験ができ
成長できた気がします。
この経験は、いつか本当の母親になって、子育てで思い悩んだとき
何かしら、解決のヒントや自信に繋がる気がします。
今回は、プリセプター目線で書きましたが、
元はマツコもプリセプティーでした。
プセプティー目線で言えば、また別意見も沢山あると思います。
厄介なプリセプティーがいるのと同じで、
厄介なプリセプターも山ほどいます。
プリセプティーから言えば、
自分が一番つらくてしんどいかもしれません。
マツコも昔、病棟の中で
「自分が生きるのに精一杯」
な時がありました。
ですが、三女、四女の部分で書いたように、
必ずそこから学ぶもの、得るものはあります。
つらいことも自分のステップアップの踏み台にして
将来、自分がプリセプターになる時の指導に繋げてくださいね。
そしてプリセプターのみなさん
4月からプリセプターを始めて、今はちょうど折り返したところですね。
プリの関係が上手くいっている人も そうでない人も
結局プリのとりこになっているはずです。
ついつい、目が離れがちな時期に来ていますが、
彼女、彼達の小さなサインに気づけるように目は離さずに
見守ってあげてくださいね。
母の気持ちで。
マツコ
追伸
題名を見てふと気づきましたが、決して某映画に影響されてではありません。
決して、彼の声にも顔にもマツコがぞっこんである事とは一切関係はありません。
決して、日曜夕方の某ラジオ番組が大好きである事とも関係はございません。…たぶん。