看護師が転職する際に求人を探すと、条件の欄に「臨床経験○年以上」などの記載を非常によく見かけます。
看護師の業務における「臨床経験」とはどのような経験を指し、また臨床経験があまりない看護師は転職において不利になることはあるのでしょうか。
この記事では、看護師の転職活動でよく聞かれる「臨床経験」とは何かをご説明しながら、臨床経験が少なめの看護師さんでも転職しやすい職場についてもご紹介します。
看護業務における臨床とは?
まずは「臨床」とは具体的に何を指しているのかを、改めておさらいしましょう。
臨床=床に臨むですから、「ベッドが置いてある職場のこと?」と連想する方も多いと思います。
考え方としては、その通りだと思って間違いないでしょう。
患者さんが来院して処置や治療を受ける場所が「臨床」であると考えれば分かりやすいはずです。
厳密に言えば病棟や手術室、集中治療室などに限ってそう呼ぶこともありますが、外来診療に従事して採血や注射などを日々経験してきた看護師さんも、基本的には「臨床経験あり」と言って大丈夫でしょう。
逆に「臨床経験がまったくない看護師」はどんな看護師なのかと言うと、資格は有しているのに実務経験がない方や、短期間だけ実務にあたったがその後無職が続いている方などです。
よく「臨床経験がない看護師は転職で不利になる」と言われますが、これを知ると「確かに不利になることもあるだろうな」と分かるのではないでしょうか。
臨床経験が少ない看護師が転職で不利になる理由
臨床経験がまったくない看護師が転職で不利になることは分かりました。
さらにここでは、「臨床経験の少ない看護師(ペーパー看護師など)」が転職で不利になる理由についてもご紹介します。
1.新人を募集していない
新人や新卒の看護師は、資格は持っているものの実務経験はほとんどありません。
そのため、実務における医療行為を教育して初めて臨床で活躍することになります。
転職者には即戦力として活躍してもらいたいと考えている職場の場合、入職したらすぐに臨床できっちり働いてくれることを望んでいるでしょう。
つまり「新人の募集はしていない」ケースの場合は、やはり臨床経験に乏しいと不利になります。
2.入職したら長期的に働いてほしいと考えている
いわゆる「ペーパー看護師」と呼ばれる、少しの経験を経てすぐに看護師を辞めてしまった人がいます。
そのような人の場合、また看護師として転職してもすぐに離職してしまうのではと不安に思われてしまうことがあります。
臨床経験が少なくても転職しやすい職場とは
臨床経験が少ない(=医療現場での実務経験が少ない)看護師さんが転職で不利になりにくい職場も、もちろんあります。
ここでは、臨床経験が少なめの看護師さんでも転職しやすい職場について、ご紹介します。
1.「未経験歓迎」と求人に明記されている職場
臨床未経験者でも、しっかり教育を行って活躍できる体制が整っている病院もあります。
未経験者でも業務を一から教われることをうたっている職場なら、多少なりとも経験があれば転職できる可能性があるでしょう。
2.リハビリテーション病院
リハビリテーション病院や総合病院のリハビリ科などは、医療行為の実務に携わった経験が少なくても転職しやすい職場の一つです。
即時対応が求められる局面や一刻を争う状況に立ち会うことが少なく、じっくり患者さんと向き合って機能回復への手助けをするのがおもな仕事。
ブランクのある看護師が改めてキャリアを積み直す現場としてもおすすめです。
3.介護施設、老人保健施設
医療行為をする機会もありますが緊急対応が少ない現場として、介護施設や老人保健施設で看護師として働くこともおすすめの選択肢です。
入所者さんの健康管理が中心の仕事内容なので、病棟などよりスローなペースで入所者さんとコミュニケーションをとりながら働けます。
同じ現場で働く看護師さんにもベテランが多く、雰囲気の良い現場で仕事にあたりたいならおすすめです。
4.教育制度、フォロー制度の充実した職場
経験は少なくても、これから臨床にもどって経験を積みたいと考えているなら、教育体制がしっかり整っている職場で学び直しながら実務経験を積むことがおすすめです。
看護師は人手が足りていない業界の代表格ですから、経験が少なくても将来の戦力として採用したい職場は数多くあるもの。
自信を持って臨床で活躍できる看護師をめざして、再挑戦を図ってみても良いでしょう。
まとめ
この記事では、看護師の求人でよく見かける「臨床経験」についてくわしくご説明しながら、臨床経験が少ない看護師でも働きやすい職場についてもご紹介しました。
「臨床」と聞くと、ICUや手術室、病棟などの経験が問われるのかと思いがちですが、転職市場ではもっと広い意味で「医療行為をともなう現場での経験」を指すことが多いと考えられます。
臨床が純粋に苦手という方なら介護施設やリハビリの看護に携わる選択肢がおすすめですし、本格的に医療行為のスキルを身につけたいなら教育制度が整備された病院への転職を検討すると良いでしょう。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。