看護師として働ける病院以外の職場として、保育園や幼稚園、介護施設や老人福祉施設を挙げる方は多いでしょう。
それらに準じた看護師の職場のひとつとして「乳児院」も挙げられます。
この記事では、乳児院で働く看護師の仕事内容や、乳児院で看護師が働くメリットやデメリットについてご紹介します。
看護師の資格を活かし、病院ではない職場で働いてみたいと考えている看護師さんは、ご参考にしてください。
乳児院とはどんな施設か
乳児院の名前をご存じで、なんとなく「保育園などとは違う施設なのだろう」とイメージしている看護師さんもいるでしょう。
ここでは、看護師も働ける乳児院の概要について詳しくご紹介します。
1.事情があって家庭内で暮らせない1歳未満の乳児が入所している
本来養育するはずの親が入院や出産で不在であったり、離別や死別してしまったりしたなどさまざまな事情を抱え、家庭での養育ができない1歳未満の乳児が入所する施設です。
また乳児本人が病気や障害を抱えているなどの理由で、家庭で暮らせない場合も乳児院へ入所することがあります。
2.公的機関ではなく「社会福祉法人」が運営している
公立学校や公立保育園のような公的機関をイメージするかもしれませんが、乳児院を運営しているのは社会福祉法人であり、民間企業の一種です。
ただし社会福祉法に基づき、院の運営には国や自治体の費用が使われています。
乳児院での看護師の仕事内容
乳児院で働く看護師は、どのような業務を受け持っているのでしょうか。
ここでは、乳児院での看護師さんのおもな仕事内容についてご紹介します。
1.処置などの医療行為
乳児院には病気や障害を抱えた乳児も入所しており、病児に対する医療行為をする機会も多くなります。
2.お薬の管理
病児が入所するケースの多い乳児院では、お薬の管理も看護師の大事な業務です。
投薬する薬剤の管理や準備、処方薬の確認なども看護師が受け持つこととなる場合が多いでしょう。
3.入所児の健康管理や体調の判断
入所しているのはおもに1歳までの乳児ですから、体調不良などが発生しても本人は的確な意思表示ができません。
表情や様子、便や尿の状態、動作や行動の状況を見たり、声を聴いたりして健康状態を判断することも看護師の仕事です。
4.他の職員の健康管理や健康指導
看護師以外のスタッフも、乳児院では数多く働いています。
それらの職員の健康状態を見ながら、健康管理に関するアドバイスや感染症対策などを看護師が行っています。
特に保育士スタッフには、看護師不在時の入所児の健康管理などに関する知識を教示する機会が多いでしょう。
乳児院の看護師に夜勤はある?
24時間態勢で乳児を預かっている乳児院ですから、看護師も交代で夜勤にあたることが多いでしょう。
ただし、看護師が夜勤に従事しないケースも稀にあります。
その場合、夜間に乳児たちを見る役目は保育士が務めていることが多く、看護師はオンコール(職員からの電話連絡)を受けて対応するケースが多くなります。
乳児院の看護師は何人ぐらいいるの?
乳児院には、看護師の配置基準が設けられています。
「最低基準」と「措置基準」の2つがありますが、いずれも同じ水準です。
基本的に、預かる乳児10人あたり2人以上の看護師を配置することとなっています。
それ以上の場合は、10人増えるごとに1人が追加される形です。
また預かる乳児が10人以下の院の場合は、7人あたり1名の看護師を配置することになっています。
看護師が乳児院で働くメリットとデメリット
乳児の看護に携わりたいと考え、乳児院看護師になることを検討しているなら、乳児院で働くメリットとデメリットについても押さえておきましょう。
メリット1.子どもが大きくなっていく様子が目に見て感じられる
乳児の成長は早いので、預かる期間は1歳までであってもめざましく大きくなっていく姿を目の当たりにすることができます。
子どもが好きでいつでも見守っていたいという看護師さんなら、日々それを体験できるだけでも大きなやりがいが感じられるでしょう。
メリット2.病棟などよりスローな雰囲気で看護にあたれる
病棟では数多くの患者さんの変化に対応するため、いつも目まぐるしく動き回ることが要求されるもの。
しかし福祉的な側面が強い乳児院の看護のペースは、基本的にスローです。
一刻一秒を争うような局面に立たされる機会は少なく、ストレスも極端に多くはないでしょう。
デメリット1.病院と比較すると、お給料は低め
夜勤の多い院などでない限りは、交代勤務や残業などが日常的な病院勤務と比較してお給料はそれほど高くならないでしょう。
デメリット2.子どもの状態の変化に、臨機応変な対応が必要
救急救命病棟などと比較すると人命にかかわる事態の発生は多くありませんが、それでも子どもの状況は刻々と変化するものです。
何が起こるか予測がつかない面もありますから、看護師もそれに合わせて臨機応変に対処・判断することが求められるでしょう。
まとめ
この記事では、乳児院で働く看護師の仕事内容や、乳児院に勤めるメリットとデメリットについてご紹介しました。
乳児院の看護師さんは、病院というより老人保健施設などに近い働き方であると考えると、業務の内容やペースが把握しやすいでしょう。
乳児院などの福祉施設では社会貢献への意識を高く持っている看護師さんが多く働いていますから、社会や地域に対して何かをしたいと考えている方には向いている職場と言えます。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。