病院といえば、心身の不調を治療して体調を整える場所という認識をされている場合が主体でしょう。
しかし、それ以外の目的で通院したり、治療を受けたりする診療科の病院もあります。
そのおもなものとして「美しくなりたい」という目的のためにある「美容外科」、「美容皮膚科」が挙げられます。
この記事では、そのうち「美容皮膚科」を取りあげ、美容皮膚科の看護師として働くメリットや、美容皮膚科の看護師さんはどのような仕事をしているのかについてご紹介します。
美容皮膚科の看護師ってどんな仕事?
美容皮膚科は、「急に体調が悪くなったので」と患者さんが駆け込んでくる病院とは、少し趣が異なります。
どちらかといえば「○○の治療を希望しているので、△月×日にしてほしい」など、患者さんのスケジュールに合わせて予約を取り、その期日に治療をするという業務の流れが中心になります。
美容院やエステサロンなどのサービス業に近い形で、医療行為である美容医療を実施している病院と考えると分かりやすいでしょう。
ここでは、そんな美容皮膚科で働く看護師さんの仕事内容について、ご紹介します。
1.患者さんの予約状況などを管理する仕事
2.患者さんへの施術(脱毛や美容目的の点滴など)
3.初診・新規治療の患者さんへのカウンセリング
4.院内の美化や環境整備
これらのほか、院内に配置するパンフレットやチラシの制作・管理や院内で取り扱う化粧品の販売、治療の前や治療後に患者さんに必要事項を説明することなどの業務があります。
「美容皮膚科」は「美容外科」とどう違う?
美容皮膚科とよく混同されやすい診療科に「美容外科」が挙げられます。
美容皮膚科と美容外科がどう異なるのかというと、もっとも大きなものに「メスを用いる治療を行うか行わないか」があります。
美容を目的とした診療・治療を行うという点については、いずれも同じです。
しかし美容外科は「外科」ですから、切除や縫合をともなう美容整形などの治療も行っています。
その一方で、美容皮膚科は光の照射や点滴・注射、薬の外用・内服などあくまで切らない治療が中心です。
美容皮膚科にはどんな種類がある?
美容皮膚科といっても、独立開業している病院もあればビルなどのテナントに入居している病院もあります。
ここでは、美容皮膚科のおもな運営形態と種類についてご紹介します。
1.独立し1施設として個人運営している美容皮膚科
1軒の建物で1つの病院として、個人で経営している美容皮膚科です。
この診療科で入院する患者さんはほとんどいないため、病棟などの設備が設けられていない点がおもな特徴です。
2.既存の皮膚科に併設されている美容皮膚科
既存の皮膚科が、美容皮膚科を併設するケースも多くなっています。
窓口や診察場所がまったく異なるケースもあれば、同じ施設内で一般の皮膚科医療と美容医療を並行運営している病院もあります。
このような病院は「皮膚科・美容皮膚科」と診療科を併記していることが多いため、一般の皮膚科と見分けがしやすくなっています。
3.ビルのテナントなどに入居している美容皮膚科
複数の医療機関やオフィスなどが入るテナントに入居し、運営している美容皮膚科です。
この形態は大手全国チェーンの美容皮膚科の1拠点である場合も多いのですが、個人で運営しているクリニックであるケースもあります。
また規模で見ても「大手で全国展開している病院」、「中堅規模でおもに都道府県単位のチェーンを持つ病院」、「個人経営のクリニック」があります。
看護師さんの仕事内容も大手になるほど専業化・細分化がなされ、小規模の病院は総合的でマルチな活躍が求められることが多くなるでしょう。
美容皮膚科で働くメリットは?
美容皮膚科のお仕事は、看護師さんの転職先としてとても人気が高いといわれています。
ここでは、美容皮膚科が看護師の転職先として人気を集める理由や、美容皮膚科で看護師として働くメリットをご紹介します。
1.夜勤がなく基本的には日勤のみ。残業も少なめ
病棟を備えていない美容皮膚科には、基本的に夜勤業務はありません。
残業になることも少なく、ワークライフバランスの取りやすさ、働きやすさなどの環境面で人気があります。
2.日勤のみなのに、給与水準は高い
美容皮膚科は保険診療の割合が低く、自費診療が中心です。
そのため病院の利益率を高めやすく、夜勤がなくてもしっかり看護師さんのお給料に利益が反映されるようになっています。
また、治療の契約や化粧品などの販売に付与されるインセンティブ(報奨金)制度が設けられていれば、歩合による収入も頑張り次第で上乗せされます。
3.生命にかかわる事態が少なくメンタル面で安心感が高い
内科や外科などで患者さんの生死にかかわる事態に直面し、精神面で参ってしまったという看護師さんも少なくないでしょう。
その点、美容皮膚科は治療の規模も軽微なものが中心で、生命にかかわる状況に置かれる患者さんはほとんどいません。
4.自分磨きにも最適
看護師さんご自身も、きれいになるために治療を受けやすくなります。
治療に職員優待が受けられる職場もあれば、院内販売の化粧品などを職員割引で購入できる特典があるところも。
医療行為をしながら美容に関する知識も身につくため、美容に関心の高い看護師さんにはうってつけの職場と言えそうです。
まとめ
今回は、看護師さんの転職先としても人気の高い美容皮膚科について、仕事内容や特徴・働くメリットなどをご紹介しました。
美容皮膚科で看護師さんをするには、ご自身の美容に対する高い意識も大切。
もちろん、身なりを清潔で好感度高めに保つ努力や、患者さんにいつも愛想よく応対できるヒューマンスキルも求められるでしょう。
美容皮膚科は、看護師さんが外側からも内側からも自分を磨くのに最適で、つねに心地よい緊張感をもって働ける職場と言えそうですね。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。