看護師のお仕事といえば、病院などの医療機関に雇われて働く「直接雇用」での働き方が主流でした。
しかし近年は、一般企業の派遣社員のように派遣会社から各医療機関に派遣される「派遣看護師」という働き方を選択する人も増えてきています。
この記事では、派遣看護師という働き方についてご紹介します。正職員にならず派遣看護師として働いて自立した生活が可能なのか、また看護師さんが派遣で働くメリットやデメリットについてもくわしくご説明します。
派遣看護師は意外に高給!自立した生活も難しくない
一般企業に勤める派遣社員という働き方においては、正社員と同じ業務を任されながらも待遇が低くなりがちなことで大きな社会問題にもなりました。しかし派遣の看護師さんの場合、お給料は時給制ではあるものの、意外に高いお給料をもらえるようです。
派遣の看護師さんの時給は平均で「約2,000円」。
1日の実働を8時間として月20日勤務すれば、月収の目安は「約320,000円」となり、十分に自立して暮らせるくらいのお給料はもらえる計算となります。
派遣看護師は余裕を持って1人暮らしができるのか、不安に思っていた方もいるかもしれません。しかし、正職員の看護師さんに遜色ないお給料をもらって、自立した暮らしができることが分かりますね。
派遣看護師として働き続けるメリット・デメリット
ここでは、派遣看護師を本業として働き続けることのメリットとデメリットについてご紹介します。
【看護師さんが派遣だけで働くメリット】
1.職場内の人間関係に干渉されにくい
職場の人間関係が険悪だと、仕事をするモチベーションにも影響するものです。
しかし派遣という立場であり続ける以上、上司や部下・先輩や後輩といった上下関係のゴタゴタに巻き込まれにくいというメリットがあります。
組織に属さず仕事のスキルだけを提供する立場として、周囲との付き合いをある程度ドライに割り切れる点は、看護職特有の集団生活が苦手な方でも働きやすく感じるはずです。
2.働いたら働いた分だけお給料になる
正職員(常勤)の看護師さんは月給制なので、固定給+残業という形で収入がある程度決まってしまいます。
一方で派遣の看護師さんなら、頑張れば頑張った分だけ収入を増やせます。
時間外勤務や深夜・早朝勤務が多く入った月は、時給に割り増される形でお給料を多くもらえることになります。
もちろん、サービス残業もありません。
3.勤務時間・勤務日数などの希望に沿って働ける
看護師さんが派遣で働くメリットのなかでも大きいのは、柔軟な働き方ができる点です。
家事や育児・介護との両立を図りながら収入もしっかり得たいと考えているなら、働きたい曜日や時間の都合に合わせて仕事ができる派遣は、パートや時短勤務よりも現実的に働きやすいかもしれません。
【看護師さんが派遣だけで働くデメリット】
1.出世や昇進などキャリアアップの機会がない
派遣の看護師さんはさまざまな職場を経験することになるため、実務のスキルは向上させられます。
しかし、スキルアップを図ってもそれを生かしてキャリアアップする手段は、派遣である以上はありません。
研修や会議などに参加する機会も基本的に設けられませんし、責任ある業務を任される機会もあまりないでしょう。
もし派遣の看護師さんが将来的にキャリアアップを考えているなら、自主的に学会などで学ぶ機会を作りながら、いずれは正職員(常勤)の看護師さんへ転身することを検討する必要が出てくるでしょう。
2.賞与・一時金がない
派遣の看護師さんの月収は正職員(常勤)の看護師さんと同じくらいかそれ以上にはなりますが、賞与や一時金など、いわゆるボーナスがありません。
月収は派遣の看護師さんのほうが高いケースも多く、年収で換算すれば変わらない給与水準ですが、年2回のお楽しみがないとなると張り合いは感じにくいかもしれません。
3.同じ職場でじっくり長く経験を積めない
派遣の看護師さんを求めている職場は数多くあります。
健康で看護スキルがある程度身についていれば、派遣として長く働き続けることは難しくないでしょう。
しかし、同じ職場に長く勤めて経験を積んだり、1つのことに長い年月をかけてじっくり取り組んだりできるチャンスはなかなかありません。
愛着の湧いた職場があっても、いつか必ず離れなければならないときがやってきます。
4.職場ごとの福利厚生を受けられないことがある
正職員の看護師さんが利用している職場の福利厚生を、派遣の看護師さんは同様に受けられないこともあります。
職員の食堂を使えないというケースは少ないかもしれませんが、職場に設けられた託児所や職場で団体契約している保養施設・スポーツクラブなどの利用は難しいことが多いでしょう。
ただし、登録している派遣会社で社会保険に加入することになりますし、派遣会社独自の福利厚生があればそれらを受けることが可能です。
まとめ
今回は、看護師さんが派遣で働くメリット・デメリットや、看護師さんが派遣だけで生活することは現実的かについてご紹介しました。看護師のお給料はさまざまな職業のなかでも高い水準といわれますが、派遣として働く場合もそれは変わらないことが分かりました。
しかし、キャリアアップや専門性の追求など何か1つの目標を持って看護師の仕事に打ち込みたいなら、いずれは正職員になることを考える必要があるでしょう。
「育児や家事と看護師の仕事を両立したい」「今は正職員として長く働きたい職場が見つからないが、看護師はやめたくない」など、明確な理由や動機があっての選択であれば、一定期間派遣として働くことも良い経験となるはずです。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。