看護師をめざすなら、高校生の時点から看護大学・短大や看護専門学校への入学を視野に入れ、理系科目を重点的に学ぶ必要がある……と考えている方は多いはず。
でも、「典型的な文系で、理系の学問は自分には無理だから看護師の夢はあきらめよう」と考えてしまうことは早計かもしれません。
文系科目をおもに学んでいる学生さんでも、看護系学校へ進学して看護師をめざすことはできます。
この記事では、看護師をめざす文系学生さんが看護系学校入学をかなえるために押さえたいポイントや、看護の世界で活かせる文系学生ならではの強みについてご紹介します。
文系学生も看護師をめざせる。決め手は「受験科目」
まず、「理系科目を中心に勉強しなければ、看護系学校への進学は難しい」という先入観は、いっそ取り除いて問題ないことをご説明しておきます。
現に、文系科目をおもに学んできた多くの学生さんが看護大学・短大や看護系専門学校へ入学するケースは意外に稀ではありません。
文系の学生さんが看護師を養成する学校に受かるには、志望校の選定が重要。入学試験の科目を必ず確認し、文系科目中心で受験できる学校を志望することがポイントです。
看護系の大学のなかにも、センター試験の選択科目が「現代文、英語、日本史、生物」となっている学校があるため、それらの志望校を選択することで文系学生も不利になりません。
高校で文系クラスにいても、生物は選択科目として学べる場合が多いでしょう。
また、センター試験を利用して受験しない学生の入学試験科目を「英語と現代文は必須、選択科目は数学・化学・生物から1科目」としている看護系大学もあります。
また「必須科目は英語のみ、選択科目は国語と理系4科目のなかから2科目」となっている学校もあり、その場合は国語と生物を選択して受験することができます。
受験科目を確認し、文系でも入試で不利にならない大学や専門学校を志望校とすれば、得意科目を頑張ることで合格できる可能性はあると考えてよいでしょう。
文章力は看護の世界で意外に重要!
実は、看護師としての業務においては、おもに理系学生さんが得意とするような複雑な計算を素早くこなす能力は、意外に問われる機会が少ないものです。
そして、看護師さんのお仕事のなかには、むしろ文系学生さんのほうが有利に感じられる業務内容も多く含まれているのです。
それは、勤務レポートを書いたり看護に関する研究論文を執筆したりする機会が多いこと。
「文章力に自信がある」「たくさんの文章を読んだり書いたりすることに抵抗がない」という文系の学生さんなら、看護師としての業務に得意分野を活かせるかもしれません。
また、読書が好きな方なら本を読むことを通じて多くの人の生き方について学べますし、他の人の人生に関する想像力を養うことができます。
人の心に寄り添うことが求められる看護師の業務において、さまざまな人の人生について知ることや想像することは欠かせません。
小説やエッセイ・体験記など、多くの文章を読んで「人を知る」機会の幅を広げられることは、文系の方ならではの看護師としての強みになるでしょう。
文系学生が看護系学校への進学後に注意する点
「数学が苦手で、数字を見るだけでも拒否反応が……」と、悩んでいる文系学生さんも少なくないでしょう。ここでは、数学が苦手な文系の学生さんが看護師をめざす上での注意点についてご紹介します。
1.論理的思考力を鍛えよう
文系学生さんは読書や読解力を鍛える学習などを通じて、情緒的な考え方は身についている方が多いでしょう。
しかし、いざ論理的に説明しようと思うと、頭のなかで考えをまとめることを難しく感じてしまうかも。いわゆる「理系的な考え方」といわれる「論理的思考力」を鍛えておくことは、看護師として仕事をするために大切です。
「課題に対する解決策を考える」「目的に対する達成手段を提案する」「自分の意見を適切なタイミングで述べる」など、看護研究には論理的な考え方が求められます。
しかし、論理的な思考力を身につけることは、実は多くの文系学生さんが苦手に感じている数字や計算の能力とはまったく別物。そこは、文系学生さんならではの読解力を活かしてカバーできるでしょう。
「事実→そうなった原因→それに対する自分の意見」を頭のなかでしっかりまとめ、筋道立てて書き記せる思考力・文章力を身につけていきましょう。
2.進学後は、理系科目の履修は必ずある
看護系学校へ進むなら、入学試験は文系科目と生物だけでも、進学後はそれ以外の理系科目を履修する機会が必ずあると考えておいたほうがよいでしょう。
看護師さんがする医療行為には薬剤を使用しますから、正しい用量を誤りなく計量する機会が必ずあります。
そのため、正確な数量を求める計算能力は必須なのです。数学の複雑な論述問題などの解答能力を要求されることはありませんが、基礎的な計算力は看護師にとって大切です。
しかし、決まった公式をしっかり覚えて正確に基礎計算ができるようになる分には、文系学生さんでもそれほど難易度が高いと感じないはず。理系科目だからと難しく考えず、新しい仕事を覚える感覚でガンガン習得していきましょう。
まとめ
今回は、文系学生さんが看護師をめざすための受験のポイントや、文系学生さんが将来看護師として働く上での注意点などをご紹介しました。
難しい計算が苦手でも、看護師業務に大きな支障はありません。看護師として必要な理系分野といえば基本的な足し算・掛け算・引き算・割り算を正確にできることや、研究・レポートに備えて論理的な考え方を身につけておくことでしょう。
看護師さんとして活躍している元文系学生さんは想像以上にたくさんいますから、文系ならではの得意分野を活かして積極的に看護師をめざす選択肢は十分にアリですよ。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。