転職の際に、履歴書と一緒に提出を求められることの多い書類といえば「職務経歴書」です。特に、看護師の転職活動の場合には、必ずと言ってよいほど作成する機会があるのではないでしょうか。職務経歴書は自己アピールの大切な手段ですから、決してないがしろにはできません。
今回は、職務経歴書の書式や書き方について、看護師の転職向けに特化した手順をご紹介します。
初めての転職活動などで、職務経歴書の書き方を基礎から知りたいという方は、ぜひご参考にしてください。
職務経歴書はなぜ書くの? 用紙や書き方について
ここでは、職務経歴書を書く理由や作成時に望ましい用紙・形式などについてご紹介します。
また、職務経歴書を実際に書くときに気をつけたいポイントについても解説します。
職務経歴書を作る理由
【1.経験した仕事内容で、転職先での戦力となる人材かを判断する】
職務経歴が書面で確認できることで、書類選考の段階で採用後に戦力になるかどうかをある程度判断できます。
そのため、求職者が経験してきた業務の中でも、応募先でする予定の業務内容と近いものは意識的に詳細に書いておくと役立つかもしれません。
【2.転職先での仕事に向いているかどうかが分かる】
特定の業務の経験があるかないか以外にも、職務経歴からは転職先での仕事自体や職場の雰囲気への適性、あるいは馴染みやすさなどを判断できる場合があります。
たとえば、応募先の業務の経験はなくても別途募集中の他業務の経験があれば、その業務を推奨される可能性もあるでしょう。
職務経歴書の書式や構成・項目設定など
【1.書式】
用紙サイズはA4で、1~2枚にまとまる程度のボリュームが望ましいでしょう。
履歴書のように罫線で区切られ短い文で構成される書類の場合、手書きを求められる場合もあります。
しかし、職務経歴書の場合はテキストの分量が多くなりがちなため、PCなどの文書作成ソフトで作って紙に印刷するほうが見やすいでしょう。
【2.内容の構成】
職務経歴書の中身の構成は、以下の3パターンに大きく分けられます。
・年代の古い順に職務経歴を書き進めていく「時系列型」
・逆に、年代の新しいものから先に職務経歴を書き進める「逆時系列型」
・仕事の種類や業種などで項目分けをする「キャリア型」
看護師さんの場合は、おそらく上記の中では「時系列型」を用いる方が多いでしょう。
もし、前職での仕事が応募先の業務内容と近いなどの理由で、前職の経験を特に強くアピールしたい場合は「逆時系列型」を選んでも効果的かもしれません。
【3.項目の設定】
職務経歴書の見出し(項目)は、以下のように設定するとよいでしょう。
1.職務経歴
これまで経験してきた仕事とその内容を、前の項目でご紹介した構成を決めて記載します。
2.看護業務で生かせるスキル
応募先にアピールできる業務スキルがあれば、必ず記入しましょう。
看護関係以外でも、パソコンスキルや文書・表作成のスキルなどがあれば事務処理で役立つでしょう。
3.学歴
履歴書とは異なり、職務経歴書に記入する学歴は看護関連のことを学んだ学校についてのみで問題ありません。
4.所持資格
看護師免許はもちろん、それ以外の資格(英検や普通免許など)もすべて記入しましょう。
5.自己PR
職務経歴に沿った内容で、「経験した業務の中で得意な作業」を書いていきます。
もちろんそれだけではなく、業務に当たる中で得られた学びについてや、仕事の中で印象に残った経験なども紙面に余裕があれば書いておきましょう。
職務経歴書の例文(時系列型の場合)
職務経歴書の例文を、一般的によく用いられる時系列型の書式でご紹介します。
こちらは、「小児科外来に数年間勤め、専門家としてのキャリア形成をめざし児童発達支援施設の看護師求人に応募する看護師さん」をモデルケースとしていますので、ご参考にしてください。
職務経歴書のフォーマットは、ネットで検索すれば数多く見つかります。
もし、看護師さんの転職に使用する場合は、一般向け転職サイトのものよりは看護師向け転職サイトなどで配布しているものを利用することがおすすめです。
あまりよくない、職務経歴書の書き方とは?
職務経歴書も書き方によっては応募者の印象をかえって下げたり、せっかく伝えたい部分が書き方のミス1つでぼんやりと曖昧になったりしてしまうことも。
ここでは、職務経歴書を書く際にやってはいけないことについても、少しご紹介します。
【1.ボリュームが多すぎる】
これまでの経験について盛り込みたい要素が多くても、冗長な内容になるとあまり先方に好かれません。
用紙が4枚にも5枚にもなってしまうなどだと、すべて読んでもらえないかも。
【2.誤字・脱字がある】
こちらは履歴書と共通ですが、誤字や脱字があると内容以前の問題で応募者の印象は下がってしまいます。
【3.履歴書と変わらない内容になっている】
あまりに職務経歴書に内容が薄いと、最後まで読んでもらえないかもしれません。
長々と読みにくい文章を書くことは避けつつも、仕事内容はせめて履歴書に書いたことよりは詳細かつ具体的に記載することが望ましいでしょう。
職務経歴書は履歴書とどう違う?
先の項目で「職務経歴書の内容が履歴書のようになってはいけない」と述べましたが、ここでは具体的に職務経歴書は履歴書とどう異なるのかについて、ご紹介します。
履歴書では「人となり」、職務経歴書では「業務のスキル」を紹介
履歴書には生年月日や住所、学歴など「自身がどんな人物か」を自己紹介する意味合いがあります。
そのため、自身の顔写真を貼付する欄も設けられています。
その一方で職務経歴書は「どんな業務を経験してきたか」「職に就いたときに具体的にどのような仕事ができるか」を、くわしく正確に書くことが求められます。
また履歴書に記入すべき項目はほぼ決まっていますが、職務経歴書には明確な書式の定めはありません。
定形化されていない分、記入する内容の自由度は高いといえるでしょう。
職務経歴書を作成するときに準備すること
職務経歴書を作成する前には、あらかじめ準備しておくべきことがいくつかあります。
1.職歴とキャリアの整理
ご自身がどのような職業や職場を経験し、それぞれの職場でどのような業務に就いていたかを一旦メモ書きなどでまとめておきましょう。
時系列順に記載していくことが求められるため、正しい情報をしっかり押さえる必要があります。
また各職場に関する情報(事業内容、設立年、職員数など)も列記する場合には、必ず企業サイトなどで正確な情報を得ておきましょう。
2.各職場の業務における特記事項をまとめておく
経験した各職場で「この経験はアピールしたい」と思う特記事項を洗い出し、まとめておきます。
応募先の特性などに合わせ「ここで関わった業務は応募先でプラス要素になる」と思われる経験は、漏らすことなく記入するためです。
3.職務経験で培った自身の強みは何かを整理しておく
職務経歴書では「○○を経験しました」という記述にとどまらず、「○○を経験した(学んだ)ことで△△という自身の強みが生まれた」という到達点まで盛り込むことで、説得力が生まれます。
自身が看護師業務において「何が得意か」「どんな技能を身につけたか」「どんな知識を習得したか」「どんな努力をしたか」「何に自信を得られたか」などをまとめ、応募先に知ってほしい「自身の強み」を整理しましょう。
4.職務経歴書に書くことが思いつかない場合
いざ職務経歴書を作ろうと思っても、「自分の強みが分からない」「日々の業務に追われて何を学んだかも浮かばない」という方も多いでしょう。
そのようなときは、先にご紹介したように経験やキャリアを洗い出して整理することで「あの職場ではこんな経験をした」「こんな課題を周りの人と協力して解決した」などが思い浮かぶはずです。
また、そのような経験のなかでどう業務や課題に向き合ったかを思い返していくと、自身の強みもはっきりしてくるでしょう。
職務経歴書が完成した後にすべきこと
職務経歴書を書き終えたら、提出前には必ず内容のチェックをしましょう。
職務経歴書はパソコンなどで作成する方が多いと思われますので、書きたい内容などの漏れを見つけてもデータの修正と再出力で対処できます。
また、データで作成した場合は該当データを保管しておけば良いのですが、手書きで職務経歴書を作成した場合は念のためコピーを取っておきましょう。
複数の応募先に職務経歴書を出す場合に、内容のブラッシュアップなどがしやすくなります。
まとめ
今回は、看護師の転職に必須の書類「職務経歴書」の基本的な内容・構成・書き方についてご紹介しました。
応募者が職務経歴書を作るための目的といえば、なんといっても「採用してもらうこと」でしょう。
そのためにも、先方の採用担当が「採用したい」と思うような文章を書くことが大切です。
内容が分かりやすく充実していることはもちろんですが、簡潔で読みやすい文面や構成になっていることも重要。
スーパーナースをはじめとする看護師向け転職エージェントでは、各種書類の書き方などのアドバイスも受けられることがあります。
それらを活用するなどし、早めに書類作成の準備を進めておきましょう。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。