いったん看護師の仕事を退職してから、ゆっくり次の転職先を探そうと考えているなら、「失業保険」の利用がおすすめです。もし看護師を退職したら、その後失業保険の手続きをすることで、当面の生活費を助けることができるからです。
そこで今回は、看護師が失業保険を上手に利用するためのポイントについてご紹介します。失業保険についてくわしく知り、きちんと活用することで、経済的に余裕を持った上で安心して転職活動をおこなうことができます。
退職から転職するまでの期間に失業保険を受給するまでの流れ
ここでは、退職してから転職するまでの間に失業保険を申請し、受給するまでの流れをご紹介します。必要なものや手続きの内容などにも触れていますので、ぜひご参考にしてください。
1.退職したら、すぐハローワークで雇用保険の手続きを
退職し、前職場から離職票が発行されたら、できるだけ早くハローワークに出向きましょう。手続きをおこなった日により、失業保険の受給開始日が異なりますので、早めの手続きをおすすめします。
以下の書類がそろったら、すべてを持参してハローワークに行きましょう。
・雇用保険被保険者証
・雇用保険被保険者離職票
・写真(2枚)
・本人確認書類(身分証明書になるもの)
・預金通帳
・マイナンバー確認書類(通知カードかマイナンバーカード)
・印鑑
手続きができたら、受給資格の決定が伝えられ、給付までのスケジュールなどについて説明を受けます。
2.雇用保険説明会に参加する
受給資格の決定から約1週間経つと「雇用保険説明会」が開かれますので、それに参加しましょう。2時間ほどかけて、雇用保険受給に関する手引きなどが説明されます。
また、ハローワークでの仕事の探し方についてもくわしく説明してもらえます。また、このタイミングで雇用保険受給資格者証の交付を受けられます。
3.失業認定日にハローワークに出向く
受給資格が決定されてから、約3週間後に初回の失業認定日がやってきます。その日にはハローワークに出向き、以下のことを確認してもらいます。
・現在仕事に就いていないこと
・現在求職活動をしていること
・今すぐ働き始められる状況であること
上記が確認されたら失業認定を受けることができます。この際は必ず雇用保険受給資格者証を持参し、本人がハローワークの窓口へ行くようにしましょう。
4.次回の認定日までに、2回以上求職活動をすること
次の認定日は4週間後となりますが、自己都合退職の方は給付制限となる3か月の待機期間があるため、それが経過してから2回目の認定日となります。原則、認定日と次の認定日の間には2回以上以下のいずれかの方法で求職活動をしなければなりません(給付制限期間中は3回以上)。転職の際には気をつけましょう。
・求人に応募すること
・ハローワークでの職業相談や職業紹介を受けること
・ハローワークなどが実施する講習やセミナーを受講すること
・民間職業紹介事業所や労働者派遣事業所などによる職業相談や職業紹介を受けること
・民間職業紹介事業所や労働者派遣事業所が実施する求職に関するセミナーを受けること
・公的機関が実施する職業相談などを受けること
・公的機関が実施する講習やセミナー、企業説明会への参加
・再就職につながる国家試験や検定などを受けること
この流れで、雇用保険給付期間の満了まで給付を受けることができます。また給付期間中に再就職が決まった場合は、条件によって「再就職手当」の給付を受けられる場合があります。
また、休職期間中に短期の臨時アルバイトをおこなうと、該当する日は失業保険の30%の金額で就業手当を受けることができます。
失業保険の給付条件や支給金額について
ここでは、失業保険の給付を受けられる詳細な条件や、給付を受けた場合の金額などについてくわしくご紹介します。
1.失業保険を受けられる条件
退職前の24か月間のうち、12か月以上雇用保険に加入していた場合に受給資格を得られます。ただしこの条件は自己都合退職の場合に限られ、職場の都合で退職(雇い止めなど)した場合には、24か月間のうち6か月間の加入期間があれば、受給資格を得ることができます。
また先にもご説明した通り、ハローワークで失業認定を受けなければ受給資格を得られませんので、退職したらまずハローワークで手続きをおこなう必要があります。
2.失業保険の支給金額は?
失業保険は1か月に1回支給され、金額は退職前に支給されていた給与の50%~80%が目安です。支給金額は、退職前6か月の給与から査定されます。また、1日あたりの受給金額に年齢ごとで上限が定められているため、それを超える金額は受給できません。
まとめ
今回は、看護師を退職した際の失業保険(雇用保険)の申請手順についてご紹介しました。無収入になることを避けるため慌てて転職し、失敗してしまうことは可能な限り避けたいものです。転職活動は時間をかけて慎重におこないたいという方は、まずは休養を取りながら自分のペースで新しい職場を探すのも1つの方法です。
また転職期間中に短期のアルバイトをするなどして、まだ体験していない職場や環境に触れることが、その後の転職活動にも活かせるかもしれません。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。