ナースさんが転職する際に困ることの1つとして、税金関係の手続きがあります。税金のことをあまり気にせずに退職し、転職活動が長期にわたった場合「こんなに税金がかかってくるなんて!」と、あとで焦ってしまうケースも少なくありません。
そこで今回は、看護師が転職・退職する際に発生する税金について知っておきたい情報をまとめました。転職前に税金に関することをある程度押さえておくだけでも、あとで困らずに済むことが増えるはずです。
看護師さんが転職時に意識すべき税金とは?
ここでは、転職・退職するナースさんが意識しておきたい税金についてご紹介します。ご自身で手続きが必要となるケースもあるため、あらかじめきちんと押さえておきましょう。
1.所得税
所得税とは、所得税控除を差し引いた個人の収入に応じて納めるべき税金を指します。基本的には収入が高くなれば納める所得税額も増え、低くなれば少なくなります。働いていると、給与から毎月所得税を納めているという意識はあまりないかもしれませんが、実は勤務先が源泉徴収する形で代わりに納付を行っています。
年内に転職した場合、職場が年末調整をしてくれるため基本的にご自身で退職後にすべき手続きはありません。しかし、年内の転職を行わなかった場合には、2月16日ころから3月15日ころの間の時期に「確定申告」をご自身で行いましょう。確定申告をする際には、前職場が発行する「源泉徴収票」が必要です。退職時に受け取っているはずですが、もし見当たらない場合は早めに前職場へ連絡して再発行してもらってください。
2.住民税
住民税は、前年の所得に応じて課税される市町村税です。働いている間は職場が「特別徴収」という形で給与から天引きで徴収されているケースが多いため、納めているという意識がない方も多いでしょう。しかし、「普通徴収」という形で翌年に通知書を送付してもらって定期的に納めている方なら「転職した翌年にも住民税は納めなければならないな」と、すぐに気づくかもしれません。
退職後の住民税の納め方は、辞めた月によって以下のように異なります。
【1~5月までに前職場を退職したら?】
5月までに納めるべき住民税の金額が、最後に支給される給与から一括で天引きされます。6月以降に納める住民税についてはあらためて市町村から通知されますので、それにしたがってご自身で定期的に納めましょう。ご自身が役所などへ出向いて、手続きを行う必要はありません。
【6~12月に前職場を退職した場合は?】
退職した月までの住民税は通常通り給与から天引きされますが、退職翌月から翌年5月までの住民税については通知が届きますので、それにしたがって期限までに納付しなければなりません。ご自身で納付せずに済むようにするには、最後の給与で翌年5月までの住民税を一括で天引きしてもらう方法もあります。その場合には退職する前に申し出て、手続きを行ってもらいましょう。
3.税金についての手続きが不要なケース
当然ですが、前職場を月末に退職して、翌月初めにすぐ新しい職場で勤め始める場合には税金についてあまり意識する必要はありません。そのまま、前職と同じように働き続ければ問題ないでしょう。ただし、住民税については徴収の方法が変わる可能性があります。転職によって「特別徴収」から「普通徴収」に変わった場合、翌年からご自身で税金を納める必要が出てくるかもしれません。転職時に、転職先へあらかじめその点は確認しておくと安心でしょう。
退職後に確定申告したほうがよい理由
所得税は源泉徴収という形であらかじめ納めているため、「なぜあらためて所得を申告する必要があるのか?」と思う方もいるでしょう。しかし、勤めている方の所得税は基本的に前年の所得を参考にして「みなし納税」のような形で源泉徴収を行っています。そのため、厳密には年間で実際に働いて得た収入に応じて課税されているわけではないのです。
年末調整されると還付されるお金が多少なりともあることが多いように、所得税は「納めすぎ」になっているケースもありがちです。確定申告を行って正しい所得を伝えることで、納めすぎていた所得税が返ってくることも、高い確率であり得るのです。
また、前年の総所得が103万円を下回っている場合には所得税が非課税となるため、なんと納めた全額が戻ってきます。また、所得にかかわらずナースさんとして勤めていた方の場合、ほとんどのケースで納めすぎた所得税が戻ってきます。損をしないためにも、確定申告をきちんと行うのがおすすめです。
まとめ
今回は、転職・退職時に知っておきたい「税金」に関する情報をご紹介しました。あらかじめ税金についてある程度理解しておくだけでも、慌てずに済みますし損もしなくて済みます。また、確定申告には退職時の源泉徴収票が必ず要りますので、きちんと受け取っておくようにしましょう。失くしてしまって再発行を依頼する羽目にならないよう、確定申告の時期までしっかり保管しておくことも忘れずに!
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。