看護師として働いていれば「つらい」「辞めたい」と思ってしまう時期は誰にでもあるもの。とくに「就職して2年目」が、ナースさんにとっての鬼門といわれています。
「仕事には慣れてきたものの、今やめてすぐ再就職できる?」「たとえ転職できても、必ずしも自分に合う職場に出会えるか分からない」など、さまざまな不安があるでしょう。そこで今回は、就職2年目で転職したナースさんの体験談をご紹介しながら、「2年目のナースさんの転職事情」についてご紹介します。
2年目で転職を体験したナースさんの体験談2選
2年目で転職を考えるナースさんが多いと先にご紹介しましたが、ここでは実際に2年目で看護師を転職した人の体験談をご紹介します。どのような事情でどんな職場に転職し、現在どのようにお仕事しているのかなどをチェックしてみましょう。
1.新人なのに重症患者さんを1人で夜勤看護…責任の重さに耐えかねて転職
新人看護師の採用が少なかった年に、総合病院に就職したAさん。同じ科には同期が1人もいないという厳しい状況下で、さまざまな仕事を任されることになります。
就職後半年で夜勤に就くことになり、年上の先輩ナースに仕事の指導をするなど精神的プレッシャーの大きな毎日をいきなり経験します。就職後1年経ったころには、重症患者さんばかりの病棟を1人で担当することに……。責任の重さと恐怖感、そしてほとんど睡眠を取れない過重労働の状況が続き、Aさんは精神のバランスを崩してしまいました。
そのまま休職を経てその病院を退職し、現在Aさんは結婚・育児を経て別の病院のパート勤務で看護師をしています。「身体はもちろん、心も健康でなければ人を看ることは難しい」という教訓を初めての職場で得て、今はマイペースな働き方を選択するに至ったとか。
2.経験を積めると思って選んだ精神科病棟が意外に合わず、2年目で転職
看護師資格を取得後、最初に職場に選んだのが精神科病棟だったBさん。良くも悪くも患者さんとのコミュニケーションが多く、新人のうちにさまざまな経験を積める上、人命にかかわる事態に立ち会うことが少ない点が精神科を選んだおもな理由でした。
しかし、実際に就職してみると意外に1日の流れが一定していて、新たな学びが得られる機会は少ないものでした。さまざまな治療法や薬の知識を身につけ、スキルを高めて看護から研究の現場に進みたいと考えていたBさんには、その職場は思いのほか刺激に乏しい場所だったのです。
2年目に入り、Bさんは熟慮の末に公営の総合病院へ転職しました。前の職場と比較すれば残業も増えて格段に忙しくなりましたが、ナースさんの人数も多く適切に役割分担して働けるため、働きにくいことはないと感じています。また、日々の仕事は多忙な割に休日などはしっかり取れるため、実質的には休み自体も増えてあまり不便とは思っていないそう。新たに学ぶことも多くやりがいもある職場に移れたので、Bさん自身も結果的に転職できて良かったという結論に至っているとのことです。
2年目ナースの転職は不利?転職の原因や理由もチェック
「2年目で転職するナースさん」は、どのぐらいの割合いるのでしょうか。また、辞める原因や理由はどのようなものなのでしょうか。ここでは、2年目で転職したナースさんの割合や転職理由をはじめ、2年目の転職で不利になる点はあるのかなどについてご紹介します。
1.ナースさんが就職2年目までに転職する割合は?
就職1年目~2年目までに1度以上の離職を経験したナースさんの割合は、なんと14%を超えるといわれています。100人のうち14人以上は2年目までに転職している、ということになりますね。
もともとナースさんは離職率の高い職種ではありますが、つねに求人数が多く次の職場を見つけやすいという点も、早期に転職するケースが多くなる理由の1つかもしれませんね。
2.2年目ナースさんの転職理由はどんなもの?
2年目を迎えたナースさんが転職したいと思う理由は、新人のころとはまた変わってくるようです。ここでは、2年目のナースさんが転職を考える具体的な理由をご紹介します。
・現在の職場で1年働き、この職場で学べること以外への興味が出てきた
・遠方からの通勤を1年頑張って続けたが、厳しい状況には変わりないため転職したい
・新たに後輩が入ってきてプレッシャーが大きくなった
・給与が上がる見込みがなくなったため、頑張り次第で給与アップできる職場へ移りたい
上記のように「1年勤めてみて新たな要望や見通しが生まれた」という理由で転職を検討し始めるのが、2年目ナースさんの特徴です。
3.ナースさんが2年目で転職を考えるときの注意点
ナースさんの間では、「2年目で転職すると不利」という噂やジンクスも付き物です。しかし、実際のところ2年目で転職が不利になることはあるのでしょうか。ここでは、2年目のナースさんが転職を考える際に気をつけたいポイントをご紹介します。
・不利になる理由は「1年余りでの転職」がネガティブ要素になり得ること
2年目の転職が不利になるといわれるおもな理由は、「1年頑張った程度で辞めてしまうのか」と思われてしまう点にあります。こう感じさせないためには、転職理由の伝え方が大切。「今の職場ではかなわないスキルの習得をめざしている」「転職先で資格取得を実現したい」など、極力前向きな理由を伝えましょう。
・多くの人に相談して情報を得よう
もともと看護師は求人数も多く、転職そのものは難しくありません。しかし、現職場から他へ移るからには、転職後の状況がさらに良くなることを想定したいものです。転職について相談できる人がいれば心強いのですが、さすがに職場の人には相談しにくいはず。他の病院に勤めるナースさん仲間や、看護師用転職サイトの窓口などに相談するのがおすすめでしょう。
まとめ
今回は、2年目のナースさんの転職事情についてご紹介しました。2年目での転職には、少し不利な点もあるのは事実です。深刻な事態でなければ辞めずに頑張る方が良いのかもしれませんが、抱えている事情次第では新しい職場を探す方法もアリでしょう。
さまざまな転職サイトを活用し、ご自身に有利で働きやすい職場をじっくり探して見つけることが、2年目のナースさんが転職に成功するコツといえそうですね。
スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。